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上智大学 総合人間科学部 教育学科 外国人入試 2020年 過去問解説

問1【解説】

 この問題は、課題文で指摘されている「新しい学習教授法」が、多くの課題を抱えながらも「なぜ奨励されているのか」という理由を、社会背景と絡めて論じることを求めています。

■ 議論の整理……課題文の内容の要約、問題を解く上で前提となる事実のまとめ

まず、小論文を書き始める前に、課題文が何を問題にしているのかを正確に把握します。

(共通の前提)

 現代の学校教育(高校や大学)では、「アクティブ・ラーニング」に代表されるような、生徒・学生が主体的に学ぶ「新しい学習教授法」の導入が推奨されている。

(議論の論点)

理想(奨励される建前):

 新しい学習法は、生徒・学生の「主体的・対話的で深い学び」を促し、思考力を育成するものとして期待されている。

現実(筆者の指摘する問題点):

 しかし、実際にはその理念が十分に機能していない。

結論

 このように、課題文は「理想と現実のギャップ」を指摘しています。これを踏まえた上で、「それでもなぜ奨励されるのか」という根本的な理由を考察する必要があります。

  • 思考を深めるための具体的な方法論が教えられていない。
  • 教員側に、生徒の思考を促す「問いを展開させる」指導力が不足している。
  • 結果として、探究学習などが形式的な知識の確認や発表に留まってしまっている。

■ 問題発見

 設問の要求を、自分が論じるべき中心的な「問い」として再設定します。

(問題の発見)

 この小論文で答えるべき問いは、「課題文で指摘されているような多くの問題点を抱えながらも、なぜ現代の学校教育では『新しい学習教授法』の導入が強く奨励され続けているのか、その根源的な社会的背景は何か?」と設定できます。

■ 論証→なぜなぜ分析

 設定した問いに答えるため、その理由を深く掘り下げて分析します。ここでは、思考を深めるのに有効な「なぜなぜ分析」を用いて論証の骨子を組み立てます。

(論証A) なぜ、新しい学習法が奨励されるのか?

 従来の知識伝達・暗記再生型の教育モデルだけでは、現代社会や未来社会の変化に対応できないから。

(論証B) なぜ、従来の教育モデルでは対応できないのか?

 AIの進化やグローバル化により、社会構造が複雑化し、過去の知識の蓄積だけでは解決できない「正解のない未知の課題」に直面する機会が急増しているから。単純な知識の記憶・再生はAIが得意とする領域であり、人間に求められる役割が変化している。
#### (論証C) なぜ、未知の課題解決に新しい学習法が必要なのか?
 未知の課題に立ち向かうには、自ら問題を発見し(課題発見能力)、必要な情報を取捨選択して分析し(情報活用能力)、多様な他者と対話・協働しながら(協働性)、創造的な解決策を導き出す(思考力・判断力・表現力)といった、主体的な能力が不可欠だから。新しい学習教授法は、知識の獲得そのものよりも、知識を活用して新たな価値を創造するプロセスを学ぶことを目的としており、これらの能力を育成するために設計されている。

■ 結論

上記の論証(特に論証C)から、小論文全体の結論を導き出します。

(Cから導かれる結論)

 現代の学校教育で新しい学習教授法が奨励される根源的な理由は、AIの台頭やグローバル化といった予測困難な社会の変化に対応できる人材を育成するためである。正解のない問いに対して、自ら課題を設定し、他者と協働しながら創造的な解を見出す主体的な能力は、従来の知識伝達型の教育では育みにくい。課題文が指摘するような運用上の課題は多いものの、未来を生きる上で不可欠なそれらの能力を養うという目的に鑑みれば、新しい学習法の導入は必然的な時代の要請であると言える。

■ 結論の吟味……議論の精度を高める

 導き出した結論が、他の考え方と比較して妥当であるかを確認し、論を補強します。

(他の結論との比較)

