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上智大学 総合人間科学部 心理学科 公募制入試 2025年 過去問解説

問1-1【解説】

この問題は、傍線部①「体験される時間の長さに影響を及ぼす要因」について、本文(課題文)の説明と合致する選択肢を選ぶ形式です。

選択肢は以下の3つです。

  • ア: 長く
  • イ: 短く
  • ウ: 実際と同じように

各設問の根拠となる箇所を本文中から探し、適切な選択肢を判断します。

1. 童話と単語の比較

設問:

 「同じ単語数からなる童話を読んだ方が、単語をただ読み上げた場合よりも時間が( )感じられる。」

根拠:

  本文12ページ に、「また、ただ単語を読み上げた場合よりは同じ単語数からなる短い童話を読んだほうが、時間が短く感じられる。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はイ (短く)です。

2. 時間経過への注意

設問:

 「時間経過に注意が向くほど同じ時間が( )感じられる。」

根拠:

  本文8ページ に、「時間経過に注意が向くほど、同じ時間がより長く感じられることも知られている。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はア (長く)です。

3. 刺激の多さ

設問:

 「同じ長さの時間でもその間により多くの刺激が提示されるほど時間が( )感じられる。」

根拠:

  本文12ページ に、「同じ長さの時間であってもその間により多くの刺激が提示されるほど、長い時間と感じられる。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はア (長く)です。

4. 空間の大きさ

設問:

 「小さな空間での時間評価よりも、大きな空間で時間評価を行なった方が時間を( )感じる。」

根拠:

  本文10ページ に、「たとえば、より大きな空間で時間評価を行なったほうが、小さな空間での時間評価よりも長くなる傾向がある。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はア (長く)です。

5. 自動車の運転(直進と右左折)

設問:

 「自動車で、道を曲がる際の時間は、まっすぐな道を走る際にかかる時間よりも( )評価される。」

根拠:

  本文14ページ に、「すなわち、まっすぐな道を走る際にかかる時間よりも、道を曲がる際の時間は短く評価される傾向がある」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はイ (短く)です。

問1-1【解答】

  1. イ (短く)
  2. ア (長く)
  3. ア (長く)
  4. ア (長く)
  5. イ (短く)

問1-2【解説】

この問題は、傍線部①「体験される時間の長さに影響を及ぼす要因」について、本文(課題文)で説明されている具体的な事象と時間の感じ方の関係を正しく理解しているかを問う問題です。

選択肢は以下の3つです。

  • ア: はやく
  • イ: ゆっくり
  • ウ: 実際と同じように

各設問の根拠となる箇所を本文中から探し、適切な選択肢を判断します。

1. 発熱したとき

設問:

 「発熱したときは、普段よりも時間が( )進むように感じられる。」

根拠:

  本文6ページ から7ページ にかけて、「発熱しているときは、普段より身体的代謝が激しい。そのため、熱が出たときには普段と比べると時間がゆっくり進むように感じられる。」 と明記されています。

判断:

  したがって、正解はイ (ゆっくり)です。

2. 朝方の心的時計

設問:

 「朝方は心的時計が( )進行する。」

根拠:

  本文4ページ に、「たとえば、1分間を評定させたり…(中略)…、朝方は心的時計がゆっくり進行し、午後に向けて徐々に速くなることが知られている。」とあります。また、5ページ にも「起床後すぐの朝の時間帯には心的時計はゆっくりと進む。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はイ (ゆっくり)です。

3. 極度の緊張

設問:

 「極度の緊張を感じると、心的時間の方が物理的時間よりも( )進行する。」

根拠:

  本文7ページ に、「事故のときのように極度の緊張を感じる際には、心的時間のほうが物理的時間よりも速く進行する…(中略)…ことを示唆する研究はある。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はア (はやく)です。

4. 鬱状態

設問:

 「鬱状態の人は時間が( )進むように感じられる。」

根拠:

  本文16ページ から17ページ にかけて、抑鬱状態について説明があり、「…(鬱の状態にある人の中には)…時間がゆっくりと進んで感じられたりするという。」 と明記されています。

判断:

  したがって、正解はイ (ゆっくり)です。

5. 心の活性化

設問:

 「心が活性化しているときは、心的時間が({ })進む。」

根拠:

  本文3ページ に、「つまり、身体や心が活性化しているときや代謝が激しいときには、心的時計が速く進み、場合によっては物理的時計よりも速くなる。」と明記されています。

判断:

  したがって、正解はア (はやく)です。

問1-2【解答】

  1. イ (ゆっくり)
  2. イ (ゆっくり)
  3. ア (はやく)
  4. イ (ゆっくり)
  5. ア (はやく)

