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【慶應SFC 小論文】慶應義塾大学 総合政策学部 2018年 小論文 過去問解説

問1【解説】

 本問を解くためには、資料3の表に記載された51名の議員の候補者(A, B, C, D, E)に対する選好順位に基づき、指定された各ルールに従って計算を行う必要があります。

 以下に、上記結論に至るための詳細な計算過程を示します。計算の基となるデータは資料3の表です。

有権者(51名)の内訳:

  • 2名: A > C > B > D > E
  • 4名: A > D > B > C > E
  • 8名: B > C > A > D > E
  • 9名: C > D > A > B > E
  • 11名: D > A > B > C > E
  • 17名: E > B > A > C > D

1. 逐次消去法 (Sequential Elimination)

 この方法では、各ラウンドで最下位の候補者を除外し、その候補者への票を残りの候補者へ再配分します。順位は除外された順番の逆になります。

ラウンド1:

各候補の1位票:

E (17), D (11), C (9), B (8), A (6)

結果:

最下位のAが脱落 (5位)

ラウンド2:

Aに投票していた6票(2票+4票)が、それぞれの次善の候補(CとD)に移動します。

票の再計算:

E (17), D (11+4=15), C (9+2=11), B (8)

結果:

最下位のBが脱落 (4位)。

ラウンド3:

Bに投票していた8票が、次善の候補Cに移動します。

票の再計算:

C (11+8=19), E (17), D (15)

最下位のDが脱落 (3位)

ラウンド4:

Dに投票していた15票(元々の11票+Aからの4票)が、それぞれの次善の候補Cに移動します。

票の再計算:

C (19+15=34), E (17)

結果:

Eが脱落 (2位)

最終結果:

最後に残ったCが当選者 (1位)となります。

2. ペアごとの多数決 (Pairwise Majority)

 全10通りの一騎打ち(ペア対決)を行い、その結果に基づいて「強さ」を判断します。

ペア対決の結果:

  • A (26) vs B (25) → Aの勝ち
  • C (34) vs A (17) → Cの勝ち
  • B (40) vs C (11) → Bの勝ち
  • A (27) vs D (24) → Aの勝ち
  • A (34) vs E (17) → Aの勝ち
  • B (27) vs D (24) → Bの勝ち
  • B (34) vs E (17) → Bの勝ち
  • C (36) vs D (15) → Cの勝ち
  • C (34) vs E (17) → Cの勝ち
  • D (34) vs E (17) → Dの勝ち

分析と順位決定:

 この結果では、A>B, B>C, C>Aという循環(投票のパラドックス)が発生しており、全勝者(コンドルセ・ウィナー)が存在しません。
 そのため、問題文の指示「強い順番に候補者を並べれば良い」 に従い、各候補の勝利数や得失点差を考慮して「強さ」を総合的に判断します。

勝利数:

A(3勝), B(3勝), C(3勝), D(1勝), E(0勝)

各対決の得失点差の合計:

B: (+48), C: (+26), A: (+4), D: (-10), E: (-68)

この得失点差に基づき、Bが最も強いと判断され、当選者となります。順位もこの得失点差の順となります。

3. 順位評点法 (Borda Count)

1位=4点、2位=3点、3位=2点、4位=1点、5位=0点として、各候補の合計点を算出します。

候補者1位(4点)2位(3点)3位(2点)4位(1点)5位(0点)合計点
A6人11人34人0人0人(6✕4) + (11✕3) + (34✕ 2) = 125
B8人17人17人9人0人(8✕4) + (17✕3) + (17✕2) + (9✕1) = 126
C9人10人0人32人0人(9✕4) + (10✕3) + (32✕1) = 98
D11人13人0人10人17人(11✕4) + (13✕3) + (10✕1) = 93
E17人0人0人0人34人(17✕4) = 68

最終結果:

合計点が最も高いBが当選者 (1位)となります。順位は点数の高い順です。

4. 決選投票付き多数決 (Plurality with Runoff)

資料1の方式 に基づき、1位を決定後、その候補者を除外して残りの候補者で再び同じプロセスを繰り返し、2位以下の順位を決定します。

1位の決定:

1回目投票:

E (17), D (11), C (9), B (8), A (6)。過半数なし。

決選投票 (E vs D):

D (34) > E (17)。

Dが1位。

2位の決定 (Dを除外):

残りの候補 (A, B, C, E) での1位票:

A (17), E (17), C (9), B (8)。過半数なし。

決選投票 (A vs E):

A (34) > E (17)。

Aが2位。

3位の決定 (D, Aを除外):

残りの候補 (B, C, E) での1位票:

B (23), E (17), C (11)。過半数なし。

決選投票 (B vs E):

B (34) > E (17)。

Bが3位。

4位と5位の決定:

残りはCとE。C (34) > E (17)。

Cが4位、Eが5位。

5. 単純多数決 (Plurality)

単純に1位票の数を比較します。

1位票の数:

E: 17票
D: 11票
C: 9票
B: 8票
A: 6票 (2+4)

最終結果:

最多票のEが当選者 (1位)。順位は得票数の順です。

問1【答案】

 問1は、まず3つのルール(逐次消去法、ペアごとの多数決、順位評点法)における党首当選者を特定し、次に5つのルールすべてについて、候補者5名の1位から5位までの順位を決定するよう求めています。

各ルールで選ばれる党首

  • 逐次消去法: C
  • ペアごとの多数決: B
  • 順位評点法: B

ルールごとの候補者順位

 以下に、5つのルールそれぞれにおける候補者の完全な順位を示します。

単純多数決

1位: E, 2位: D, 3位: C, 4位: B, 5位: A

決選投票付き多数決

1位: D, 2位: A, 3位: B, 4位: C, 5位: E

逐次消去法

1位: C, 2位: E, 3位: D, 4位: B, 5位: A

ペアごとの多数決

1位: B, 2位: C, 3位: A, 4位: D, 5位: E

順位評点法

1位: B, 2位: A, 3位: C, 4位: D, 5位: E

問2【解説】

 この問いに答えるためには、まず「問1」で明らかになった各投票ルールの結果を整理し、その共通点や相違点に基づいてグループ分けを行う必要があります。

回答

 「問1」の結果に基づくと、5つの投票ルールは「候補者Bを当選者として選出し、かつ全体順位も類似するグループ」と「それぞれ異なる候補者を当選者として選出し、結果が大きく異なるグループ」という2つに大別できます。

【補足説明】

グループ1: 類似した結果を生むルール

 このグループには「順位評点法」と「ペアごとの多数決」が含まれます。

結果の共通点:

 この2つのルールは、どちらも候補者Bを当選者として選出します。さらに、全体のランキングを見ても、2位と3位の順序が入れ替わるだけで、1位(B)、4位(D)、5位(E)の評価が一致しており、極めて類似した結果を導き出しています。

方法論の共通点:

 これらのルールは、有権者の1位の選択だけでなく、2位以下を含む全ての順位情報を計算過程で利用するという点で共通しています。有権者の詳細な選好を反映するため、似た結論に至ったと考えられます。

グループ2: それぞれ異なる結果を生むルール

 このグループには「単純多数決」、「決選投票付き多数決」、「逐次消去法」が含まれます。

結果の相違点:

 これらのルールは、当選者がそれぞれE、D、Cと全く異なり、全体のランキングも大きく異なります。どのルールを採用するかによって、党首が完全に変わってしまうことを示しています。

方法論の共通点:

 これらのルールは、計算の初期段階で1位票に重点を置くという共通点があります。単純多数決は1位票のみ、他の2つも1位票が過半数に達しない場合の処理方法を定めたルールであり、「最多の1位票を持つ候補をどう扱うか」という点から派生したルールと解釈できます。

問2【答案】

graph TD;
A(5つの投票ルール) --> B{結果の類似性};
B --> C[グループ1: 類似した結果];
B --> D[グループ2: 多様な結果];

C --> C1(順位評点法);
C --> C2(ペアごとの多数決);

D --> D1(単純多数決);
D --> D2(決選投票付き多数決);
D --> D3(逐次消去法);

subgraph " "
C1
C2
end

subgraph " "
D1
D2
D3
end

style C fill:#e0f2f1,stroke:#00796b
style D fill:#fbe9e7,stroke:#d84315

問3【解説】

■ 議論の整理

 5つの党首選考ルールは、「問1」で示した通り、それぞれE, D, C, B, Bと異なる、あるいは類似した当選者を生み出した。これは各ルールが有権者の多様な選好を異なる方法で集約するためである。資料1~6は、特定のルールが投票のパラドックスや戦略的投票、結果の不安定性といった欠陥を抱えうることを示している。これらの事実を踏まえ、党首選のルールとして「望ましさ」とは何か、その評価基準自体が論点となる。

■ 問題発見

 党首という組織の代表を選出する上で「望ましい」ルールとは、どのような要件を満たすべきか。その要件を定義し、5つのルールを客観的な基準で評価・順位付けすることが本稿の課題である。

■ 論証→演繹法

ルールの定立:

 党首選で望ましいルールの要件は、第一に、党員全体の幅広い支持を反映する「代表性」、第二に、特定候補の排除を狙った戦略的投票に強く、安定した結果を生む「頑健性」の2点とする。

具体例の紹介:

 「問1」の結果をこのルールに当てはめる。

具体例の当てはめ:

 単純多数決と決選投票付き多数決は、1位票に結果が大きく左右されるため「代表性」に劣る。特に単純多数決で当選したEは、他の多くのルールで最下位評価であり、全体の意思を反映しているとは言い難い。
 ペアごとの多数決は、論理的には代表性が高いが、「問1」で見たように循環が生じ当選者を選べないという「頑健性」の致命的な欠陥を抱える。
 順位評点法は、全順位を点数化するため「代表性」が極めて高い。資料6が示すように戦略的操作の可能性はあるが、「問1」では最も穏当な候補Bを選出しており、結果の妥当性は高い。
 逐次消去法は、下位候補を除外しつつ選好を再配分するため、上記2グループの中間的な性質を持つ。

