問1【解説】
問1は、本文と図表(表8.2と表8.3)を読み取り、文中の空欄①~⑭に適切な数字または国名を記入する問題です。
ステップ1: 本文の構造を理解する
本文は東アジアの教育と経済発展の関係について論じており、具体的には:
- 1960年代の初等・中等教育の就学率
- 1974-1976年の中等教育の就学率の変化
- 1990年の平均就学年数
これらのデータを表8.2と表8.3から読み取る必要があります。
ステップ2: 各空欄の文脈を確認し、該当する数値を探す
①~④(1960年の教育統計)
本文では「発展途上国全体での初等教育の就学率の平均は低く、(①)%であった」とあります。
- 表8.2の1960年、発展途上国の初等教育欄を確認 → 73
「1960年の「アジアの虎」諸国の中等教育の就学率は先進国と比べるとまだ低く、(②)%(香港)から(③)%(台湾)の間であった」
- 表8.2の1960年、香港の中等教育 → 20
- 表8.2の1960年、台湾の中等教育 → 33
「それでも(④)%という発展途上国の平均よりも少し高かった」
- 表8.2の1960年、発展途上国の中等教育 → 15
⑤~⑦(1974-1976年の教育統計)
「1974年から1976年の間には…中等教育の就学率の幅は、下は62%(⑤国名)から上は96%(⑥国名)まで」
- 表8.2の1974年で中等教育62% → シンガポール
- 表8.2の1974年で中等教育96% → 韓国
「発展途上国の平均(⑦)%よりもかなり高い」 - 表8.2の1974年、発展途上国の中等教育 → 49
⑧~⑭(1990年の平均就学年数)
表8.3から各国・地域の1990年の数値を読み取ります:
- ⑧韓国 → 9.94
- ⑨香港 → 9.15
- ⑩OECD → 9.02
- ⑪台湾 → 7.98
- ⑫シンガポール → 5.89
- ⑬中東/北アフリカ → 4.47
- ⑭サハラ砂漠以南のアフリカ → 2.93
問1【解答】
| 空欄 | 答え |
|---|---|
| ① | 73 |
| ② | 20 |
| ③ | 33 |
| ④ | 15 |
| ⑤ | シンガポール |
| ⑥ | 韓国 |
| ⑦ | 49 |
| ⑧ | 9.94 |
| ⑨ | 9.15 |
| ⑩ | 9.02 |
| ⑪ | 7.98 |
| ⑫ | 5.89 |
| ⑬ | 4.47 |
| ⑭ | 2.93 |
問2【解説】
設問2は、下線(1)を含む段落の内容に基づき、「東アジアでは、熟練した労働力の確保をどのように行ってきたか」を200字程度で要約する問題です。以下に、解答を作成するための思考プロセスを解説します。
1. 問題の要求を分析する
対象範囲:
下線(1)「熟練した労働力の確保」を含む段落全体。
問われていること:
熟練労働力を「どのように」確保したか、その方法。
字数制限:
200字程度。
2. 対象となる段落の要点を抽出する
まず、指定された段落(1ページ目の(1)から始まる段落)を読み解き、要点を箇条書きで抽出します。
なぜ熟練労働力が必要になったか?
- 当初の労働集約的な発展だけでは不十分になったから。
- 外国からの直接投資を誘致する必要があったから(シンガポール、香港の例)。
- 経済を発展させるため、産業構造を転換する必要があったから。
例:
1970年代の重工業・製品製造業 → 1980年代、90年代の高付加価値のサービス業や製造業。
そのために労働者に何が求められたか?
- より高度な技術。
- 科学的で一流の技術を供給するための、熟練した労働者や管理者。
- 学習したことへの理解力(認知能力)とテクノロジーの浸透を可能にする能力。
どのようにしてその能力を確保したか?