問1-3【解説】

1. 設問の確認

 「傍線部①の『体験される時間の長さに影響を及ぼす要因』に関して、同じ時間の長さであっても、子供と大人ではどのような違いがあると筆者は述べているのか。60字以内で答えなさい。」
 この設問は、筆者が述べている「子供と大人の時間感覚の違い」を、60字以内で要約することを求めています。

2. 課題文(PDF)から根拠箇所を検索

 「子供」と「大人」というキーワードで、時間感覚の違いについて説明している部分を探します。

P. 4:

 「年齢に関しては、年を取るほど時間が経つのが速く感じられるという傾向が知られている。」(=大人は時間が速く感じる)

P. 9:

 「ここにも、大人の時間はなぜ短いのか、という問題を解くカギがありそうだ。」

P. 11:

 「時間以外の知覚様相が時間評価に影響を及ぼすという傾向は、特に子供に顕著である。」

P. 11:

 「同じ空間でも子供のほうが広く判断するということは、さらに子供の時間評価を大人より長めにする傾向を強めるものと考えられる。」(=子供は時間を長く感じる)

P. 12:

 「知覚された出来事の数が増えるほど感じられる時間が長くなるという効果についても、大人よりも子供において顕著であることが知られている。」

P. 13:

 「同じ時間の長さであってもイベントの数が多いほど時間が長く感じられるという傾向が、大人よりも子供において顕著であることは、子供と大人の時間の感じ方の違いに関係していると思われる。」

P. 21:

 (実験結果の要約として)「従来から知られている通り、年を取るほど、同じ時間をより短く感じる(時間があっという間に過ぎるように感じる)傾向があった。」

3. 解答の要約と構成

 筆者の主張は一貫しています。これら2つの要素を60字以内にまとめます。

  • 大人(年を取るほど): 時間が速く過ぎるように感じる(=時間を短く感じる)。
  • 子供: 大人よりも時間を長く感じる傾向がある。

構成案

 どちらも設問の要求を満たしていますが、構成案2の方が「子供」と「大人」の対比が明確であり、課題文の複数の箇所 を網羅しています。

構成案1:

  「大人は時間が速く過ぎるように感じ、子供は大人より時間を長く感じる傾向がある。」(44字)

構成案2:

  「子供は大人より時間を長く感じる傾向があり、大人は年を取るほど時間が速く過ぎるように感じる。」(49字)

問1-3【解答】(55字)

子供は大人より時間を長く感じている傾向がある一方で、大人は年を取るほど時間が速く過ぎるように感じる傾向がある。

問1-4【解説】

1. 設問と傍線部の確認

設問:

 傍線部②の「例外的な被験者がいた」という筆者の指摘は、どのような事実に基づいているか。120字以内で答えなさい。

傍線部②の周辺:

 解答の根拠は、傍線部②の直前にあります。
 「なお、以上はあくまでも3526人の被験者の傾向を集約した結果である。若くても経過時間を過小評価する人もいれば、高齢者で過大評価する人もいた点は述べておいたほうがよいだろう。②例外的な被験者がいたとしても、全体の傾向としては、加齢に従って時間の長さを過小に判断する傾向が強かったということである。」

2. 「全体の傾向」と「例外」の整理

全体の傾向:

 筆者らの実験結果では、「年齢を経るほど経過時間を過小評価する(=時間を短く感じる)」という傾向が確認されました。

例外的な事実:

 この設問で問われているのは、上記の「全体の傾向」から外れた被験者の存在です。本文によれば、それは以下の2つのケースです。

  1. 若くても経過時間を過小評価する人(本来、若者は過小評価しにくい傾向にあるはず)
  2. 高齢者で経過時間を過大評価する人(本来、高齢者は過小評価する傾向にあるはず)

3. 解答の作成(120字以内)

 上記の「全体の傾向」と、それに対する「例外的な事実」を明確にして、120字以内にまとめます。

構成案:

 「全体の傾向」(年齢と共に時間を過小評価する)をまず示し、それとは逆に、「若者なのに過小評価する人」と「高齢者なのに過大評価する人」がいた、という事実を記述します。

問1-4【解答】(113字)

筆者らによる実験において「年齢を経るほど経過時間を過小評価する」という全体の傾向が確認された一方で、実験で確認された傾向から外れて、若くても経過時間を過小評価する人や、高齢者で経過時間を過大評価する人も存在していたという事実。

問2-1【解説】

1. 設問の確認

「傍線部①『人類が急激に減少すれば、その均衡も崩れる』とあるが、筆者はどのような例を挙げることにより、人口減少後に生態環境が以前のバランスを回復することが難しい理由を説明しているか。150字以内で述べなさい。」

