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上智大学 総合人間科学部 心理学科 公募制入試 2020年 過去問解説

問1-1【解説】

はい、承知いたしました。添付された画像にある【一】の問一についての解答プロセスと回答を以下に示します。
解答プロセス

問題の確認

 問題は、文章【一】の1ページ目にある空欄 a に当てはまる最も適切な語句を選択肢から選ぶことです。

空欄 a を含む文章の特定

 課題文の1ページ目(ソース[1])から、空欄 a を含む一文を特定します。

該当箇所

「遊隙とは、あらかじめ静力学的に算定され、しっかりと固定された構築物の、誤謬をゆるさない安定した秩序の一義性にくらべて、ひとつの未決定で不安定で自在な余裕であり、遊動とは、その内部に生じる、算定不能な a である。」
 

文脈の分析

 この文は、「遊隙(ゆうげき)」と「遊動(ゆうどう)」という概念を説明しています。ここでの重要な手がかりは、「算定不能な」という修飾語です。「算定」とは計算して物事を定めることであり、これは科学的・合理的なアプローチを指します。したがって、「算定不能」とは、そのような合理的・科学的な予測や計算が及ばない性質を持つことを意味します。

「遊隙」

 「静力学的に算定され、しっかりと固定された構築物の、誤謬をゆるさない安定した秩序の一義性」と対比されています。つまり、計算可能で固定的、意味が一つに定まるものとは逆の、「未決定で不安定で自在な余裕」と説明されています。

「遊動」

 その「遊隙」の中で生じるものであり、「算定不能な a 」であると述べられています。
 

選択肢の検討

 上記の分析を踏まえ、各選択肢を吟味します。

① 芸術性:

 遊びが芸術的である側面もありますが、「算定不能」という言葉と直接的に結びつくわけではなく、文脈の論理的な対比関係からは少しずれます。

② 多義性:

 意味が複数あることですが、「遊動」は運動や現象そのものを指しており、意味の多さよりも、その動きの予測不可能性が主題です。

③ 非合理性:

 「合理的でないこと」を意味します。本文で対比されている「静力学的に算定」できる「安定した秩序」が合理的な世界であるのに対し、「算定不能」な「遊動」はまさに「非合理性」を持つと言えます。文脈に最も適合します。

④ 科学性:

 本文中で対比されている概念(静力学、算定)が持つ性質であり、「遊動」はそれとは逆の性質を持つため不適切です。

⑤ 明示性:

 はっきりと示されていることですが、「未決定で不安定」なものとは逆の性質であり、不適切です。

結論

 文脈上、「遊動」は「算定可能で合理的な秩序」と対極にあるものとして説明されています。「算定不能」という言葉は、その性質が合理的ではないことを示しているため、「非合理性」が最も適切な語句となります。

問1-1【解答】

③ 非合理性

問1-2【解説】

問題の確認

 問題は、文章【一】の7ページ目にある空欄 b に当てはまる最も適切な語句を、本文中から探し出して記述することです。

空欄 b を含む文章の特定

 課題文の7ページ目(ソース[7])から、空欄 b を含む一文を特定します。
 それは、ものとわたしのあいだで、いずれが主体とも客体ともわかちがたく、つかずはなれずゆきつもどりつする b のパトス的関係である。
 

文脈の分析

 この文は、筆者が考える「遊び」の本質を要約している部分です。

  • 「遊び」とは、特定の活動ではなく、「関係」であり、「存在様態」であると述べられています。
  • その関係は、「ものとわたしのあいだ」で生じ、「いずれが主体とも客体ともわかちがたい」という特徴を持っています。
  • そして、その関係における動きが「つかずはなれずゆきつもどりつする」と表現されています。この描写が、空欄 b に入る語句を特定するための最大のヒントとなります。

本文中からの語句探索

 問題の指示に従い、「つかずはなれずゆきつもどりつする」という動きを表す適切な語句を本文中から探します。
 本文1ページ目に、筆者による重要な定義があります。

該当箇所

「この余地の内部であてどなくゆれ動く、往還の反復の振り、すなわち、現象ないし行動がとる遊びという様態とが存在することである。いま、われわれは、そのような遊びの隙、余地を、”遊隙”と呼び、また、その内部に生じる遊びの振り、運動様態を、”遊動”と呼ぼう。」

ポイント

  • ここで筆者は、遊びにおける「あてどなくゆれ動く、往還の反復の振り」という運動様態を「遊動」と名付けています。
  • この「往還の反復の振り」という説明は、問われている箇所の「つかずはなれずゆきつもどりつする」という表現と意味的に完全に一致します。
  • 本文を通して「遊動」は、主体と客体の区別が曖昧になるような、あてどない動きを指すキーワードとして一貫して使われています。

結論

 空欄 b を含む文は、それまでの議論を総括し、「遊び」を主体と客体が相互作用する動的な関係として捉え直しています。その動きの本質は、筆者が本文の冒頭で定義した「遊動」という言葉で最も的確に表現されます。したがって、空欄 b には「遊動」が入ります。

