【お知らせ】毎年帰国生・自宅浪人生・仮面浪人生始め多くの合格者!慶應小論文対策講座

上智大学 総合人間科学部 教育学科 公募制推薦入試 2020年 過去問解説

問1【解説】

 この問題に的確に答えるためには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。

問題の要求を正確に把握する

 問われているのは、「日本の大学とイギリスの大学で、国際競争力が問題となるコンテクスト(文脈)はどのように異なるか」という点です。
 解答は「本文に基づいて」「簡潔に」作成する必要があります。自分の意見や本文以外の知識を述べるのではなく、あくまで文章の内容を要約・整理することが求められます。

本文から該当箇所を抽出する

 イギリスの大学のコンテクストに関する記述を探します。

  • 「リアルな」「国際競争の場」に設定されている。
  • その競争は「国益」と「国富」をかけた熾烈なもの。
  • 具体的には、各国のエリートや科学技術者といった「優秀な人材の取り合い」である。
     日本の大学のコンテクストに関する記述を探します。
  • 「想像上(imagined)の」「国際競争の場」で語られることが多い。
  • その議論は、大学ランキングのような「国際標準」との比較から生じている。
  • 非英語圏であり、国内の大学間競争が中心で、グローバルな競争市場に直接的な影響を大きくは受けていない。

情報を対比・整理する

 抽出した情報を対比させ、両者の違いを明確にします。この問いの核心は「リアル」と「想像上」の対比です。

比較項目イギリスの大学日本の大学
競争の場リアルな国際市場想像上の国際競争の場
競争の目的国益・国富をかけた優秀な人材の獲得大学ランキングなど指標上の評価
競争の性質実利を伴う熾烈なサバイバル競争指標をめぐる観念的な競争

簡潔な文章にまとめる

 ステップ3で整理した内容を、指定通り「簡潔に」記述します。「イギリスの大学が〜であるのに対し、日本の大学は〜である」といった対比の構文を用いると、違いが明確になり、分かりやすい解答になります。

問1【解答】(193字)

 イギリスの大学において国際競争力が問題となるのは、国益や国富をかけ、世界の優秀な人材を奪い合うという「リアルな」国際市場における競争というコンテクストにおいてである。
 それに対し、日本の大学で問題となるのは、主に大学ランキングなどの指標を意識した「想像上の」国際競争の場における評価というコンテクストであり、リアルな人材獲得競争に直接さらされているわけではないという点で異なっている。

問2【解説】

 この問題に的確に答えるためには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。

問題の要求を正確に把握する

 問われているのは、下線部②「想像上(imagined)の国際競争の場」が何を意味するのかを、分かりやすく説明することです。本文の内容を正確に読み取り、自分の言葉で平易に説明し直す能力が試されています。

下線部の前後関係を読み解く

 下線部を含む一文は、「大学ランキングのような『想像上の国際競争という「内部」の出来事』である」と述べています。ここから、この「競争の場」が大学ランキングと密接に関連していることが分かります。
 直前の文章では、非英語圏である日本の大学は「国内の大学間競争の場に設定されているため、熾烈な(国際)競争にさらされることはほとんどない」と述べられています。これは、「想像上の」競争が、現実の熾烈な競争ではないことを示唆しています。
 イギリスの大学が置かれている「リアルな」市場(国益をかけた優秀な人材の奪い合い)との対比で語られている点を意識することが重要です。

意味を構成する要素を抽出・整理する

 本文から、以下の要素を抽出します。

  • 「リアル」ではない点: 実際に世界の学生や教員を奪い合う、国益に直結するような市場ではない。
  • 競争の舞台: 主に「大学ランキング」のような国際的な指標や評価基準という仮想的な土俵の上で起きている。
  • 競争の性質: 国内の大学が、国際標準と自らを比較する中で生まれる、いわば観念的・内向きな競争である(本文の「『内部』の出来事」という表現がこれに対応します)。

分かりやすい言葉で再構成し、解答を作成する

 抽出した要素を組み合わせ、簡潔で分かりやすい説明にまとめます。「〜ではなく、〜である」という形式を用いると、対比構造が明確になり、説明がクリアになります。
 「想像上」という言葉がなぜ使われているのか、その理由(=現実の熾烈な人材獲得競争ではないから)を明確にすることがポイントです。

問2【解答】(197字)

 「想像上の国際競争の場」とは、日本の大学が、国益をかけて世界の優秀な学生や研究者を直接奪い合うような「リアルな」競争にさらされているのではなく、主に大学ランキングのような国際的な指標の上で、自らを他大学と比較することによって生じる、観念的で内向きな競争の場を意味する。
 つまり、現実の市場での熾烈なサバイバルではなく、国際標準という評価基準を介して仮想的に繰り広げられる競争関係のことである。

