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上智大学 総合人間科学部 心理学科 帰国生入試 2025年 過去問解説

問1-1【解説】

1. 問題の確認

 問題は「本文中の空欄Aにあてはまる最も適切な語句を本文中から五文字以内で抜き出しなさい。」です。

2. 空欄Aの箇所の特定

 本文の1ページ目に空欄Aがあります。

「 A をもたらして、相手の気持ちの読み解きに貢献し、共感力を高めるために使われている。」

3. 文脈の分析

  • 空欄Aの直前(1ページ目)には、「白目」によって「相手の『気持ち』を読む」能力について書かれています。
  • そして、その能力の結果として、「相手と一体化し、お互いの壁を乗り越えて行動を共にできるようになった」と述べられています。
  • 空欄Aを含む文は、この直前の文の内容を受けて、白目がもたらす効果を要約しています。

4. 適切な語句の選定

  • 直前の文にある「(相手と)一体化(し)」という言葉が、空欄Aの文脈に最もよく当てはまります。
  • 「(白目が)一体化をもたらして、相手の気持ちの読み解きに貢献し、共感力を高める」とすると、文意がスムーズに通ります。
  • 「一体化」は3文字であり、「五文字以内」という条件も満たしています。

問1-1【解答】

一体化

問1-2【解説】

1. 問題の確認

 問題は「本文中の空欄BからEに、下記文章(1)から(4)をあてはめるとき、もっともふさわしい順序になるように並べ替えなさい。」という、文章の並べ替え問題です。

2. 空欄箇所の特定と文脈の把握

  • 空欄B、C、D、Eは、本文3ページの「農耕牧畜が抱える本質的な失敗」という小見出しの直後から、「格差社会となった現代では、平等を求める声が世界的に広がっている。」という文章の直前までに挿入されます。
  • したがって、このブロック全体は「農耕牧畜の失敗」と「現代の格差社会」をつなぐ内容になるはずです。

3. 選択肢(1)〜(4)の分析と並べ替え

Bの特定:

 直前の小見出しが「農耕牧畜が抱える本質的な失敗」です。この「失敗」の具体的な説明、あるいはその対比として狩猟採集の話から始めるのが自然です。

  • (3)は、「最初の頃、農耕牧畜は、大変過酷な作業だった。」と、農耕のマイナス面(失敗)から始まります。さらに「狩猟採集は一日に二時間か三時間ほど働くだけ」で、「移住していた」と、農耕との対比を明確に示しています。これが話の導入として最適です。
  • B = (3)

Cの特定:

 (3)の最後で狩猟採集民の「移住」に言及しました。この「移住」と対比できる内容を探します。

  • (1)は、「しかし農耕民は、土地に執着し続けるから、…そこに居続けようとする。」と書かれています。これは(3)の「移住していた」と明確な対比(しかし)になっています。土地に固執することが天変地異に弱く、人口の増減に悩まされるという「失敗」の具体例を続けています。
  • C = (1)

Dの特定:

 (3)と(1)で農耕のマイナス面(過酷さ、土地への執着と脆弱性)を述べました。ここで一度、農耕のプラス面にも触れると、議論が多角的になります。

  • (4)は、「もちろん農耕にもメリットはある。」と、譲歩・転換から始まります。メリット(食料の蓄積、誰もが従事できる)を挙げた後、再び狩猟採集(エキスパートによる差異)との比較に戻り、狩猟採集社会には「平等を原則として、権威をつくらない仕組み」があった、という新しい論点を提示して終わります。
  • D = (4)

Eの特定:

 (4)の最後で「平等を原則として、権威をつくらない仕組み」があったと述べられました。この「仕組み」を具体的に説明する内容が続くはずです。

  • (2)は、「当然ながら個人の能力に差はあるが、そこで所有を認めたら…権威が集中してしまう。それをできるだけ解消するために、誰も所有をできないようにした。」と、(4)で提示された「仕組み」の具体的な中身(私有の禁止、分配による平等の維持)を説明しています。
  • E = (2)

4. 最終確認

 (3) → (1) → (4) → (2) の順で空欄B〜Eに挿入します。

B=(3):

 農耕は過酷。狩猟は楽で移動した。

C=(1):