問1-2【解答】 (X字)

遊動

問1-3【解説】

問題の分析

 この問題は、著者が考える「遊び」の特徴を200字以内で要約するものです。ただし、解答には必ず「秩序関係」という言葉を含める必要があります。この指定されたキーワードが、解答を構成する上で中心的な要素となります。

キーワード「秩序関係」の特定

 まず、本文中から「秩序関係」という言葉が登場する箇所を探し、その意味を正確に把握します。

  • 8ページ目で、「遊びの秩序関係、すなわち遊戯関係」とあり、「秩序関係」が「遊戯関係」とほぼ同義で使われていることがわかります。
  • 9ページ目では、「遊びの秩序関係こそが遊びの存在規定であり、ひとは、この遊び関係に完全にまきこまれ同化されることではじめて、遊び手となる」と述べられています。
  • ここから、「秩序関係」とは、遊びそのものが持つ独自のルールや構造であり、人間(遊び手)よりも優位に立つもので、遊び手を規定する力を持つ、ということがわかります。

「遊び」の他の特徴の抽出

 「秩序関係」と関連付けながら、著者が論じる「遊び」の他の重要な特徴を本文から抽出します。

活動ではなく関係性:

 遊びは特定の行動ではなく、主体と客体の区別が曖昧になる独特の「関係」であり、「存在様態」であると述べられています。

遊びの優位性:

 「遊びが遊び手を定義する」という言葉が引用され、遊び手の意識や意図よりも、遊びそのもの(秩序関係)が優位に立つと強調されています。

主体性の解放:

 遊び手は、遊びの「秩序関係」に巻き込まれることで、常に率先して物事を進める(イニシャティブをとる)という課題から解放される、と述べられています。この解放感が、遊びの楽しさの本質であると示唆されています。

要約の構成

 上記で抽出した要素を、200字以内で論理的に繋ぎ合わせます。

  • ①まず、遊びの基本的な定義(特定の活動ではなく、主体と客体の区別が曖昧な関係性であること)を述べます。
  • ②次に、その関係性の本質として、指定キーワードである「秩序関係」を導入し、それが遊び手よりも優位に立つことを説明します。
  • ③最後に、その「秩序関係」に身を委ねることによって、遊び手が「イニシャティブをとる課題」から解放されるという結論に繋げます。

問1-3【解答】 (190字)

遊びとは、特定の行動や目的をもつ活動ではなく、主体と客体の区別が曖昧になる独自の関係性である。ここでは、遊び手は自ら行為を主導するのではなく、遊びそのものが持つ「秩序関係」に巻き込まれ、その関係に規定されることで遊び手となる。つまり遊びは、遊び手よりも優位に立つ存在であり、遊び手はその秩序に同化することで、常に主体的に判断し続ける負担から解放され、自由と楽しさを感じるのである。

問2-1【解説】

問題の確認

 問題は、文章【二】の傍線部①「この空気」が、筆者によって「眼の構造」の何に例えられているかを「一語」で答えるものです。

傍線部①の文脈の把握

 傍線部①「この空気」は、13ページの天文学に関する記述の中にあります。筆者は、天文学者が宇宙を観測する際、地球の「大気(空気)」が障壁となり、本来の宇宙の姿をありのままに見ることを妨げていると述べています。つまり、「大気(空気)」は、観測対象(宇宙)との間に存在する一種のフィルターとして描かれています。

アナロジー(類推)の構造を理解する

 筆者はこの文章全体を通して、自身の眼の体験と天文観測をアナロジーとして用いています。

  • 天文観測:「観測者」 → 「大気(空気)」 → 「宇宙」
  • 人間の視覚:「見る人(筆者)」 → 「?」 → 「世界」
     この構造における「?」に当てはまるものが、傍線部①「この空気」の例えとなっている眼の構造です。

本文から対応箇所を探す

 筆者は自身の視覚体験について、常に何かを通して世界を見ていると繰り返し述べています。

  • 12ページで、白内障は「目のレンズにあたる水晶体が白濁し見えにくくなる病気」だと説明しています。
  • 14ページでは、「人工レンズ越しに見る左目の世界と、水晶体越しに見る右目の世界」と対比しています。
  • 15ページでは、濁った「水晶体」を「人工レンズ」に置き換える手術について説明しています。
  • 19ページの結論部分で、「両目ともに直接眼内に縫い込まれた人工レンズを通して外界を認識している。それはあくまで近似的なレンズ越しの世界でしかない」と述べています。
     これらの記述から、筆者が外界を認識する際のフィルターとして一貫して意識しているのは、眼の「水晶体」(またはそれに代わる人工レンズ)であることが明確にわかります。

結論

 天文学者が「大気」というフィルターを通して宇宙を見るように、人間は「水晶体」というフィルターを通して世界を見ています。したがって、筆者が「この空気」の例えとして挙げている眼の構造は「水晶体」です。問題の指示は「一語」であるため、「水晶体」と回答するのが最も適切です。

