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上智大学 総合人間科学部 心理学科 公募制入試 2021年 過去問解説

問1-1【解説】

問題の分析:

 問一「傍線部①で、『アルプスは悪魔の棲家』とあるが、このように考えられていた理由は何かを120字以内で説明しなさい。」この問いは、「アルプスが悪魔の棲家と考えられていた理由」を、本文の内容に基づいて120字以内で説明することを求めています。

本文中の根拠箇所の特定:

 次に、本文から理由に該当する部分を探します。

キリスト教的な世界観:

 文章の後半、特に6ページ目に核心的な理由が述べられています。「神は人類の福祉のために平地をつくられたのであって、山岳は悪魔のためにとっておかれた場所であるという思想が深く根を張っていた」という一文が直接的な答えの核となります。

山の形状に対する美的感覚:

 2ページ目には、当時のヨーロッパ人の美的感覚について触れられています。「幾何学的な図形」や「完全な球体」が美しいとされ、山の「乱雑な形」は「醜い疣や瘤」と見なされていました。

自然災害との関連:

 6ページ目には、山のゴツゴツした形状が「ノアの洪水で侵食され、荒れた土地がそのまま残っていると考えられていた」とあり、神による罰や破壊の跡地と見なされていたことがわかります。

怪物や魔女の存在:

 6ページ目には、「魔女や龍などの怪物の棲む、寒くて恐ろしいところであった」と明記されており、人々が抱く恐怖の対象であったことが示されています。

解答の構成:

 これらの要素を組み合わせ、120字以内の簡潔な文章にまとめます。

中心的な理由:

 中世ヨーロッパのキリスト教的世界観に基づき、「神が人間のために平地を創り、山岳は悪魔に与えられた場所」という思想があったこと。

補足的な理由① (形状):

 当時の美意識では山の乱雑な形は醜いとされ、ノアの洪水で破壊された不完全な土地だと考えられていたこと。

補足的な理由② (恐怖):

 魔女や龍などの怪物が棲む、恐ろしい場所だと信じられていたこと。
これらの要素を論理的に繋ぎ、文字数制限内に収まるように表現を調整します。

問1-1【解答】 (114字)

中世ヨーロッパのキリスト教的世界観において、神は人間のために平地を創り、山岳は悪魔の場所とするという思想が根底に存在していた。また、山の乱雑な形はノアの洪水で荒れた不完全な姿と見なされ、魔女や龍が棲んでいると信じられていたため。

問1-2【解説】

問題の分析:

問二「日本人にとっての山岳について、傍線部②と③では正反対のことを主張しているように感じられる。この二つの主張はどのようにして両立可能かを百字以内で説明しなさい。」
この問いは、傍線部②(山への崇拝)と傍線部③(日本アルプスへの無関心)という、一見矛盾する二つの主張が、なぜ両立しうるのかを100字以内で説明することを求めています。

傍線部②と③の主張の確認:

傍線部②の主張:

 日本人にとって山は「聖地であり、霊地であった」。人々は神仏の霊地として山を崇拝していたと述べています。

傍線部③の主張:

 吉江孤雁の故郷の人々が身近な穂高岳の名さえ知らなかったことや、地元の人々が日本アルプスを厄介なものとみなし、その美しさを認識していなかったことから、当時の人々は日本アルプスに「いかに関心をもっていなかったか」と述べています。

矛盾の解消(両立の根拠):

 本文を読むと、二つの主張が対象とする山の種類や文脈が異なることがわかります。

崇拝の対象(傍線部②):

 本文では、信仰登山の例として「富士山や御嶽、白山、立山など」が挙げられています。つまり、日本人が崇拝していたのは、古くから信仰の対象とされてきた一部の特定の霊山であることがわかります。

無関心の対象(傍線部③):

 一方で、無関心の対象とされているのは「日本アルプスや八ヶ岳、奥秩父など」です。これらは当時、信仰の対象ではなく、人々の生活にとってはただ「冬季に嵐と雪を吹きつけてくる厄介なもの」でした。
 したがって、「信仰の対象としての山」と「生活圏における身近だが厳しい自然としての山」とで、人々の態度が異なっていたと整理することで、二つの主張は両立可能になります。

解答の構成:

 上記の考察を基に、100字以内で簡潔にまとめます。

  • 崇拝の対象は「信仰に関わる一部の霊山」に限定されること。
  • 無関心の対象は「日本アルプスなど、信仰の対象ではなく生活を脅かす存在」であったこと。
  • この対象の違いによって、二つの主張が両立することを明確に記述します。