着眼点

この設問は、人口が減少した後、生態系が「(人間が介入する)以前のバランス」に戻るのが難しい理由について、筆者が挙げた「例」や「根拠」を150字以内でまとめることを求めています。

2. 課題文から根拠箇所を検索

傍線部①の直後が、設問で問われている「理由」の説明に該当します。

根拠(1):

 「というのも先進国の森林の大部分はすでに原生林ではないし、ヒトとの接触がなかった時代ははるか昔のことである。」

根拠(2):

 「今日では貴重なものとなった里山の自然もヒトとの共生関係から生まれたものであり、熊や鹿、…などの大型野生動物の個体数も、ヒトとの接触やヒトの森林利用との関係で決まっている。」

3. 解答の要点整理

 筆者は、現在の自然環境が、すでに人間との関係性の中で成立している「人間が介入した後のバランス」であることを指摘しています。そのため、単に人間が(人口減少で)いなくなっても、人間が存在しなかった頃の「以前のバランス」には戻らないと主張しています。
 その根拠として、以下の3つの例を挙げています。

  1. 先進国の森林の多くは、もはや「原生林」ではないこと。
  2. 「里山」の自然は、人間との共生関係の中で生まれたものであること。
  3. 熊や鹿などの大型野生動物の個体数も、人間との関係性(接触や森林利用)によって決まっていること。

4. 解答の作成(150字以内)

 上記の3つの要点(例)を盛り込み、「だから以前のバランスには戻らない」という論理構成で文章を作成します。

構成案:

 先進国の森林の多くは原生林ではない点を挙げる。また、里山の自然はヒトとの共生関係から生まれ、熊や鹿など大型野生動物の個体数もヒトとの関係で決まっている。このように、現在の生態系は人間との関係で成立しているため、ヒトが撤退しても以前のバランスを回復するのは困難だと説明している。

問2-1【解答】(143字)

筆者は、先進国の森林の多くが原生林ではない点を挙げている。また、里山の自然はヒトとの共生関係から生まれ、熊や鹿など大型野生動物の個体数もヒトとの関係で決まっていると指摘する。このように、現在の生態系は人間との関係で成立しているため、以前のバランスを回復するのは困難であると説明している。

問2-2【解説】

1. 設問の確認

「傍線部②『世界人口が現在の80億人から40億人に減ったとしても、現在の食料生産方式のままでは生物多様性の減少を止めることはできない』とあるが、どのような食料生産方式にすれば解決の可能性があると筆者は述べているか。100字以内で説明しなさい。」

着眼点

この設問は、現在の食料生産方式が抱える問題(生物多様性の減少)を解決しうると筆者が考える、具体的な「食料生産方式」を100字以内で説明することを求めています。

2. 課題文から根拠箇所を検索

傍線部②では問題点が指摘されています。筆者が提示する「解決の可能性」は、その後述べられています。

根本的な解決策:

 「…この問題を根本的に解決するには、最終的に食料生産を自然生態系から分離するしかない。」

具体的な方式:

 「具体的には、…合成タンパクなどの技術を使い、シンセティック・フード(合成食品)を作産する方向に進化し、その生産設備を自然生態系の食物連鎖…から空間的に隔離することになる。」

3. 解答の要点整理

 筆者が「解決の可能性がある」と述べている生産方式の要点は、以下の3つです。

1. 方法:

 合成タンパクなどの技術で合成食品(シンセティック・フード)を作ること。

2. 設置:

 その生産設備を、自然生態系(食物連鎖)から空間的に隔離すること。

3. 結果:

 上記により、「食料生産を自然生態系から分離する」こと。

4. 解答の作成(100字以内)

 上記の3つの要点を100字に収まるように簡潔にまとめます。

構成案:

(方法)

 合成タンパクなどの技術で合成食品を作産し、

(設置)

 その生産設備を自然生態系から空間的に隔離することで、

(結果)

 食料生産を自然生態系から分離する方式。

問2-2【解答】(94字)

合成タンパクなどを用いて合成食品を生産して、その生産設備を自然生態系から空間的に隔離することで、食料生産そのもののを自然の生態系から分離する方式が生物多様性の減少を止める解決策となること。

問2-3【解説】

1. 設問の確認

 「傍線部③『自然災害の発生確率』に影響を与える要因の一つとして筆者は『人口学的要因』を挙げているが、どのような観点において人口学的要因が自然災害の発生に関与していると述べているか。100字以内で説明しなさい。」