問2-1【解答】

水晶体

問2-2【解説】

問題の分析

 この問題は、傍線部②「天文観測における本質的な限界と同様」について、筆者が述べている天文観測と視覚システムの類似点を100字以内でまとめることを求めています。ポイントは、両者に共通する「本質的な限界」とは何かを本文から正確に読み取ることです。

傍線部の文脈確認

 傍線部②は、文章の結論部分である19ページ(にあります。直前の文で筆者は、自身の視覚について「それはあくまで近似的なレンズ越しの世界でしかない」と述べています。これが、視覚システムにおける「本質的な限界」です。つまり、私たちは世界をありのままに直接見ているのではなく、レンズというフィルターを通して再構成された、近似的な世界を見ているにすぎないということです。

類似点の特定

 次に、天文観測における同様の限界を本文から探します。これらの記述から、天文観測もまた、大気やダークエネルギーといった媒体(フィルター)を通してしか宇宙を観測できない、という限界があることがわかります。

  • 13ページでは、宇宙を観測する際に「大気」が障壁(フィルター)になることが述べられています。
  • 14ページでは、さらに本質的なフィルターとして「ダークエネルギー」が挙げられ、「天文学者が観測する宇宙は、あくまでダークエネルギー越しの世界なのである」と明記されています。 

要点の整理と要約

 以上の点から、両者の類似点は以下のようになります。これらの要素を100字以内にまとめます。

  • 視覚システム: レンズ(水晶体)というフィルターを通してしか、世界を認識できない。
  • 天文観測: 大気やダークエネルギーといったフィルターを通してしか、宇宙を観測できない。
  • 共通する限界: どちらも対象を直接捉えることはできず、フィルター越しに近似的な世界を認識しているにすぎない。

問2-2【解答】 (93字)

人間の視覚がレンズ越しに近似的な世界を認識するのと同様に、天文観測も大気やダークエネルギー等のフィルター越しにしか宇宙を観測することができず、ありのままの世界を直接捉えられないという点。

問2-3【解説】

問題の分析

 この問題は、文章【二】全体から読み取れる「視覚システムの特徴」を、300字以内で要約するものです。筆者の個人的な体験を通して語られる、眼の物理的な構造から脳による情報処理に至るまでの複数の特徴を、整理してまとめる必要があります。

本文からの特徴の抽出

 文章全体を読み、視覚システムに関する記述を網羅的に抜き出します。

物理的構造:

 人間の眼は、レンズに対応する「水晶体」と、検出器に対応する「網膜」からなる光学システムであること。

脳による情報処理①(倒立像の反転):

 水晶体が凸レンズであるため、網膜上には外界が上下逆さまに投影されます。しかし、神経系を通じて脳がこれを再構成するため、私たちは外界と同じ向きに世界を認識しています。

脳による情報処理②(三次元世界の再構成):

 両目からの情報を通じて、脳内に奥行きのある三次元の世界が再構成されること。片目だけでは遠近感がなくなり、世界は二次元的に見えること。

脳による情報処理③(歪みの補正):

 手術後に感じられた活字の歪みが、時間とともになくなった経験から、脳がソフトウェアのように視覚情報を補正する機能を持つ可能性が示唆されていること。

認識の近似性:

 上記の複雑なプロセスを経るため、私たちが見ている世界は外界そのものではなく、角膜、レンズ、網膜、神経、脳といった器官を経て再構成された「近似的な世界」でしかないこと。

要約の構成

 抽出した特徴を、300字以内で論理的に組み立てます。

  • まず、視覚システムが眼という光学系と、脳という情報処理系から成ることを述べます。
  • 次に、脳が果たす具体的な役割(倒立像の反転、三次元世界の再構成、歪みの補正)を複数挙げます。
  • 最後に、これらの複雑なプロセスを経るからこそ、私たちが見ている世界は外界そのものではなく、脳によって再構成された近似的なものである、という筆者の結論で締めくくります。

視覚システムは、水晶体をレンズ、網膜を検出器とする光学システムである。網膜に映る上下逆さまの像は脳内で反転して認識され、両目からの情報をもとに奥行きのある三次元の世界が再構成される。また、脳は視覚情報の歪みをソフトウェアのように補正する機能も持つと考えられる。このように、視覚とは外界を多数の器官を経て脳内で再構成する複雑なプロセスであり、我々が認識しているのは外界そのものではなく、あくまで近似的な世界である。

問2-3【解答】 (289字)

視覚システムは、眼と脳が協働して外界を再構成する仕組みである。まず、眼は水晶体と網膜からなる光学系で、凸レンズである水晶体により外界の像は網膜上で上下逆さまに投影される。しかし脳は神経系を通じてこの像を反転し、私たちは正しい向きの世界を知覚する。また、左右の眼から得られる視覚情報を統合することで、脳は奥行きをもつ三次元空間を再構築している。さらに、筆者が手術後に感じた活字の歪みが次第に消えた経験は、脳が視覚情報のゆがみを自律的に補正する能力を持つことを示す。したがって、私たちが見ている世界は、外界そのものではなく、眼と脳による処理を経て形成された「近似的な像」にすぎない。

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