 極端な現状維持論(「従来の教育で十分だ」): この立場は、AIに代替されうる能力の育成に終始し、社会の変化から取り残される危険性を無視しているため、説得力に欠ける。
 課題文の筆者の主張との整合性: 筆者は新しい学習法の「必要性」を否定しているのではなく、その「運用方法の問題点」を指摘している。したがって、「多くの課題はあるが、社会的な必要性から奨励されている」という本稿の結論は、筆者の問題意識とも矛盾しない、バランスの取れた見方である。

(最終的な結論の確認)

 以上の考察から、「新しい学習教授法」は単なる教育界の流行ではなく、社会構造の変化に対応するための必然的な要請であることがわかる。課題文が指摘する問題を乗り越え、その理念をいかに実質化していくかが、今後の教育における重要な課題となる。このように結論づけることで、課題文の内容を深く理解していることを示すことができます。

問1【解答】(587字)

 現代の学校教育では、生徒の主体性を育む新しい学習教授法が奨励されている。しかし、課題文が指摘しているように、その運用は探究学習が形式的な発表に留まるなど、多くの実践上の問題を抱えているのが実情である。それでもなお、この教育法が強く推進される背景には、社会構造の根本的な変化が存在する。
 すなわち、AIの進化やグローバル化により、社会は過去の知識の蓄積だけでは解決できない「正解のない問い」に急速に満ちあふれるようになった。そのため、従来の知識伝達・暗記再生型の教育モデルでは、こうした予測困難な未来を主体的に切り拓く人材の育成がもはや困難となっているのである。
 したがって、これからの社会を生きる人材には、自ら課題を発見し、他者と対話・協働しながら創造的な解決策を導き出す主体的な能力が不可欠となる。そして、新しい学習教授法は、知識の獲得そのものではなく、知識を活用して価値を創造する思考プロセス自体を学ぶことを目的としており、まさにこの能力を育成するために設計されているのである。
 以上のことから、新しい学習教授法の導入は、単なる教育界の流行ではなく、社会の変化に対応するための必然的な要請であると結論付けることができる。だからこそ、課題文が示す運用上の問題を一つずつ克服し、その高い理念を教育現場でいかに実質化していくかが、今後の日本社会に課された重要な責務であろう。

問2【解説】

 この問題は、課題文で示された問題意識(傍線部②)を踏まえ、あなた自身の具体的な学習計画と将来の目標を問う、自己推薦型の設問です。

■ 議論の整理

 まず、この小論文で自分が何を論じるべきか、その前提となる課題文の主張を正確に捉えます。

(共通の前提)

 現代の教育では、学生が主体的に思考を深める「アクティブ・ラーニング」が重要視されている。

(議論の論点)……傍線部②が指摘する核心的な問題

筆者の主張:

 学生の主体的な学びを促すためには、教員側に「問いを立てさせ、議論を深めさせる指導力」が必要不可欠である。しかし、日本の大学や教員養成課程では、そうした高度な指導力を育成する機会が十分に与えられていないのではないか、という強い疑問(問題提起)がなされている。
 つまり、この小論文は、この「質の高い指導力を持った教員が不足している」という課題を、あなた自身がどう受け止め、どう解決しようと志すのか、を記述する出発点としなければなりません。

■ 問題発見……この小論文で答えている問題の設定

課題文の問題提起を、自分自身の課題として引き受け、この小論文で論じるべき問いを明確に設定します。

(問題の発見)

 この小論文で答えるべき問いは、「課題文が指摘する『学生の主体的な学びを促す指導力』の欠如という問題に対し、私自身は、総合人間科学部教育学科で、具体的にどのような能力を、どのような学習プロセスを経て身につけ、その問題解決に貢献しようと考えているか?」と設定できます。

■ 論証→演繹法

 設定した問いに答えるため、自身の学習意欲と学科での学びを具体的に結びつけて論証します。ここでは「演繹法」の考え方を応用して、志望理由を具体化するのが効果的です。

1. ルールを定立する(身につけたい能力の提示)

