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上智大学 総合人間科学部 心理学科 公募制入試 2022年 過去問解説

問1-1【解説】

 この問題を解くためには、空欄①の前後にある文章の文脈を正確に読み取ることが重要です。

空欄①直前の文章を確認する

 本文には、まず “It takes a village.” という英語のことわざが紹介されています。そして、その意味が「子育てには一つの村が必要」であると説明された後、「うちの息子を育てているのも親や学校の先生だけじゃない。」と続きます。
 この部分から、「息子の成長には、親や学校の先生以外にも多くの人が関わっている」というテーマが提示されていることがわかります。

空欄①直後の文章を確認する

 空欄①の後には、「こうやって周囲のいろいろな人々から彼は育てられてきたのである。」と書かれています。
 「こうやって」という言葉は、直前の内容(空欄①を含む文)を指しています。そして、「周囲のいろいろな人々」が育ててきた、と結論づけています。

文脈から空欄の内容を推測する

 以上の前後関係から、空欄①には「親や学校の先生だけじゃない」という部分を具体的に言い換える内容が入ると考えられます。
 直前に引用された「子育てには一つの村が必要 (It takes a village.)」という言葉を直接的に受けて、「村」全体が子育てに関わっている、という趣旨の言葉を入れるのが最も自然な流れとなります。

字数制限に合わせて解答を作成する

 導き出した内容を「二十字以内」という指定に合わせてまとめます。「村全体が彼を育てているのだ」といった表現が、文脈に沿っており、字数制限も満たす最適な解答となります。

問1-1【解答】 (X字)

村全体が彼を育てているのだ

問1-2【解説】

 この設問に答えるためには、傍線部②「地べた」が持つ比喩的な意味を、本文の具体的な記述から読み解く必要があります。

傍線部とその前後の文脈を確認する

 傍線部②は「②地べたの相互扶助の精神はとても大事だ」という一文に含まれています。この直前では、ロンドンで起きたグレンフェル・タワー火災の事例が挙げられています。この火災では、行政よりも先に民間の人々が動き出し、大量の支援物資やボランティアが自発的に集まったと述べられています。

「地べた」と対比されるものを探す

 本文では、市民による自発的な助け合いの活動が、「行政」や「自治体」といった公的な組織の動きと対比されています。例えば、大雪の日のホームレス支援は、緊縮財政で自治体が機能しないために「民間がなんとかするしかない」状況で行われています。また、火災の際も「行政より先に動き出したのは民間の人々だった」と明記されています。

比喩的な意味を解釈する

 「地べた」は文字通りには「地面」を意味しますが、ここでは上記のような文脈から、「行政や公的な組織のような『上』のレベルではなく、一般市民のいる『下』のレベル」という比喩的な意味で使われていることがわかります。つまり、「草の根の」「市民レベルの」といったニュアンスです。

字数制限に合わせて解答をまとめる

 以上の解釈を「三十字以内」で簡潔に説明します。「行政などの公的な力に頼らない、市民同士の助け合い」といった要素を盛り込む必要があります。これをまとめると、「行政に頼らず、市民同士が直接助け合うこと」のような解答が導き出せます。

問1-2【解答】 (29字)

行政などの公的な力に頼らずに、市民同士が直接助け合うこと。

問1-3【解説】

 この設問は、筆者が考える「善意」と「エンパシー」の関係性を本文から正確に読み取り、簡潔に説明する能力を問うています。

傍線部③とその直後の文章を精読する

 傍線部③「善意はエンパシーと繋がっている」の直後には、その理由が述べられています。

  • シンパシー(同情・共感)は、自分と似た境遇の人に対して自然に湧く感情であり、「善意は必要ない」とされています。
  • それに対し、筆者は「他人の靴を履いてみる努力を人間にさせるもの。そのひとふんばりをさせる原動力。それこそが善意」であると定義しています。

本文における「エンパシー」の定義を確認する

 本文前半で、「エンパシー」は「他人の感情や経験などを理解する能力」であり、「自分と違う理念や信念を持つ人」について想像する「知的作業」だと説明されています。また、「他人の靴を履いてみること」という比喩で表現されています。

