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上智大学 総合人間科学部 心理学科 外国人入試 2023年 過去問解説

問1【解説】

設問の確認

 まず、設問を正確に理解します。【問一】傍線部(1) では「知的好奇心」が「忌むべき欲求」だったと述べられている。その理由を60字以内で説明しなさい。

傍線部(1)の確認

 次に、本文中の傍線部(1)とその文脈を確認します。
 傍線部(1)は「このような自然の不思議にたいして理由を求める心――現代風に言うならば『知的好奇心』――それ自体が、肉体的欲望と同類の忌むべき克己すべき欲求に他ならないと見なされている」という部分です。

根拠となる箇所の探索

 傍線部(1)で「なぜ『忌むべき欲求』と見なされているのか」の理由を探すため、その前後の記述を精読します。

傍線部(1)の直前の段落(第4段落):

  • 自然の不思議や奇蹟は「神の啓示であり神の偉大さの顕現」であると述べられています。
  • そのため、人間がすべきことは「その理由を解き明かすことではない」とされています。
  • 結論として、自然の不思議に対して理由を求める姿勢(=知的好奇心)は、そもそも存在しないと書かれています。

傍線部(1)の直後の段落(第5段落):

  • アウグスティヌスの『告白』からの引用で、知的好奇心は「肉の欲と同じ」であり、「むなしい好奇の欲望」だと説明されています。
  • この欲望は「『目の欲』と言われ」、知ること自体が目的となっています。
  • 最終的に「研究それ自体のための自然研究」は、「信仰と別ものというだけではなく、むしろ積極的に信仰に反することになる」と断定されています。

解答の要素を整理し、構成する

 上記の根拠から、解答に含めるべき要素を抽出します。これらの要素を、60字以内という字数制限に合わせて簡潔にまとめます。最も核心的な理由は「信仰に反する」という点です。

前提:

 自然の不思議は「神の偉大さの顕現」であること。

行為:

 その理由を探求すること(=知的好奇心)。

結論:

 その行為は、神の領域に踏み込む「信仰に反する」行為であること。また、「肉体的欲望と同類」と見なされていること。

問1【解答】 (59字)

自然の不思議は神の偉大さの顕現であり、その理由を探求することは、神の領域に踏み込む信仰に反する行為だと考えられたから。

問2【解説】

設問の確認

 まず、設問の内容を正確に把握します。
 【問二】傍線部(2)では知識はなんの利益ももたらさないと主張されている。その理由を60字以内で説明しなさい。

傍線部(2)の確認

 次に、傍線部(2)の箇所とその文脈を探します。傍線部(2)は4ページ目の第5段落にあります。
 「このゆえに人は私たちの外に存する隠れた働きの探究に向かうのであるが、それを知ることはなんの利益をもたらすものではなく、人間はただ知ることのみを望むのである。」

根拠となる箇所の探索

 傍線部(2)で「利益をもたらさない」とされる理由を、その前後の記述から読み解きます。

直前の記述:

 知的好奇心は「肉の欲と同じ身体の感覚による」もので、「むなしい好奇の欲望」であり、「『目の欲』と言われる」とされています。

直後の記述:

 この欲望から、人々は奇蹟を「救いのために求められるのではなく、ただ経験するために要望される」と述べられています。

解答の要素を整理し、構成する

 上記の根拠から、解答に必要な要素を抽出します。これらの要素を、60字以内という制限に合わせて簡潔にまとめます。

  • この文脈でアウグスティヌスが否定している知識の探求は、「ただ知ることのみを望む」行為であること。
  • 本文で示されている本来の目的(=利益)は「救い」であること。
  • つまり、知的好奇心に基づく知識は、「魂の救い」という本来の目的にはつながらず、単に「知りたい」という欲望(目の欲)を満たすに過ぎない、というのが理由になります。
     これらの要素を、60字以内という制限に合わせて簡潔にまとめます。

問2【解答】 (57字)

それは魂の救いという本来の目的のためではなく、ただ経験し知りたいという「目の欲」を満たすためのものに過ぎないから。

問3【解説】

設問の確認

 まず、設問が何を求めているかを正確に理解します。

問題文

 傍線部(3)の意味するところは何か。100字以内で説明しなさい。

着眼点

 この問いは、傍線部(3)のフレーズが、本文全体の文脈の中でどのような意味を持っているかを説明するよう求めています。

傍線部(3)の確認

 次に、本文から傍線部(3)の箇所を探します。これは5ページ目の最後の段落にあります。
 「不思議を不思議なままに受け容れよ、それ以上の穿鑿は信仰に反するという、無知への居直りにたいしてアウグスティヌスの与えた容認、むしろ積極的な御墨付きは、…」

語句と文脈の分析

 傍線部を二つの部分に分けて、その意味と文脈を分析します。

「無知への居直り」とは何か?

 これは傍線部の直前に説明されています。「不思議を不思議なままに受け容れよ、それ以上の穿鑿(せんさく)は信仰に反する」という態度のことです。つまり、自然界の不思議な現象に対して、その理由を科学的に探求しようとせず、「これは神の御業だから解明しようとするのは信仰に反する」と考えて思考を停止してしまう姿勢を指します。

「アウグスティヌスの与えた容認、むしろ積極的な御墨付き」とは何か?