問1-2【解答】 (93字)

日本人が崇拝していたのは信仰の対象となる一部の霊山であった。一方で、日本アルプスなどのように信仰の対象ではなく、生活圏から見て厳しいだけの山々には無関心だったため、二つの主張は両立する。

問1-3【解説】

問題の分析:

 問三「傍線部④のマロリーの有名な言葉の意味するところは何か、四十字以内で説明しなさい。」
 この問いは、登山家マロリーの「そこにあるからさ」という言葉が、本文の文脈において何を意味するのかを、40字以内という非常に短い字数で説明することを求めています。

本文中の根拠箇所の特定と文脈の理解:

 まず、傍線部④が含まれる段落(5ページ目)の内容を確認します。

直前の文脈:

 筆者は登山を「文化的な行為であり、近代西欧型の発想を身につけた文明人のみが行なう作業」であり、「探検や研究に通じる」と指摘しています。これは、それ以前に述べられていた信仰登山や、薬草採り・鉱山探しといった実利的な目的の山入りとは異なる、新しい登山観を指しています。
 

直後の記述:

 マロリーの言葉は「近代登山の考え方を端的かつ簡潔に表わしている」と結論付けられています。
 これらの文脈から、マロリーの言葉が意味するのは以下の点に集約されます。

  • 登山に、信仰や経済的な利益といった実利的な目的はない。
  • 山の存在そのものが動機となる。つまり、目の前に存在する未踏の場所や困難な課題を探求し、挑戦すること自体が目的である。
  • この精神が、近代科学の「探求心」にも通じる「近代登山の考え方」である。

解答の構成:

 40字以内という厳しい制限があるため、最も重要な要素を凝縮する必要があります。「実利的な目的がないこと」と「存在そのものが挑戦の動機であること」を組み合わせ、簡潔な言葉で表現します。

(案1)

 実利的な目的のためではなく、困難な対象が存在すること自体が挑戦への動機となること。[40字]

(案2)

 目の前にある困難な課題に対し、利益を求めず挑戦すること自体を目的とする精神。[37字]
どちらの案も趣旨は同じですが、案1は「存在自体が動機」というマロリーの言葉のニュアンスをより直接的に表現しているため、より適切と考えられます。

  1. 模範解答
    実利的な目的からではなく、困難な対象が存在すること自体が、挑戦への動機となること。

問1-3【解答】 (40字)

実利的な目的からではなく、困難な対象が存在すること自体が挑戦への動機となること。

問1-4【解説】

問題の分析:

 問四「この文章の前半では登山について、後半では自然科学について論じられている。この二つはどのように関係するのかを二〇〇字以内で説明しなさい。」
 この問いは、文章の前半で論じられる「登山」と、後半で論じられる「自然科学」の関係性を、文章全体の論旨を踏まえて200字以内で説明することを求めています。一見すると無関係な二つのテーマが、筆者によってどのように結びつけられているのかを読み解く必要があります。

文章全体の論旨の整理と関係性の特定:

共通の「抑圧されていた時代」:

 文章の後半(6〜8ページ)では、中世ヨーロッパのキリスト教的世界観が、人々の精神を支配していた状況が描かれています。この世界観のもとでは、自分の目で自然を観察したり、好奇心をもって探求したりする態度は生まれませんでした。
 

登山への影響:

 この精神風土では、山は「悪魔の棲家」と見なされ、探求や美の対象ではなく、恐怖の対象でした。

自然科学への影響:

 同様に、ガリレイの地動説のように、教義に反する独自の観察や思索は「異端」として罰せられました。
 つまり、「キリスト教的権威による、自然への好奇心や探求精神の抑圧」という点で、近代以前の登山と自然科学は共通の背景を持っていました。

共通の「誕生の精神」:

 筆者は5ページで、「近代的な登山の始まりは、近代の自然科学の開始とほぼ時期を同じくしている」と明確に述べています。そして、マロリーの言葉を引いて、近代登山が「探検や研究に通じる」精神、すなわち未知なるものへ好奇心から挑む精神に基づいていることを示しています。
 これは、後半で述べられる、教会の権威に屈せず自らの観察と思考を貫こうとした科学者たちの「探求精神」と通底します。

関係性の結論:

 したがって、両者の関係は、「中世のキリスト教的世界観という共通の抑圧から、近代的な探求精神の誕生によって同時に解放され、発展した」という点にあります。「近代登山」と「近代自然科学」は、同じ精神的変革から生まれた、いわば兄弟のような関係として描かれています。

解答の構成:

 上記の結論を200字以内でまとめます。

  • まず、中世ヨーロッパのキリスト教的世界観が、自然への探求精神を抑圧していた共通の背景を述べる。
  • その結果、山は恐怖の対象となり、科学的探求は異端とされたことを具体例として挙げる。
  • そして、近代登山と近代自然科学の誕生が、その抑圧から脱し、好奇心をもって未知の世界に挑むという共通の精神的変革の表れであることを結論として示す。

問1-4【解答】 (156字)

中世ヨーロッパのキリスト教的世界観は、自然を自分の目で観察し探求する精神を抑圧していた。そのため、山は悪魔の棲家と恐れられ、地動説のような科学的探求は異端とされた。近代登山の誕生は、このような迷信や権威から脱し、好奇心をもって未知の世界を探求するという、近代自然科学の誕生と軌を一つにする精神的変革の表れである。

問2-1【解説】

問題の分析:

 問一「傍線部①に『リスク』とあるが、文章全体で述べられている妻が専業主婦であることの『リスク』すべてについて、対象とその内容を明確にしつつ、一つ一つ箇条書きで列挙しなさい。」
 この問いは、本文【二】全体を読み、妻が専業主婦であることによって生じる「リスク」をすべて探し出すことを求めています。さらに、そのリスク一つひとつについて、「誰/何にとっての(対象)」リスクなのか、そして「どのような(内容)」リスクなのかを明確にしながら、箇条書きでまとめる必要があります。

本文中の根拠箇所の特定:

 文章全体を読み進めながら、「リスク」や、それに類する不利益・危険性について言及している部分を系統的に抜き出します。

離婚のリスク:

 夫にとってのリスク:長年家事を妻に任せきりの場合、離婚を切り出されると「翌日からの日常生活はどうなるのでしょう」と言及されています。

妻にとってのリスク:

 「もっと深刻な問題」として、専業主婦の離婚は「収入がゼロになることを意味する」と指摘され、貧困に陥る可能性が示唆されています。

夫が働けなくなるリスク (10-11ページ):

 夫の「うつなどの病気やリストラ」は珍しくないと述べられています。専業主婦家庭では夫が唯一の稼ぎ手であるため、夫が働けなくなると家計が破綻するリスクがあります。妻の就労は「安全網」として機能すると説明されています。

妻が家事・育児をできなくなるリスク (11ページ):

 妻がインフルエンザになった例が挙げられています。家事能力のない夫では家庭が回らなくなるという、家庭機能の麻痺リスクが示されています。

逸失利益のリスク (11ページ):

 女性が正社員就労を諦めた場合に失う「得られたかもしれない収入」(逸失利益)が、30年間で約1億円から2億円にのぼると具体的に計算されています。これは家計にとっての大きな経済的リスクです。

社会全体のリスク (16-17ページ):

 「植林をしない林業者」のたとえを使い、女性が子育てをしながら働けない職場(=専業主婦モデルを前提とする社会)は、短期的には良くても長期的には社会を維持できなくなると論じています。その結果として「極端な少子高齢社会、人口減少社会に行きついた」と指摘されており、社会の持続可能性そのものに関わるリスクであることがわかります。

解答の構成:

 上記の5つのリスクを、それぞれ「対象」と「内容」が明確にわかるように箇条書きで整理します。

問2-1【解答】

対象:離婚時の夫婦

 夫にとっては、家事を妻に任せきりの場合、日常生活が困難になる。妻にとっては、収入がゼロになり貧困に陥る。

対象:家計

 唯一の稼ぎ手である夫が、うつ病やリストラなどで働けなくなった場合に収入が途絶える。

対象:家庭

 家事育児を一人で担う妻が病気などで倒れた際に、家庭機能が麻痺してしまう。

対象:家計

 妻が正社員として働き続ければ生涯で得られたはずの、億単位の収入(逸失利益)を失う。

対象:日本社会

 女性が働きながら子育てのできない社会構造を助長し、少子高齢化や人口減少を加速させる。

問2-2【解説】

問題の分析:

