問1-1【解説】
傍線部①「脳と寿命の関連性はエネルギーによって仲介されている」の意味を100字以内で説明する問題。
本文の該当箇所を探す:
本文【一】の3段落目に「脳と寿命の関連性はエネルギーによって仲介されている」という記述があります。
前後の文脈を理解する:
- 直前の文章では、「脳サイズと寿命には、直接の関連性は見つかっていない」と述べられています。
- 直後の文章では、「時間はエネルギーの獲得と消費、そして代謝・成長のスピードとして関係する。エネルギーの摂取と消費は、寿命に密接に関係している。脳にも関係したエネルギー問題だから、両者はそれによって、結びつけられているだろう」と説明されています。
内容を要約する:
これらの記述から、以下の点がわかります。
- 脳の大きさと寿命は、直接的には関係ない。
- しかし、「脳」も「寿命」も、どちらも「エネルギー」という共通の要因と深く関わっている。
- 具体的には、脳は多くのエネルギーを消費する器官であり、生物全体のエネルギーの使い方が寿命を左右するため、両者は「エネルギー」を介して間接的に結びついている、と筆者は主張しています。
100字以内にまとめる:
上記の要約を字数制限内に収まるように調整します。
「脳の大きさと寿命に直接的な関係はないが、両者は共通の要因であるエネルギーと深く関わる。脳はエネルギーを多く消費し、生物のエネルギー代謝のあり方が寿命を左右するため、エネルギーを介して間接的に結びつく。」(100字)
問1-1【解答】 (100字)
脳の大きさと寿命に直接的な関係はないが、両者は共通の要因であるエネルギーと深く関わる。脳はエネルギーを多く消費し、生物のエネルギー代謝のあり方が寿命を左右するため、エネルギーを介して間接的に結びつく。
問1-2【解説】
本文の該当箇所を探す:
本文【一】の4段落目に、レイモンド・パールが提唱した「生命活動速度仮説」の説明があります。空欄②は、この仮説を簡単に要約する部分に当たります。
仮説の核心を掴む:
本文には、「最大寿命と比代謝率(体重1gあたり、1日あたりの消費エネルギー)の間の関係を多くの哺乳類で比較すると、反比例の関係が見られる」と明記されています。
「反比例」の意味を解釈する:
「反比例」とは、一方の数値が大きくなると、もう一方の数値が小さくなる関係を指します。この文脈に当てはめると、以下のようになります。
比代謝率が高い(=単位時間あたりに消費するエネルギーが大きい、つまり急速にエネルギーを消費する)種ほど、最大寿命は短い(=短命)。
比代謝率が低い(=単位時間あたりに消費するエネルギーが小さい、つまりゆっくりとエネルギーを使う)種ほど、最大寿命は長い(=長命)。
選択肢を吟味する:
A:
「急速にエネルギーを消費する種は短命で、逆にゆっくりとエネルギーを使う種は長命であることを意味する」 これは、上記で解釈した「反比例の関係」と完全に一致します。
B:
「急速にエネルギーを消費する種は長命で、逆にゆっくりとエネルギーを使う種は短命であることを意味する」 これは「比例の関係」を述べており、本文の記述と矛盾します。
結論を出す:
したがって、正しい選択肢はAとなります。
問1-2【解答】
A
問1-3【解説】
設問の理解:
この設問は、傍線部③に関連して、「ヒトの長寿が、生物の究極的な目的である『生殖的成功』にどのように貢献しているか」を、本文の内容に沿って200字以内で説明するよう求めています。
本文の該当箇所を特定する:
傍線部③は、本文【一】の3ページにあります。その後の段落で、「生殖的成功」の考え方が説明され、具体的なヒトの長寿に関する説明は4ページに記述されています。
貢献の理由を本文から抽出する:
4ページには、以下の主旨の記述があります。
- 生物の生殖的成功は、単に子を産むことではなく、「子が成熟するまで育って、はじめて親の生殖的成功にカウントされる」。
- 「子を養育する種では、その子の成長を見守ることによって、その親は生殖的成功を上昇させることができる」。
- 特に「成長期間が長いヒトやその他の霊長類」 にとって、親が長く生き、子の養育期間を確保することが重要になる。
論理を組み立て、要約する:
上記のポイントを繋ぎ合わせると、以下のような論理になります。
- 前提: ヒトの子は、成熟するまでに非常に長い時間がかかる。
- 貢献: 親が長生きすることで、その長い成長期間を通じて子を養育し、危険から守り、成熟するまで見届けることができる。
- 結論: 子が無事に成熟して初めて親の「生殖的成功」となるため、親の長寿は、子を確実に育て上げることを可能にし、生殖的成功を高める上で不可欠である。