 しかし農耕民は移動せず土地に執着し、災害に弱い。

D=(4):

 もちろん農耕にメリット(蓄積・平等な労働)もある。対して狩猟は専門家がいたが、平等の仕組みがあった。

E=(2):

 その仕組みとは、能力差があっても所有を認めず、分配することで平等な社会を守ってきた

空欄後の文章: 「格差社会となった現代では…」

 (E)の最後が「平等な社会を守ってきた」で終わり、直後の文章が「格差社会となった現代では」と始まることで、狩猟採集社会と現代社会の完璧な対比が成立します。流れが非常に自然です。

問1-2【解答】

(3) → (1) → (4) → (2)

問1-3【解説】

1. 問題の確認

 問題は「本文中の空欄F・G・Hにそれぞれあてはまる語句として、最も適切なものを下記の語群から一つずつ選び、その番号を答えなさい。」という空欄補充問題です。

語群:

 (1) 家畜, (2) 食料, (3) 牧畜, (4) 狩猟, (5) 権威, (6) 農耕

2. 空欄F・Gの分析(本文4ページ)

該当箇所:

 「中東とヨーロッパの社会は、「F だけではなくて G 社会でもある。キリスト教は「F この宗教だ。」

Fの特定:

 「キリスト教は『F この宗教だ』」という部分が最大のヒントです。キリスト教では、指導者を「牧師(羊飼い)」、信者を「子羊」にたとえるなど、「牧畜」の比喩が伝統的に用いられます。したがって、語群の中で最も適切なのは(3)の「牧畜」です。

Gの特定:

 Fに(3)「牧畜」を入れると、「中東とヨーロッパの社会は、『牧畜』だけではなくて G 社会でもある。」となります。本文では、人類の歴史が「狩猟採集」から「農耕牧畜」へ移行したと述べられています。ここで「牧畜」と並列される概念は(6)「農耕」が最も自然です。

3. 空欄Hの分析(本文4〜5ページ)

該当箇所:

 「人間はHを使って自分たちだけでは耕せないような土地を開墾し、自分たちでは運べないような重たい荷物を運ばせた。そして、人間が食べられないような草を食べさせて、Hの肉もお乳も皮も利用した。」

Hの特定:

 文脈から、労働力として使役され、同時に肉・乳・皮といった資源も提供する動物を指していることが明確です。これらの特徴に合致する語群は(1)「家畜」です。

検証:

 後の文でも「西洋には人間と「H の差別化」、「日本では、「H もいたが、肉もお乳も利用してこなかった」とあり、(1)「家畜」を入れると文意が完全に通ります。

問1-3【解答】

  • F:(3)
  • G:(6)
  • H:(1)

問1-4【解説】

 この問題は、本文に記されている著者の主張と一致するものを(1)から(6)まですべて選ぶ形式です。ただし、「本文中の記載だけからは、著者の主張と一致しているかどうかの判断がつかないものについては、『一致』に含めない」というルールがあります。

1. (1) 農耕牧畜は、土地による価値の違いを生んだ。

本文の該当箇所:

 本文3ページに「定住する必要が生まれたことによって、土地に価値が生じるようになる。」、「もちろん土地もどこも同じではなく、肥沃な土地と荒れた土地では価値の違いが生じる。」とあります。

判断:

 これは選択肢(1)の記述と完全に一致します。

2. (2) 人間は、まず相手の考えを読み取る力を高めたことで、共感能力を獲得する基礎を確立した。

本文の該当箇所:

 本文1ページに「ここで間違えてはいけないのは、白目によって私たちは、相手の「考え」を読んでいるのではなく、相手の「気持ち」を読んでいる点だ。」とあります。

判断:

 著者は「考え」を読むことと「気持ち」を読むことを明確に区別し、人間が先に高めたのは「気持ち」を読む力であると主張しています。したがって、選択肢(2)は「考え」を読み取る力としている点で、本文の主張と一致しません。

3. (3) 人類にとっての適正集団数を超えると、共感能力は発揮されない。

本文の該当箇所:

 本文4ページに、小規模な社会では集団の内外関係なく共感力が役立っていたが、「農耕牧畜で領土が生まれ、ずっとその中だけで暮らしていると、領土内に住む人々の間でしか共感が通じなくなる。」とあります。また、本文7ページでは、大規模な集団(国家など)が「共通の敵」を作ることで仲間意識(共感)を高めると述べています。

判断:

 適正集団数(本文によれば150人)を超えても、共感能力が「発揮されない」わけではありません。むしろ、集団の内部に限定されたり、敵を排除するために利用されたりする、と書かれています。したがって、選択肢(3)は本文の主張と一致しません。

4. (4) 狩猟社会は、狩りの得手不得手を明らかにするために、格差社会の引き金となった。

本文の該当箇所:

 本文9ページ(問二の選択肢(4))に「狩猟採集ではエキスパートがそれぞれの能力を駆使して多様な食料を集める。そこには個人的な差異が生まれるが、できるだけ差異が生じないように、平等を原則として、権威をつくらない仕組みが狩猟採集社会にはあった。」とあります。

判断:

 著者は、狩猟社会では能力差(差異)はあったものの、それが格差や権威につながらないよう「平等を原則とする仕組み」があったと主張しています。選択肢(4)は「格差社会の引き金となった」としており、本文の主張と一致しません(むしろ逆です)。

5. (5) 人類が定住するようになったことと宗教との間には、密接なつながりがある。

本文の該当箇所:

 本文は「定住」(農耕牧畜による)と「宗教」(コミュニティをつなぐ接着剤)についてそれぞれ言及しています。

判断:

 本文は、定住が農耕牧畜によって起こったこと、宗教がコミュニティを大規模化する役割を果たしたことを述べていますが、その二つ(定住と宗教)の間に「密接なつながりがある」とは明記していません。問題のルールに基づき、「判断がつかないもの」として「一致」に含めません。

6. (6) 産業革命は、社会格差に対する問題意識から生まれたといえる側面を持つ。

本文の該当箇所:

 本文5ページに、農耕牧畜によって「上級社会の支配層と下級社会の労働層ができる」とし、「そのような仕組みを徹底したのが産業革命である。」とあります。

判断:

 産業革命は「社会格差に対する問題意識」から生まれたのではなく、むしろ既存の格差(支配層と労働層)の仕組みを「徹底した」(強化・固定化)ものである、と著者は主張しています。したがって、選択肢(6)は本文の主張と一致しません。

問1-4【解答】

(1)

問1-5【解説】

1. 問題の分析

 この問題は、傍線①「悲劇」について、以下の2点を著者の主張に沿ってまとめることを要求しています。

1. 「悲劇」の具体的な内容 (WHAT):

 著者が「悲劇」として何を考えているか。

2. 「悲劇」がもたらされた理由 (WHY):

 なぜその悲劇が起きたと著者は考えているか。

文字数指定:

 250文字以上350文字以内。

2. 「悲劇」の具体的な内容 (WHAT) の特定

  • 本文2ページで、「悲劇」の直後に「戦争のような取り返しのつかない事態」と明記されています。
  • 本文4ページでは、権威者への所有物の集中と分配によって生じる「格差」を「現代にも通じる悲劇」と呼んでいます。
  • 本文5ページでは、人間を家畜と同じように扱う「奴隷制」を「人類の大きな間違い」とし、さらに産業革命による人工的な時間での人間管理を「現在の資本主義の失敗につながる大きな悲劇」と述べています。
  • これらをまとめると、「悲劇」とは、戦争、格差社会、奴隷制、資本主義による人間管理など、人間同士の争いや不平等な支配を指します。

3. 「悲劇」がもたらされた理由 (WHY) の特定

根本原因:

 著者は「共感力は大きな効用とともに残酷な悲劇ももたらした」と述べ、「共感力」が「方向を間違え」たことを根本原因としています。

メカニズム1 (農耕牧畜と領土):

  • 人類の間違いは「言葉の獲得」と「農耕牧畜による食料生産と定住」にあるとされています。
  • 農耕牧畜によって「定住」と「領土」が生まれました。
  • その結果、共感力が「領土内に住む人々の間でしか通じなくなる」という限定的なものに変化しました。

メカニズム2 (言葉と敵):