 これは、当時の絶大な権威であったアウグスティヌスが、前述の「無知への居直り」という態度を、単に許した(容認した)だけでなく、積極的に「それで良いのだ」と正当化した(御墨付きを与えた)ことを意味します。本文の第4段落では、アウグスティヌスが自然の不思議を「神の啓示であり神の偉大さの顕現」とみなし、人間が理由を解き明かすべきではないと考えていたことが述べられています。

解答の要素を整理し、構成する

 上記の分析から、解答に盛り込むべき要素をまとめます。これらの要素を、100字以内という字数制限を守りながら、一つの文として自然に繋ぎ合わせます。

誰が:

 (権威者である)アウグスティヌスが

何を:

 自然の不思議の理由を探求せず、「信仰に反する」としてそのまま受け入れる態度(=無知への居直り)を

どうしたか:

 積極的に正当化した(=御墨付きを与えた)こと。

問3【解答】 (95字)

自然の不思議は神の偉大さを顕現したものであり、その理由を探求することは信仰に反するとし、不思議なまま受け入れるべきであるという態度をアウグスティヌスが自らの権威をもって正当化したということ。

問4【解説】

設問の確認

 まず、設問が何を求めているかを正確に把握します。

問題文

 傍線部(4)は具体的にどういうことか。60字以内で説明しなさい。

着眼点

 この問いは、傍線部(4)の「超自然的な働き」という抽象的な言葉を、本文に書かれている具体的な事例を挙げて説明することを要求しています。

傍線部(4)の確認

 次に、本文から傍線部(4)の箇所を探します。これは6ページ目の最初の段落にあります。
 「そして自然物のそれぞれが物理的な力や生理的な作用だけではなく超自然的な働きをも有しているという古代以来の自然観は、…」
 この文で「超自然的な働き」は、「物理的な力」や「生理的な作用」と対比されていることが分かります。

具体的な事例の探索

 本文の中から、「物理的な力」(例:磁石が鉄を引きつける)とは異なる、「超自然的な働き」の具体的な例を探します。これらの例は、科学的・物理的な根拠に基づかない、魔術的・神秘的な力能を指しており、まさに「超自然的な働き」の具体例です。

6ページ目:

 アウグスティヌスが信じていた説として、「ダイヤモンドが磁石の力を妨げ」ることや、「山羊の血が(そのダイヤを)破壊する」ことが挙げられています。

7ページ目:

 中世に信じられていた説として、「磁石は婦人の不貞を見破り」という例が挙げられています。

解答の要素を整理し、構成する

 上記の具体的な事例を使って、60字以内で簡潔に説明します。これらの要素を組み合わせ、字数制限内に収まるようにまとめます。

要素:

  • 自然物が持つと信じられていたこと。
  • 物理的・科学的根拠のない力であること。
  • 具体的な例(ダイヤモンドが磁力を妨げる、山羊の血がダイヤを壊す、など)。

問4【解答】 (58字)

磁石が婦人の不貞を見破る、ダイヤが磁力を妨げる、山羊の血がダイヤを破壊するなど、自然物が持つと信じられた魔術的な力。

問5【解説】

設問の確認

 まず、設問の意図を正確に読み解きます。

問題文

 傍線部(5)と(6)の説は、簡単な実験を行えばそれが正しいかどうか確認できると思われる。それなのにこれらの説が一六世紀になるまで多くの書物で正しいとされていたのはなぜか。百字以内で説明しなさい。

着眼点

 この問いは、以下の二つの要点について説明を求めています。

  • 傍線部(5)「ダイヤが磁力を破壊する話」と(6)「山羊の血がダイヤを破壊する話」という、実験すればすぐに間違いだと分かる説があったこと。
  • それらが、なぜ長期間(中世を通じて16世紀まで)信じられ続けたのか、その理由。

根拠となる箇所の探索

 本文全体、特に後半部分から、なぜ実験による検証が行われず、古い説が信じられ続けたのか、その理由を探します。

権威者の影響:

 絶大な知的権威であったアウグスティヌス自身が、これらの説を「なんの批判も加えることなく復唱している」ため、その説が権威づけられてしまった。

当時の価値観・世界観:

 中世の人々にとって、これらの不思議な話は「磁石が鉄を引き寄せるのと同次元の事実と見なされていた」。現代人のように「荒唐無稽」とは考えず、不思議ではあるが事実だと疑わなかったのです。

知的好奇心・実験の否定:

 本文前半で繰り返し述べられているように、アウグスティヌスの思想では、自然の不思議の理由を探求する「知的好奇心」は信仰に反する「忌むべき欲求」とされていました。このため、説を検証するための「実験」という行為そのものが推奨されませんでした。

実験よりも権威:

 13世紀にロジャー・ベーコンが実験で否定したにもかかわらず、その説は信じられ続けたとあります。これは、実際に実験で確かめることよりも、「古代の文書の権威」が重んじられていたことを示しています。

解答の要素を整理し、構成する

 上記の根拠から、解答に含めるべき中心的な要素をまとめます。これらの要素を、100字以内という字数制限に合わせて、論理的に結合します。

権威:

 アウグスティヌスのような権威者が古代の説を無批判に受け入れ、権威づけたこと。

価値観:

 理由の探求(=実験)が信仰に反するとされ、古代文書の権威が実験による検証よりも優先された当時の風潮。

問5【解答】 (97字)

絶大な権威を持っていたアウグスティヌスによって古代の説が無批判に権威づけられたことに加えて、自然の謎に対する探求は信仰に反するとされ、実験による検証が忌避されて、古代文書の権威が優先されたため。

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