200字以内で解答を作成する:
組み立てた論理を、指定された字数内に収まるように簡潔な文章にまとめます。
問1-3【解答】 (181字)
ヒトの長寿は、生物の究極的目的である生殖的成功に重要な役割を果たしている。ヒトの子は成熟までに長い時間を要するため、親が長く生きることで養育や保護を続け、子の生存率を高めることができる。また、親は経験や知識を伝えることで、子が社会的に自立し繁栄する基盤を築く。したがって、親の長寿は子を成熟まで導き、生殖的成功を確実にするうえで不可欠な進化的適応であるといえる。
問1-4【解説】
設問の理解:
この設問は、傍線部④に関連し、生物の生殖戦略である「一回生殖型」と「多数回生殖型」について、「どちらが圧倒的によいとはいえない」のはなぜか、その理由を本文の説明に沿って200字以内で述べるよう求めています。
本文の該当箇所を特定する:
傍線部④は、本文【一】の4ページにあります。この傍線部を含む段落で、二つの生殖戦略が比較・説明されています。
各戦略の利点と欠点を本文から抽出する:
本文では、それぞれの戦略について以下のように説明されています。
一回生殖型:
欠点:
ある生殖シーズンに何らかの不都合が起こると、それまでの成長や生殖への努力が全て無駄になってしまうリスクがある。
多数回生殖型:
利点:
あるシーズンがうまくいかなくても、次の機会に挽回することで、生涯を通した生殖成績を確保できる。
欠点:
長期間にわたって身体を健全に保つ必要があり、獲得したエネルギーの全てを生殖に振り分けることはできない。
理由を組み立てる:
上記の利点・欠点を整理すると、「どちらも一長一短である」という理由が浮かび上がります。
- 一回生殖型は、一度の生殖に全てを賭けるハイリスクな戦略です。
- 多数回生殖型は、リスクを分散する代わりに、一度の生殖に投入できるエネルギーに制約がかかる戦略です。
- このように、片方の戦略の欠点がもう一方の利点となっており、逆もまた然りであるため、どちらか一方が絶対的に優れているとは言えません。
200字以内で解答を作成する:
このトレードオフ(一長一短)の関係を、指定された字数内で明確に記述します。
問1-4【解答】 (197字)
生物の生殖戦略を一回生殖型と多数回生殖型に分け、それぞれの利点と欠点を対比している。一回生殖型は、一度の生殖に全エネルギーを集中できる効率的な戦略だが、その時期に不都合が生じると努力が全て無駄になるという高いリスクを伴う。一方、多数回生殖型は複数回の機会があるため失敗を挽回できるが、長期間体を維持する必要があり、一度の生殖に投入できるエネルギーが制限される。このように両者には一長一短がある。
問1-5【解説】
設問の理解:
この設問は、傍線部⑤「加齢に関係する身体内メカニズム」について、本文中でどのように説明されているかを200字以内で述べるよう求めています。
本文の該当箇所を特定する:
傍線部⑤は、5ページにあります。このメカニズムに関する具体的な説明は、その直後の段落から6ページにかけて記述されています。
メカニズムの要点を本文から抽出する:
本文の説明は、大きく分けて「損傷の原因」と「老化のプロセス」の2段階で構成されています。
損傷の原因:
- 生物が食物からエネルギーを得るための代謝(酸化)の過程で、有害な副産物である「活性酸素」が生じる。
- この活性酸素が、細胞の様々な部分に損傷を引き起こす。
老化のプロセス:
- 身体には、活性酸素に対抗する防御システムや、受けた損傷を補修するメカニズムが備わっている。
- しかし、その補修が損傷の発生に追いつかず、損傷が徐々に身体に蓄積していく。
- この「補修しきれない損傷の蓄積」が行き着いた先が「老化」である。
論理を組み立て、要約する:
上記のポイントを論理的に繋ぎ合わせ、一つのメカニズムとしてまとめます。
- 発生源: 生命活動に必須のエネルギー代謝。
- 作用: 代謝の過程で生じる活性酸素が細胞を傷つける。
- 結果: 身体の補修能力が追いつかず、処理しきれない損傷が蓄積し、身体機能が損なわれていく。これが老化の正体である。
200字以内で解答を作成する:
組み立てた論理を、指定された字数内に収まるように簡潔な文章にまとめます。
問1-5【解答】 (195字)
老化の仕組みを「損傷の原因」と「老化のプロセス」という二段階で説明する。まず、生物が食物からエネルギーを得る代謝の過程で、活性酸素が発生し、細胞の様々な部分を損傷させる。次に、体内にはこの損傷に対抗する防御機能や補修システムが備わっているが、損傷の速度に修復が追いつかない。こうして補修しきれない損傷が徐々に蓄積し、細胞や組織の機能が衰えていく。これが、老化進行の基本的なメカニズムである。