 「言葉」は、同じ人間を「コウモリのように卑怯なやつだ」とか「鬼畜米英」というように、人間ではない危険な外敵に仕立て上げることを可能にしました。

結論 (共感力の誤用):

 その結果、共感力は、本来の「相手と一体化する」力としてではなく、「共通の敵がつくられる」ことで「団結して排除しようとする」ための力、つまり内集団の結束を強めるために外集団への攻撃性を高める力として誤用されるようになった、と著者は主張しています。

4. 解答の構成 (250〜350字)

(WHAT)

 まず、著者が指す「悲劇」の具体例(戦争、格差、奴隷制、資本主義の失敗)を挙げる。

(WHY – 根本原因)

 次に、その原因が「共感力」の誤用にあると指摘する。

(WHY – メカニズム)

 最後に、共感力が誤用されるに至った経緯(農耕牧畜による「領土」の発生で共感が内向きになり、「言葉」の獲得によって「敵」を定義できるようになったこと)を説明する。

(WHY – 結論)

 これらが組み合わさり、共感力が他者を排除し団結するための道具となり、悲劇を生んだとまとめる。

問1-5【解答】(315字)

 著者が考える「悲劇」とは、戦争のような取り返しのつかない事態、格差、奴隷制、そして資本主義の失敗につながる仕組みなどである。著者は、これらの悲劇がもたらされた原因を、人類が育んできた「共感力」が方向を間違えたためだと考えている。
 具体的には、農耕牧畜による定住が「領土」を生み出し、共感の対象が領土内に住む人々の間に限定されるようになった。さらに、人類は「言葉」を獲得したことで、同じ人間を「鬼畜米英」のように危険な外敵に仕立て上げることが可能になった。
 その結果、本来は仲間と一体化するための共感力が、共通の敵を作らせて、団結して排除するために使われるようになり、大規模な争いや理不尽な暴力を引き起こしたと著者は主張している。

問2-1【解説】

1. 問題の確認

 問題は「傍線部(1)『「人間を数値化して比較することで、私たちは一体何をしていることになるのだろうか?」』という問いに対する筆者の答えを六十字程度でまとめなさい。」です。

2. 傍線部と文脈の特定

 傍線部(1)は、大問【二】の本文の3段落目(14ページ)にあります。これは筆者自身が立てた問いです。したがって、解答は、この問いの直後か、その段落の周辺で筆者が提示している「答え」や「帰結」を見つけることになります。

3. 筆者の「答え」の探索

 傍線部(1)の問いの直後で、筆者は「数値至上主義は偏差値に限った話ではない」と述べ、大学教員や民間企業、学部、大学全体、そして国家に至るまで、あらゆるものが数値目標と成果によって管理されている現状を挙げています。

4. 解答の核心部分の特定

 筆者はその現状を次のように要約しています。これが、筆者が考える「私たちがしていること」の直接的な答えです。

「つまり個人から組織、国家にいたるまで、子どもから大人にいたるまですべて数値で評価されている。数値に基づいて行動が・評価され、価値が決められるのだ。」

5. 解答の作成(60字程度)

 上記で特定した核心部分を、60字程度にまとめます。

要素:

 (A) 個人から国家まで (B) すべて数値で評価し (C) 行動や価値を決めている。

組み立て:

 「個人から組織、国家にいたるまで全てを数値で評価し、その行動や価値を決定づけているということ。」

文字数:

 57文字。これは60字程度という条件を満たしています。

問2-1【解答】(57字)

個人から組織、国家にいたるまであらゆるものが全てを数値で評価されて、その行動や価値を決定づけられているということ。

問2-2【解説】

1. 問題の確認

 問題は「傍線部②「エビデンスに基づく医学が患者を追い詰める様子」について、本文に基づいて百五十字以内で説明しなさい。」です。

2. 傍線部と解答根拠の特定

 傍線部②は、直前の15〜16ページに書かれた哲学者・宮野真生子氏の言葉と、それに対する筆者の解説を受けています。したがって、この部分が解答の根拠となります。

3. 根拠となる内容の抽出

エビデンスの問題点:

 治療法が「確率」で示されること。例えば「四〇%の人には有効」であっても、六〇%には効かないことを意味します。

患者が受ける影響 (1):