着眼点

 この設問は、筆者が「人口学的要因」(人口規模、密度、年齢構造など)が「自然災害の発生(確率)」に関与すると述べた「観点」を、100字以内で説明することを求めています。

2. 課題文から根拠箇所を検索

 筆者は傍線部③の直後で、ルソーの逸話(リスボン地震)を引き合いに出し、この「観点」を説明しています。

根拠(1):

 「誰も住んでいないところで巨大地震が起きたとすれば、地震発生は報じられても災害とは呼ばないことは容易に理解できる。」

根拠(2):

 「つまり、自然災害は天変地異の発生自体より、人がどこでどのように住んでいるかの方が問題となる。」

根拠(3):

 「…被災者数、死傷者数、…建物や家屋の損傷、経済的損害などは、発生地域の人口規模や人口密度、年齢構造などの人口学的要因…により異なる」

3. 解答の要点整理

 筆者の観点は、「自然災害」とは、単なる「天変地異」とは異なるということです。

  1. ある場所で天変地異が起きても、そこに人が住んでいなければ「災害」とは呼ばれません。
  2. したがって、「自然災害」は「人がどこでどのように住んでいるか」が問題となります。
  3. その被害(被災者数、経済的損害など)の規模は、その地域の人口規模、密度、年齢構造といった「人口学的要因」によって決まります。

4. 解答の作成(100字以内)

上記の要点を100字以内にまとめます。

構成案:

(前提)

 天変地異も、人が住んでいなければ災害とは呼ばれない。

(結論)

 自然災害は「人がどこでどのように住んでいるか」が問題であり、

(具体)

 人口規模や密度、年齢構造が被災者数や被害の規模を決めるとする観点。

問2-3【解答】(93字)

誰も住んでいない場所での天変地異を災害とは呼ばないで、自然災害について「人がどこでどのように住んでいるか」が問題であり、人口規模や密度、年齢構造が被災者数や被害の規模を決めるとする観点。

問2-4【解説】

1. 設問の確認

 「筆者は、地球温暖化による気候変動への対応としてどのような居住方法が良いと述べているか。筆者がそう考える理由もあわせて、250字以内で述べなさい。」

着眼点

この設問は、筆者が提案する「居住方法」と、その「理由」の2点について、250字以内で説明することを求めています。

2. 課題文から根拠箇所を検索

「地球温暖化による気候変動への対応」というキーワードは31ページの冒頭に登場します。ここから32ページにかけてが、解答の根拠となる中心部分です。

3. 「居住方法」の特定

 筆者が良いと述べている「居住方法」の要点を本文から抽出します。

  • 自然災害のリスクが少ない地域に、人口を分散・集約する。
  • 防災能力を高めた大規模コミュニティの世界的なネットワークを築く。
  • (津波や洪水の被害を避けるため)海岸線や河川から離れた、地盤のしっかりした内陸部に、高度なテクノロジーを活かした大都市圏(大規模コミュニティ)を築く。
  • 食料生産や工業生産などのユニットを装備し、可能な限り自然環境から分離したものにする。
  • (さらに進んで)変動する気候帯に合わせて、大都市地域を移動させる。

4. 「そう考える理由」の特定

 なぜ上記の居住方法が良いのか、その「理由」を本文から抽出します。

理由1:

 人類社会が自然環境に与える影響を最小化することができるから。

理由2:

 地球全体の気候変動をコントロールするのは難しいが、自然環境から分離した「人工環境」の地域気象なら十分対応(コントロール)できると(筆者が)思われるから。

5. 解答の作成(250字以内)

 上記の「居住方法」と「理由」を組み合わせて、250字以内にまとめます。

構成案:

(居住方法)

 自然災害のリスクが少なく地盤のしっかりした内陸部に、高度なテクノロジーを活かし、防災能力を高めた大規模コミュニティを築く。このコミュニティは、食料・工業生産ユニットを装備し、自然環境から分離したものにする。

(理由)

 その理由として、人類社会が自然環境に与える影響を最小化できる点を挙げる。また、地球全体の気候制御は困難でも、自然から分離した人工環境の地域気象なら十分対応できると筆者が考えているため。

問2-4【解答】(241字)

 自然災害のリスクが少なく地盤のしっかりした内陸部に、高度なテクノロジーを活かして防災能力を高めた大規模コミュニティを築く方法が良いと述べている。このコミュニティは、食料生産や工業生産などのユニットを装備し、可能な限り自然環境から分離したものにする。
 筆者がそう考える理由は、この方法によって人類社会が自然環境に与える影響を最小化できるためである。また、地球全体の気候変動のコントロールは難しいが、自然環境から分離した人工環境の地域気象であれば十分対応できると考えているからである。

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