- 教育を通じて、労働者に必要な認知能力や技術を習得させた。
- 教育が、そうした能力の不足を補い、経済発展を支える重要な決定要因であった。
3. 要点を整理し、文章を作成する
次に、抽出した要点を「なぜ(背景・目的)」→「どのように(手段)」の流れで整理し、200字程度の文章にまとめます。
導入(背景):
東アジアでは、当初の労働集約的な経済から、より高度な産業への転換が求められた。
目的:
外国投資の誘致や、重工業、高付加価値サービス業といった産業の高度化に対応するため。
手段(結論):
上記の目的を達成するために、労働者に高度な技術や認知能力を習得させる必要があった。その手段として教育が重要な役割を果たし、熟練した労働力を確保した。
この構成案を元に文章を作成し、文字数を調整します。
問2【解答】(186字)
東アジアでは、当初の労働集約的な発展段階から、各国経済の高度化・複雑化に伴い、より熟練した労働力が必要となっていった。外国からの直接投資誘致や、1970年代以降の重工業、高付加価値サービス業への産業転換に対応していくためである。こうした経済的需要に対し、労働者に高度な技術や認知能力を習得させる教育が重要な役割を担い、質の高い労働力を確保することで経済発展を支えていった。
問3【解説】
設問3は、「本文の内容を踏まえ、現代の東アジアの教育と経済発展の関係について、あなたの考えを400字程度で論じなさい」という、読解内容を基にした意見論述問題です。解答はPREP法(Point, Reason, Example, Point)の構成で作成します。
1. 問題の要求を分析する
テーマ:
現代東アジアにおける「教育」と「経済発展」の関係。
条件1:
「本文の内容を踏まえる」こと。本文では、東アジアが資源の乏しさを教育によって補い、経済発展の段階(労働集約型→高付加価値型)に応じて必要な人材を育成してきたことが述べられています。この論理を基盤にする必要があります。
条件2:
「現代」の視点を入れること。本文が分析する1960年代〜1990年代の状況から一歩進めて、現在の状況について論じる必要があります。
条件3:
「あなたの考え」を述べること。単なる要約ではなく、自分なりの考察を加える必要があります。
文字数:
400字程度。
構成:
PREP法(結論 → 理由 → 具体例 → 結論の再提示)。
2. PREP法に沿って構成を考える
P (Point – 結論):
現代東アジアでも、教育が経済発展を支えるという基本的な関係は続いていると考える。ただし、求められる教育の「質」が大きく変化している。
キーワード:
関係性は維持、ただし質の変化
R (Reason – 理由):
なぜなら、本文で示されたように、経済構造の高度化が教育への要求を変化させるからだ。かつての工業化社会から、現代のAIやIoTなどが主導する知識集約型社会・デジタル社会へと経済のステージが移行したため、教育もそれに適応する必要がある。
キーワード:
経済構造の変化、知識集約型社会への移行
E (Example – 具体例):
本文の時代では、初等・中等教育の普及による識字率の向上や勤勉な労働力の育成が重要だった。しかし現代では、例えば韓国や台湾が国策としてITや半導体分野の高度専門人材の育成に注力しているように、特定の分野でイノベーションを創出できる創造性や専門性を持つ人材を育てることが国家の競争力に直結している。
キーワード:
基礎教育から高度専門教育へ、IT・半導体人材の育成
P (Point – 結論の再提示):
したがって、東アジアが今後も持続的に発展するためには、変化する経済の需要を的確に捉え、教育システムを絶えずアップデートしていくという、本文で示された本質的な関係性を維持し続けることが不可欠である。
キーワード:
持続的発展、教育システムの柔軟な対応
3. 文章化と文字数調整
上記の構成案を元に、400字程度の文章を作成します。各要素を簡潔かつ論理的につなぎ合わせ、指定された文字数に収まるように表現を調整します。
【結論】
現代東アジアにおいても、本文で示された教育が経済発展を牽引するという本質的な関係は、形を変えつつも維持されていると考える。
【理由】
なぜなら、経済構造が本文の時代からさらに高度化・複雑化したからだ。グローバルな競争が激化する現代では、AIやグリーン技術などの先端分野が経済成長の鍵を握る。そのため、国が求める人材も、かつての勤勉な労働力から、新たな価値を創造できる高度な専門性を持つ人材へと変化している。
【具体例】
例えば、本文では初等・中等教育の拡充が経済発展の基盤となったが、現代では台湾が半導体産業の競争力を維持するために大学や大学院での専門人材育成に注力している。これは、経済の需要に応じて教育の内容を変化させてきた東アジアの戦略が、今も続いていることを示している。
【結論の再提示】
したがって、東アジア諸国が今後も持続的に発展するためには、変化する国際経済の要請に合わせ、教育システムを柔軟に改革し続けるという、教育と経済の密接な連携がこれまで以上に不可欠である。
問3【解答】(419字)
現代東アジアにおいても、本文で示された教育が経済発展を牽引するという本質的な関係は、形を変えつつも維持されていると考える。
なぜなら、経済構造が本文の時代からさらに高度化・複雑化したからだ。グローバルな競争が激化する現代では、AIやグリーン技術などの先端分野が経済成長の鍵を握る。そのため、国が求める人材も、かつての勤勉な労働力から、新たな価値を創造できる高度な専門性を持つ人材へと変化している。
例えば、本文では初等・中等教育の拡充が経済発展の基盤となったが、現代では台湾が半導体産業の競争力を維持するために大学や大学院での専門人材育成に注力している。これは、経済の需要に応じて教育の内容を変化させてきた東アジアの戦略が、今も続いていることを示している。
従って、東アジア諸国が今後も持続的に発展するためには、変化する国際経済の要請に合わせ、教育システムを柔軟に改革し続けるという、教育と経済の密接な連携がこれまで以上に不可欠である。



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