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上智大学 総合人間科学部 心理学科 編入生試験 2020年 過去問解説

問1【解説】

用語の定義の確認:

 まず、各専門用語の核心となる定義を正確に把握します。心理学の教科書や信頼できるオンライン資料を参照し、その用語が何を指すのかを明確にします。

重要ポイントの抽出:

 次に、定義を補強するための重要な概念、関連理論、具体例、特徴などをリストアップします。例えば、「共同注意」であれば「指さし」「社会的認知」、「有意水準」であれば「仮説検定」「第一種の過誤」などがキーワードになります。

文章の構成と要約:

 抽出したポイントを基に、論理的な文章を組み立てます。最も重要な定義を冒頭に述べ、その後に補足説明や具体例を加える構成が分かりやすいです。

文字数の調整:

 最後に、全体の文章が指定された「150字前後」という文字数に収まるように、表現を推敲し、冗長な部分を削って簡潔にまとめます。

問1【解答】

(1) 共同注意 (joint attention)

 他者が見ている対象に注意を向け、その他者と注意を共有する状態のこと。生後9ヶ月頃から見られ、乳幼児が他者の指さした方向を見たり、自ら指さしをして対象への注意を喚起したりする行動が典型例である。他者の意図を理解し、言語を獲得していく上で基盤となる重要な社会的認知能力の一つと考えられている。

(2) 順序尺度 (ordinal scale)

 測定の尺度の水準の一つで、対象の特性の大小関係や順序を表すことができるが、その間隔が等しいとは限らない尺度を指す。例えば、競争の順位(1位、2位、3位)や満足度評価(満足、普通、不満)などがこれにあたる。加減乗除のような四則演算はできず、主に中央値や順位相関係数などの統計量が用いられる。

(3) 有意水準 (significance level)

 統計的仮説検定において、設定した仮説(帰無仮説)を棄却するかどうかの判断基準となる確率のこと。通常はα(アルファ)で表され、慣習的に5% (0.05) や1% (0.01) が用いられる。観測された事象が偶然起こる確率がこの水準より低い場合に「統計的に有意である」と判断し、帰無仮説を棄却する。

(4) 印象形成 (impression formation)

 他者に関する断片的な情報から、その人の性格など、全体的でまとまりのあるイメージを作り上げる認知過程のこと。S.アッシュは、印象形成において特に重要な影響を与える特性を「中心特性」と呼んだ。また、最初に与えられた情報が強く影響する「初頭効果」や、最後に与えられた情報が影響する「終末効果」なども知られている。

(5) 社会的インパクト理論 (social impact theory)

 B.ラタネが提唱した、他者の存在が個人の思考や行動に与える影響(社会的インパクト)の大きさを説明する理論。インパクトの大きさは、影響を与える他者(ソース)の「強さ(Strength)」、時間的・空間的な「近接性(Immediacy)」、そして「人数(Number)」の3つの要因の積によって決定されるとされている。

(6) 事象関連電位 (event-related potential, ERP)

 特定の感覚刺激や心理的過程に関連して生じる、ごく微小な脳の電気的活動(電位変動)のこと。脳波(EEG)を、刺激提示などを基準に多数回記録し、それらを加算平均することでノイズの中から抽出される。ミリ秒単位で脳の反応を捉えられるため、認知プロセスの時間的経過を調べるのに非常に優れた手法である。

(7) 性格検査 (personality test)

 個人の性格(パーソナリティ)のさまざまな側面を客観的かつ数量的に測定・評価するための心理検査の総称。回答方法や解釈の違いから、質問紙法(YG性格検査、MMPIなど)、特定の課題への反応から無意識層を探る投影法(ロールシャッハ・テストなど)、作業の遂行過程を分析する作業検査法(内田クレペリン精神検査)などに大別される。

(8) 統合失調症 (schizophrenia)

 思考や知覚、感情、意欲といった様々な精神機能の統合が失われる精神疾患。現実を正しく認識する能力が障害され、幻覚や妄想などの「陽性症状」と、感情の平板化や意欲の低下といった「陰性症状」が主な症状として現れる。原因は完全には解明されておらず、生物学的要因と心理社会的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている。

(9) 絵画的手がかり (pictorial cues)

 2次元の平面的な絵画や写真の中に、3次元的な空間の奥行きを感じさせる視覚的な情報のこと。単眼で知覚できるため単眼的奥行き手がかりとも呼ばれる。具体的には、物の重なり(遮蔽)、遠くの物ほど小さく描く線遠近法、きめの勾配、陰影などが含まれ、これらが組み合わさることで立体感が生まれる。

問2【解説】

設問の要求を分析:

 まず、各設問が何を求めているかを正確に把握します。(1)は「比較」、(2)は「違いの明確化」、(3)は「違いと共通点」がポイントです。

キーワードと構成要素の抽出:

 次に、解答に含めるべき心理学の専門用語や概念を洗い出します。例えば、(1)では「効率性」「匿名性」「非言語的情報」、(2)では「集団極性化」「ブレーンストーミング」、(3)では「守秘義務」「二重関係の禁止」などが挙げられます。

論理的な文章構成:

 抽出した要素を基に、設問の要求に沿って論理的に文章を組み立てます。比較・対照が求められる場合は、それぞれの長所・短所が明確に対応するように記述します。

文字数の調整:

 最後に、全体の文章が指定された「200字前後」に収まるよう、表現を簡潔にまとめ、冗長な部分を削って完成させます。

問2【解答】

(1) 質問紙による調査法の長所と限界について、面接法の場合と比較するかたちで、説明しなさい。

 
質問紙法の長所は、一度に多くの人から効率的にデータを収集できる点、そして匿名性が高く本音に近い回答を得やすい点にある。また、全員に同じ質問項目を提示するため、データの比較や統計的分析が容易である。一方、面接法は時間とコストがかかるが、回答の真意を深掘りしたり、表情や声の調子といった非言語的情報を得たりできる長所がある。質問紙法の限界は、この面接法のような柔軟性がなく、質問意図の誤解を招いたり、回答の背景にある文脈を捉えきれなかったりする点である。

(2) 集団による意思決定と集団による問題解決のそれぞれの特徴について説明しなさい。その際、両者の違いが明確になるようにすること。

両者の最も大きな違いは、その目的にある。集団意思決定は、複数の明確な選択肢の中から、合意形成を通じて最善のものを「選択」することが目的である。この過程では、集団の意見が極端な方向に偏る「集団極性化」や、同調圧力から批判的思考が失われる「集団浅慮」といった現象が生じやすい特徴がある。一方、集団問題解決は、解決策が未知の問題に対し、多様な視点や知識を統合して新たな解決策を「創造」することを目的とする。ブレーンストーミングのように、自由なアイデアの創出が重視される点が特徴である。

(3) 心理専門職(カウンセラー等)への相談と友人への相談とを比べて、両者の違いと共通点を述べなさい。

共通点は、信頼できる相手に悩みや感情を話すことで、気持ちが楽になったり(カタルシス効果)、考えが整理されたりする心理的支援を受けられる点である。一方、違いは明確である。第一に、専門家とは料金や時間、場所が定められた専門的援助関係であり、友人関係のような相互性や私的な関係は持たない(二重関係の禁止)。第二に、専門家は守秘義務を負い、相談内容は保証される。第三に、専門家は傾聴などの技法と心理学の知識に基づき客観的に関わるが、友人の助言は主観的・経験的なものになりがちである。

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