問2-1【解説】
設問の分解:
この設問は、2つの要素について回答を求めています。
- ①傍線部「自然科学的説明は常識に反している」とは、どういうことか。
- ②筆者はその主張を、どのように説明しているか。
本文の該当箇所を特定する:
傍線部①は、文章【二】の冒頭にあります。設問で問われている「どういうことか(意味)」と「どのように説明しているか(具体例)」は、その直後の第一段落と第二段落に記述されています。
パート①(意味)の要点を抽出する:
筆者はまず「常識」を「人間が日常生活の中で自然に行なう推論」と定義しています。つまり、「自然科学的説明は常識に反している」とは、科学的な真実が、私たちの日常生活における直感的なものの見方や考え方とは食い違う、ということを意味します。
パート②(説明方法)の要点を抽出する:
筆者はこの主張を裏付けるために、具体的な対比の例を挙げています。これらの例を用いて、直感(常識)と事実(科学)がいかに異なるかを示し、自らの主張を説明しています。
例1:
- 常識: 「太陽は毎朝東から上って西に沈む」
- 科学: 「太陽は動かず、われわれの乗っている地球こそが西から東に回っている」
例2:
- 常識: 「物を燃やせば煙が立ち上り、何かが失われていく」
- 科学: 「物に酸素が結合する」
200字以内で解答を統合・作成する:
上記2つのパートの要点を組み合わせ、指定された字数内に収まるように簡潔な文章にまとめます。
問2-1【解答】 (192字)
筆者は「常識」を「日常生活で自然に行う推論」と定義し、「科学的説明は常識に反する」とは、科学の真実が直感的理解と食い違うことを意味すると述べている。また、その主張を説明するために、筆者は常識と科学の対比を具体例で示している。例えば、太陽が動くように見えるのは常識だが、実際は地球が回転している。また、筆者は燃焼では物が消えるように見えるが、科学的には酸素が結合していると説明している。
問2-2【解説】
設問の理解:
この設問は、文章【二】全体の内容を最も的確に表すタイトルを、5つの選択肢の中から一つ選ぶことを求めています。そのためには、文章全体の主題を正確に把握する必要があります。
文章【二】の主題の把握:
この文章は、「自然科学的説明は常識(=日常の直感的な推論)に反する」という前提から始まります。特に、物理現象などと比べて「人間の行動や思考に関する科学的説明」は、人々にとって受け入れがたいものである、という問題提起がなされます。
その理由として、人間は自分の行動を自らの意志で決定していると「意識」しているが、実際には脳の働きの大部分は無意識的に処理されている、というギャップが指摘されます。
筆者は、この意識と無意識の働きを解明しようとする現代の研究(認知神経科学や進化的研究)に触れつつ、最終的に「なぜ人々は、自らの意志の及ばない何かで自分が支配されているかもしれない、という生物学的説明を嫌うのか」という問いで締めくくります。
つまり、この文章の主題は、「人間が自らの『脳』を使って、自分自身の『脳』の働きや、それに伴う意識・無意識の作用を科学的に理解しようとすることの難しさや、それに対する抵抗」について論じたものと言えます。
各選択肢の吟味:
1. 脳から見た宇宙:
文章のテーマは宇宙ではなく、人間の脳そのものです。不適切です。
2. フロイトはなぜ嫌われたのか:
フロイトは無意識の重要性を指摘した人物として一度言及されるだけです。文章の主題ではありません。不適切です。
3. 脳が脳の働きを理解する:
これは文章の主題と完全に一致します。人間が、科学というツール(これも脳の産物)を使って、自分自身の脳の仕組みを、常識や直感という脳の働きに抗いながら理解しようとする試みを描いています。最も適切です。
4. 自然科学的説明の功罪:
文章は科学的説明の「罪(デメリット)」については深く論じておらず、むしろそのアプローチの重要性を説いています。主題とは少しずれます。不適切です。
5. 認知神経科学の最前線:
認知神経科学は、脳を理解するための一つのアプローチとして紹介されているに過ぎません。文章全体のタイトルとしては専門的すぎ、範囲が狭すぎます。不適切です。
結論の決定:
以上の吟味から、文章全体のテーマを最も的確に表現しているタイトルは選択肢3であると結論付けられます。
問2-2【解答】
3



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