問3【解説】

 この問題は、文章全体の筆者の主張を理解し、それを踏まえて自分の考えを論理的に展開する能力を問うています。解答作成には以下の4つのステップが有効です。

問題の要求を正確に把握する

 問われているのは、「筆者の議論を踏まえて」「日本の大学が国際競争に今後どう対応すべきか」についての「あなたの考え」です。
 最も重要なのは「筆者の議論を踏まえて」という点です。全くの自由な意見ではなく、本文で示された問題意識(「リアルな」競争に参加できていない、透明性・アクセス可能性が低い、言語の壁がある等)を解決する方向で、自分の考えを構築する必要があります。

筆者の議論の核心を整理する

 筆者は日本の大学の国際競争を、ランキングなどを気にするだけの「想像上の」競争だと指摘しています。
 その根本原因として、教育・研究内容や大学運営に関する情報が国際的に開かれていない「透明性」「アクセス可能性」の欠如を挙げています。
 そして、その最大の障壁が「日本語という言語の壁」であると結論づけています。
 つまり、筆者の論理は「言語の壁 → 透明性・アクセス可能性の欠如 → 『リアルな』国際市場に参加できず、『想像上の』競争に留まっている」という構造になっています。

解決策を論理的に導き出す

 筆者の指摘する問題の根本原因が「言語の壁」と「アクセスの欠如」である以上、提案すべき対応策は、これらを解消する具体的な方策でなければなりません。
 したがって、「国際的な情報発信を強化する」「教育・研究の成果を世界に開かれたものにする」といった方向性で自分の考えをまとめるのが、最も論理的なアプローチとなります。

PREP法に沿って構成する

 指定されたPREP法に従い、解答を組み立てます。

P (Point):結論

 まず、「日本の大学がどうすべきか」という問いに対する自分の考えの核心を簡潔に述べます。 (例:「透明性とアクセス可能性を高め、『リアルな』競争の土俵に立つべきだ」)

R (Reason):理由

 なぜその結論に至ったのか、筆者の議論を根拠として説明します。(例:「筆者が指摘するように、現状は『想像上の』競争に過ぎず、その原因は言語の壁による情報不足にあるからだ」)

E (Example):具体例

 結論で述べた対応策を、具体的にどのように実行するのかを例示します。(例:「講義のシラバスや大学の財務状況を英語で公開する」「英語による学位取得コースを拡充する」など)

PREP法に沿った文例

【結論】

 私は、日本の大学は大学ランキングのような指標を意識した「想像上の」国際競争から脱却し、教育・研究内容や大学運営に関する情報の「透明性」と「アクセス可能性」を抜本的に高めることで、世界の人材や知が実際に集まる「リアルな」国際競争の土俵に立つべきだと考える。

【理由】

 なぜなら、筆者が論じているように、日本の大学の国際競争に関する議論の多くは、実体を伴わない観念的なものに留まっているからだ。その根本的な原因は、筆者が指摘する「日本語という言語の壁」によって、大学の最も重要な資産である教育や研究の価値が国際社会にほとんど伝わっていない点にある。海外の学生や研究者が日本の大学を評価しようにも、そのための情報が閉ざされている現状では、真の意味での競争は始まらない。この根本問題を解決しない限り、日本の大学は世界から孤立したままであり、持続的な発展は望めないからである。

【具体例】

その対応策として、まず全ての大学は、講義のシラバス、研究成果、教員の専門分野、さらには大学の財務状況といった運営情報を、日本語と英語の両方で公式ウェブサイトにて公開することを徹底すべきだ。次に、留学生や外国人研究者が魅力に感じるような、英語のみで学位が取得できるコースや専門分野を戦略的に増やす必要がある。こうした取り組みを通じて、大学の価値を国際的に「見える化」することこそが、世界中の優秀な人材を惹きつけ、「リアルな」市場で正当な評価を受けるための第一歩となるだろう。

問3【解答】(348字)

 日本の大学は、ランキング等の指標を意識した「想像上の」競争から脱却し、情報の「透明性」と「アクセス可能性」を抜本的に高め、世界の人材や知が集まる「リアルな」国際競争の土俵に立つべきだと考える。
 筆者が指摘するように、現在の競争は実体を伴わない観念的なものだ。その根本原因は「日本語という言語の壁」により、大学の持つ教育や研究の価値が国際社会に伝わっていない点にある。この情報が閉ざされた現状を解決しない限り、真の競争は始まらない。
 その対応策として、講義のシラバスや大学の財務状況といった運営情報を日英両方で公開し、英語のみで学位が取得できるコースを戦略的に増やす必要がある。大学の価値を国際的に「見える化」することで、世界中の優秀な人材を惹きつけ、「リアルな」市場で正当な評価を受けるべきだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

累計100名以上が早慶上智に合格しています

いますぐLINEで相談する!

受験相談・体験授業は10日間無料です