 問二「傍線部②『時給の高いバイト』とは何か。具体的な時給額とその算出根拠も併せて、一二〇字以内で説明しなさい。」
 この問いは、本文で比喩的に使われている「時給の高いバイト」について、以下の3つの要素を120字以内で説明することを求めています。

  • 「バイト」が具体的に何を指すのか。
  • その時給の算出根拠は何か。
  • 本文で挙げられている具体的な時給額はいくらか。

本文中の根拠箇所の特定:

 文章の12ページから13ページにかけて、この「バイト」に関する詳細な説明があります。

「バイト」の内容の特定:

 筆者は、夫が家事をすることは、妻が正社員として働き続けることを可能にすると述べています。したがって、「時給の高いバイト」とは、妻の正社員就労を可能にする、夫が担う家事や育児を指します。

算出根拠の特定:

 このバイトの時給は、夫の家事によって得られる妻の年収を、夫が家事に費やす年間の労働時間で割ることで算出されると説明されています。具体的には、夫が1日平均3時間の家事をすると年間約1000時間になるとされています。

具体的な時給額の特定:

 上記の算出根拠に基づき、本文では2つの例が挙げられています。

  • 妻の年収が300万円の場合、時給は3000円になる。
  • 妻の年収が500万円の場合、時給は5000円になる。
  • 筆者は、これは男性自身の残業代の時給より高いことが多いと指摘しています。

解答の構成:

 これらの3つの要素を、指定された120字の制限文字数内に収まるように、論理的かつ簡潔にまとめます。

問2-2【解答】 (112字)

妻の正社員就労を可能にする夫による家事や育児のことを指しており、その価値は、夫の家事によって得られる妻の年収を、夫の年間家事時間で割って算出されている。例えば、妻の年収が三百万円なら時給三千円、五百万円なら時給五千円になる。

問2-3【解説】

問題の分析:

 問三「筆者の主張を八〇字以内で要約しなさい。」
この問いは、文章【二】全体を通して筆者が最も伝えたい中心的な主張(メッセージ)を、80字以内という短い字数で要約することを求めています。文章の細部ではなく、全体を貫く核心的な論旨を捉える必要があります。

文章全体の論旨の整理:

 まず、筆者の議論の流れを整理します。

問題提起:

 妻が専業主婦であるという伝統的な家族モデルは、離婚、夫の失業、逸失利益、社会の持続可能性など、個人・家庭・社会の各レベルで多くの「リスク」を抱えている。

解決策の提示:

 そのリスクを回避・軽減する解決策は、夫が家事・育児へ主体的に関わり、妻が正社員として働き続ける共働きモデルへ移行することである。

論拠(なぜそれが良いのか):

 この移行は、単なる男女平等の理念の問題ではない。むしろ、家計にとっては妻の収入という莫大な利益をもたらし、夫の家事は「時給の高いバイト」に等しいという、極めて「合理的」な選択である。さらに、社会にとっては、少子高齢化を食い止め、持続可能な社会を築くために不可欠な取り組みである。

結論・行動喚起:

 したがって、男性は自分の成果だけを最大化しようとする考えを改め、「夫婦ふたりのアウトプットを最大化する」という視点を持つべきである。

要約のポイント:

 上記の流れから、筆者の主張の核心は「男性が家事育児を分担し、夫婦共働きをすることは、個人のリスク回避だけでなく、家計や社会全体にとっても『合理的』な選択である」という点に集約されます。80字という制限の中で、この「合理性」というキーワードと、その恩恵が「家計」と「社会」の両方に及ぶことを含めることが重要です。

要約文の作成と推敲:

 上記のポイントを基に、80字以内で文章を作成します。

(要素)

 専業主婦家庭のリスク → 男性の家事育児分担 → それは合理的 → 家計にも社会にも良い → 夫婦で成果を最大化

(下書き)

 専業主婦家庭のリスクを避け、男性が家事育児を分担することは、家計と社会にとって極めて合理的な選択だ。夫婦二人の成果を最大化する視点が必要である。

(推敲・文字数調整)

 「専業主婦家庭のリスクを避け、男性が家事育児を分担することは家計にも社会にも合理的選択だ。個人の成果でなく夫婦で成果を最大化すべきだ。」(78字)
 この文章で、問題提起・解決策・論拠・結論の要点がすべて網羅できています。

問2-3【解答】 (72字)

専業主婦家庭のリスクを避け、男性が家事育児を分担することは家計にも社会にも合理的選択であるため、個人の成果でなく夫婦で成果を最大化すべきである。

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