 まず、課題文が示す問題意識に応答する形で、自分が本学科で身につけたい能力を明確に定義します。

例:

 「私が貴学科で身につけたいのは、課題文で欠如が指摘されている『生徒一人ひとりの知的好奇心を引き出し、主体的な問いの探究へと導くための指導力』である。」

2. 具体例を紹介する(学科での具体的な学習計画)

 次に、その能力を身につけるために、大学のカリキュラムや特徴を具体的に挙げ、自身の学習計画を示します。

例:

 「そのために、教育心理学やカリキュラム論といった専門知識を体系的に学ぶだけでなく、特に『○○演習』や『△△実習』といった、少人数での対話や実践的な経験を重視した授業に積極的に参加したい。」

3. 具体例をルールに当てはめる(学習計画と能力の結合)

 最後に、2で挙げた学習計画が、1で定義した能力の獲得にどのようにつながるのかを論理的に説明します。

例:

 「理論学習によって教育の原理を深く理解し、演習や実習を通じて、生徒との具体的な関わりの中で思考を促すための対話術やファシリテーション能力を実践的に養う。この理論と実践の往還こそが、課題文のいう『指導力』を血肉化させる唯一の道だと考える。」

■ 結論

 論証で述べた自身の学習計画を経て、どのような人材になりたいかという将来像(結論)を明確に示します。

(Cから導かれる結論)

 本学科での主体的な学びを通じて、私は単に知識を教えるだけの教員ではなく、生徒自身が学ぶことの面白さを発見し、自ら問いを立てて探究していくプロセスを支え、導くことができる教育者になることを目指す。

(その根拠)

 その根拠は、先ほどの論証で示したように、専門知識の習得と実践的な演習・実習を組み合わせた学習計画にある。これにより、課題文が問題視する、形式的ではない、実質的な指導力を身につけることができると確信している。

■ 結論の吟味……議論の精度を高める

 最後に、本学科で学ぶことの意義を再確認し、強い意欲を示すことで文章を締めくくります。

(最終的な結論の確認)

 課題文が指摘する教育現場の課題は根深く、容易に解決できるものではない。しかし、だからこそ、その解決に貢献できる人材となるべく、本学科の充実した環境で4年間学び抜きたいと強く願っている。このように、課題の困難さを認識した上で、それでも挑戦したいという真摯な姿勢を示すことで、説得力のある結論となります。

問2【解答】(594字)

 課題文は、生徒の主体的な学びを促す「問いを展開させる指導力」を持つ教員が不足しているという、現代教育の核心的な課題を指摘している。この深刻な問題意識を踏まえ、私は本学科で、生徒一人ひとりの知的好奇心を引き出し、主体的な探究へと導くための指導力を身につけたいと強く考えている。
 そのためには、まず教育心理学やカリキュラム論といった専門知識を体系的に学び、教育という営みの原理を深く理解する。しかし、理論だけでは不十分である。その理論的知識を土台として、少人数での対話や実践を重視する演習や実習に積極的に参加し、多様な背景を持つ仲間と議論を重ねたい。なぜなら、生徒の思考を促す対話術やファシリテーション能力は、こうした実践的な経験を通して初めて血肉化されるものだと考えるからである。
 このように、理論と実践を往還させる貴学科での学びを通じて、私は単に知識を一方的に教えるだけの教員ではなく、生徒自身が学ぶことの面白さを発見し、自ら問いを立てて探究していくプロセスを支え、導くことができる教育者になることを目指す。それは、生徒が生涯にわたって学び続ける「生涯学習者」となるための基礎を築くことに他ならない。
 確かに、課題文が示す教育現場の課題は根深く、容易に解決できるものではない。しかし、だからこそ、その解決に貢献できる人材となるべく、本学科の充実した環境で四年間学び抜きたいと願っている。

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