「善意」と「エンパシー」の関係を整理する

 上記1と2を踏まえると、筆者の論理は以下のようになります。

  • エンパシー = 自分とは異なる他者を理解するための、意識的な「努力」(知的作業)。
  • 善意 = その困難な「努力」をしようと人間を後押しする「原動力」。
     つまり、「自分とは違う他者を理解しよう」というエンパシーの実践には、困難が伴うため、それを乗り越えさせようとする「善意」という心の働きが必要不可欠である、というのが筆者の考えです。

字数制限に合わせて解答を作成する

 「善意が、エンパシーという『努力』の『原動力』である」という核心的な関係性を、「三十字以内」で表現します。「善意が、他者理解の努力であるエンパシーの原動力だから」といった形にまとめると、本文の内容を過不足なく、かつ制限字数内で説明できます。

問1-3【解答】 (27字)

善意が、他者理解の努力であるエンパシーの原動力だから。

問1-4【解説】

 200字という短い字数で文章全体を要約するには、文章の核心的なテーマと、そのテーマを具体的に示すエピソードを的確に抜き出し、両者を論理的に結びつける必要があります。

文章の主要な要素を特定する

 この文章は、大きく分けて二つの要素で構成されています。

理論・学習の要素:

 筆者の息子がイギリスの中学校で受ける「シティズンシップ・エデュケーション」と、そこで学ぶ「エンパシー」(他者の立場を想像する知的作業)の概念。

実践・体験の要素:

 大雪の日に、筆者と息子がホームレス支援のボランティアに参加するエピソード。そこでは、緊縮財政で公的支援が機能しない中、市民による「相互扶助」(地べたの相互扶助)が行われています。

二つの要素をつなぐ核心(テーマ)を見つける

 この文章の最も重要な点は、上記の二つの要素が結びつく瞬間にあります。息子がホームレスの人からキャンディーをもらうという「善意」に触れた経験を通して、筆者は結論に至ります。
 それは、「自分とは異なる他者を理解しようとする『エンパシー』という困難な努力は、それを後押しする『善意』という原動力によって初めて可能になる」という気づきです。

要約の骨格を組み立てる

 上記の分析に基づき、以下の流れで要約を構成します。

導入:

 息子が学校で「エンパシー」について学ぶ。

展開:

 筆者と息子がホームレス支援の現場で、市民による「相互扶助」を体験する。

結論:

 その体験を通じて、筆者は「エンパシー」を実践するための原動力が「善意」であると気づく。

字数内で文章をまとめる

 組み立てた骨格に沿って、キーワード(シティズンシップ教育、エンパシー、相互扶助、善意)を盛り込みながら、二百字以内に収まるように文章を作成します。主題が明確に伝わるように、特に結論部分を的確に表現することが重要です。

問1-4【解答】 (196字)

筆者は、息子がイギリスの中学校で他者の立場を想像する知的作業として「エンパシー」を学ぶ中、大雪の日に参加したホームレス支援ボランティアで市民による相互扶助を目の当たりにした。そこで、息子がホームレスの人からキャンディーをもらった経験は、「自分とは異なる他者を理解しようとする『エンパシー』という困難な努力は、それを後押しする「善意」という原動力によって初めて可能になるという気づきへと導いた。

問2-1【解説】

 この設問は、文章全体で述べられている「ことばをツールだと思うこと」の弊害を多角的に読み取り、150字以内で要約する能力を求めています。

問題点のリストアップ

 まず、本文の中から筆者が挙げている問題点をすべて抜き出します。

効率・有用性が基準になる:

 言葉がツールだと、どちらが便利か、効率が良いかという観点だけで判断され、文学か論理かといった不毛な議論を生む。

人間の道具化:

 言葉を効率的な道具と見なす発想は、人間を効率よく働く「労働力」と見なすことにつながり、人間そのものを道具扱いすることになる。

言語の単純化と多様性の喪失:

 ツールである以上、簡単で効率的なものが良いとされ、「英語だけできれば十分」という考え方になり、他の言語文化を軽視する風潮を生む。これは人文学の危機につながる。

言語教育の不要化:

 自動翻訳機が進化すれば、ツールとしての言語学習は不要になり、言語教育そのものが自滅しかねない。

根源的な価値の喪失:

 最大の問題として、言葉を軽んじることは、人間が言葉を通じて長年培ってきた「人権、民主主義、自由」といった根源的な価値を決定的に損なう危険がある。

要約の構成

 抜き出した問題点を、論理的な順序で組み立てます。最も効果的な構成は、具体的な問題から始め、筆者が「最大の問題」と位置づける最も深刻な問題で締めくくる形です。

① 身近な問題:

 効率性で判断され、人間も道具扱いされる。

② 教育・文化への影響:

 言語の多様性が失われる。

③ 最終的な帰結:

 人権や民主主義といった根源的な価値が損なわれる。

字数内で文章化

 上記の構成に沿って、各要素を簡潔な言葉でつなぎ合わせ、150字以内にまとめます。それぞれの問題が連鎖的に起こることを示すことで、筆者の危機感を的確に表現します。

問2-1【解答】 (148字)

ことばをツールと捉えると、効率や有用性で判断され、人間も道具扱いされるようになる。また、英語だけを重視するなどといった具合で言語の多様性が失われ、自動翻訳機に代替されることで言語教育が不要になることにも繋がる。最終的には、ことばで培われた人権や民主主義といった根源的な価値が損なわれる危険がある。

問2-2【解説】

 この設問は、筆者の中心的な主張である「ことばが私自身だ」という哲学的な概念を、本文の後半部分から正確に読み取り、250字以内で多角的に説明する力を試すものです。

主張の核心を特定する

 筆者は、「ことばはツール(道具)ではない」と述べた後、その対立概念として「ことばは私自身の存在だ」と提示しています。したがって、解答の第一歩は、この「道具ではない」という否定の側面を明確にすることです。

筆者の説明を分解・整理する

 次に、本文の中から「ことばが私自身だ」という主張を裏付ける具体的な説明をすべて抜き出し、整理します。

自己形成の媒体:

 私たちは「立派」「正しい」「優しい」といった言葉を通じて自己を形成する。言葉を離れて「私」という存在はありえない。

世界の構成要素:

 私たちが生きるこの「世界」そのものが、言葉によって成り立っている。私たちの営みとは、世界を言葉で捉え、作り上げていくことである。

社会・文化の基盤:

 人と人との関係(社会)や、歴史を超えて受け継がれるもの(文化・伝統)も、すべて言葉によって成り立っている。

美の創造:

 「美しい」という言葉で表現することによって、私たちは初めて美という存在に出会う。言葉が美を創造している。

要約の構成を組み立てる

 上記の要素を論理的に再構築し、要約の骨格を作ります。

① 主張の提示:

 まず、「言葉は単なる道具ではない」という前提を述べる。

② 自己との関係:

 言葉が「自己形成」の媒体であることを説明する。

③ 世界との関係:

 言葉が「世界」や「社会」「文化」を成り立たせている基盤であることを説明する。

④ 結論:

 したがって、「私」という存在と「世界」は、言葉と切り離すことができず、一体不可分である、と結論づける。

字数内で文章化する

 組み立てた構成に沿って、抜き出した要素を滑らかにつなぎ、250字以内にまとめます。それぞれの要素を網羅することで、筆者の主張を多角的かつ正確に説明することができます。

問2-2【解答】 (232字)

「ことばが私自身だ」という言葉は、単なるツールとして捉えるのではなく、私たちの存在そのものと深く結びついていることを示唆していた。言葉は、私たち自身の自己形成の媒体であり、私たちが世界を認識し、構築する基盤である。私たちは言葉を通じて自己を定義し、言葉で世界を捉え、創造する。さらに、社会や文化、美そのものもまた、言葉によって成立する。このように、筆者は、言葉が単に情報を伝達する手段ではなく、私たちが生きる世界と自己を形作る不可欠な要素であることを強調している。

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