■ 結論

 以上の論証から、私は5つのルールを以下の順に順位付けする。

  • 1位:順位評点法
  • 2位:逐次消去法
  • 3位:ペアごとの多数決
  • 4位(同順位):単純多数決、決選投票付き多数決

 その根拠は、「代表性」と「頑健性」を総合的に評価した結果である。順位評点法は、党全体の支持を最もよく反映する候補者を選出する能力が最も高い。逐次消去法はそれに次ぐ。ペアごとの多数決は理論的魅力にもかかわらず、機能不全のリスクがあるため3位とした。単純多数決と決選投票付き多数決は、全体の意思を歪めて伝えるリスクが最も大きいと判断した。

■ 結論の吟味

 順位評点法は資料6にある通り戦略的投票に弱いという批判がありうる。しかし、党首選の目的が、一部の熱狂的支持者を持つ候補より、広く党員に受け入れられる候補を選ぶことにあると考えるならば、「代表性」の高さは他の欠点を補って余りある。ルール自体が破綻するリスク(ペアごとの多数決)や、全体の総意とはかけ離れた候補者を選ぶリスク(単純多数決)に比べれば、その「望ましさ」は最も高いと結論付ける。

問3【答案】(570字)

 党首選考の五つのルールは、有権者の多様な選好を異なる方法で集約するため、問1で見たように当選者も大きく異なる結果となった。したがって、本稿では党首選に「望ましい」ルールの要件を定義した上で、各ルールを評価し順位付けを行う。
 まず、望ましいルールの要件を、党員全体の幅広い支持を反映する「代表性」と、安定した結果を生む「頑健性」の二点に設定する。そして、これを基準に評価すると、単純多数決や決選投票付き多数決は一位票に偏るため代表性に劣る。また、ペアごとの多数決は、代表性は高いものの循環で解を選べず頑健性に致命的な欠陥があった。それに対し、順位評点法は全順位を用いるため代表性が極めて高く、戦略的操作の可能性はありつつも、今回は最も穏当な候補を選出しており結果の妥当性が高いと判断できる。
 以上の論証から、私は一位を順位評点法、二位を逐次消去法、三位をペアごとの多数決、四位を単純多数決および決選投票付き多数決と順位付ける。なぜなら、党首選では一部の熱狂的支持よりも、組織全体の幅広い支持を得る「代表性」が最も重要だと考えるからだ。たしかに順位評点法は戦略的操作に弱い欠点を持つ。しかし、ルール自体が破綻するリスクや、全体の総意から乖離した候補者を選ぶリスクに比べれば、その欠点を補って余りあるほど、最も望ましいルールであると結論付ける。

問4【解説】

題意の把握:

 「社会的選択の分析枠組みに基づいた分析が可能な現実の事例」を挙げる必要があります。これは、試験問題の文中で触れられている「投票のパラドックス」「スポイラー効果」「戦略的投票」といった概念が当てはまる現実の出来事を探すことを意味します。

事例の選定:

 試験の資料文(特に資料2)で、2000年のアメリカ大統領選挙が「スポイラー効果」の好例として挙げられています。この事例は問題の意図と完全に合致しており、説明も容易であるため、最適と判断します。

PREP法での構成:

P (Point/結論):

興味深い事例として「2000年のアメリカ大統領選挙」を明確に提示します。

R (Reason/理由):

なぜそれが興味深いのか、社会的選択論のどの概念で説明できるのかを述べます。ここでは「スポイラー効果」により、社会全体の最適な選択が実現しなかった可能性を理由とします。

E (Example/具体例):

選挙の具体的な状況(ブッシュ、ゴア、ネーダーの関係)を説明し、単純多数決というルールがどのように作用して、多数派の民意とは言えない結果を導いたかを簡潔に述べます。

文字数調整:

全体で300字以内になるよう、各要素を簡潔にまとめ、表現を洗練させます。

問4【答案】(283字)

 私が社会的選択の分析対象として興味深いと思う事例は、2000年のアメリカ大統領選挙です。
 なぜなら、この選挙は、第三の候補の存在が結果を左右する「スポイラー効果」が顕著に現れ、社会全体の最適な選択が実現しなかった可能性がある典型例だからです。
 具体的には、ネーダー候補(第三の候補)が、彼と政策の近いゴア候補の票を奪ったことで、ブッシュ候補が僅差で勝利しました。もし決選投票や順位付け投票など別のルールが採用されていれば、ネーダー支持者の多くがゴアを次善の候補とし、選挙結果は変わっていた可能性が高いのです。これは単純多数決というルールの欠点を示す好例と言えます。

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