 患者は、人生が「リスクと可能性によって…細分化され」、無数の「分岐ルート」を前にしているように感じます。

患者が受ける影響 (2):

 確率が高い治療を選んでも、「つねに数値をめぐって患者は『効かないかもしれない』と不安な状態に置かれる」ことになります。

結論(追い詰める様子):

 この「リスク計算に追われてしまうと、人生の残り時間が確率と不安に支配される」状態こそが、筆者の言う「患者を追い詰める様子」です。

4. 解答の構成(150字以内)

 上記3つの要素(エビデンス=確率、患者の不安、人生が確率に支配される)を150字以内にまとめます。

(導入)

 エビデンスに基づく医療は、治療の有効性を統計的な「確率」で示す。

(展開)

 そのため患者は、常に「効かないかもしれない」という「確率」と「リスク」に向き合わされ、不安な状態に置かれる。

(結論)

 人生が確率的な「分岐ルート」の選択のように感じられ、残り時間が確率と不安に支配されるという形で追い詰められる。

問2-2【解答】(150字)

エビデンスに基づく医療は、治療の有効性を統計的な確率で示す。そのため患者は、治療が「効かないかもしれない」という確率的なリスクと、つねに「不安な状態」に置かれる。人生が、確率に基づき細分化された無数の「分岐ルート」の選択のように感じられ、残りの時間が確率と不安に支配されてしまうことで追い詰められる。

問2-3【解説】

1. 問題の分析

 この問題は、400字以内で以下の二つの要素を(PREP法で)記述することを要求しています。

1. 本文の主張への批判:

 筆者は、「数値化」が不安を生み、人間を管理・支配するといったネガティブな側面を強調しています。この主張の偏りを批判的に指摘する必要があります。

2. 本文を踏まえた「数値化」の意義:

 本文の記述の中からも、数値化のポジティブな側面(意義)を読み取り、指摘する必要があります。

2. 解答の構成(PREP法)

P (Point:結論):

 まず、問いに対して「数値化」の意義とは何か、結論を簡潔に述べます。

R (Reason:理由):

 次に、その結論(意義)がなぜ重要なのかの理由を述べます。ここで、本文の主張(数値化の弊害)が一方的であるという批判を織り交ぜます。

E (Example:具体例):

 理由を裏付ける具体例を、本文の内容を踏まえて提示します。

P (Point:結論の再提示):

 最後に、最初の結論(意義)を再度強調し、締めくくります。

3. 本文から「意義」の根拠を探す

批判の根拠:

 筆者は、数値化による評価、エビデンス(確率)が患者を不安にさせること、規範に従順にさせることなど、ネガティブな側面を主に論じています。

意義の根拠 (1):

 偏差値について、元々は「教員の勘に頼っていた進路指導に、信頼できる指標を導入することが目的だった」と書かれています。これは、「主観」を排し「客観性」や「信頼性」をもたらすという「数値化」の意義を示しています。

意義の根拠 (2):

 EBM(エビデンスに基づく医療)について、筆者自身が「有効な診断方法や治療法が整備されるということには異論がないし、私自身もエビデンスにもとづく医療を選ぶ」と述べています。これは、不安という副作用を認めつつも、「合理的」な意思決定の最良の根拠となるという「数値化」の意義を示しています。

4. PREP法に沿った文章の組み立て

(P) 結論:

 「数値化」の意義は、主観を排した客観的な指標を提供し、合理的な意思決定を可能にすることにある。

(R) 理由・批判:

 本文は数値化が不安や支配を生むという側面に偏っているが、本来、数値化は「勘」などの主観的な判断基準を排除し、信頼できる共通の尺度を提供するために不可欠だからだ。

(E) 具体例:

 本文でも、進路指導に「信頼できる指標」を導入する目的があったことや、筆者自身が「エビデンスにもとづく医療を選ぶ」と述べているように、有効な治療法を選択する根拠となっている。

(P) 結論の再提示:

 このように、数値化は個人の感覚や主観から脱却し、より信頼性が高く公平な判断を行うための基盤を提供する。

5. PREP法に沿った文例

【結論】

 「数値化」の意義は、主観性を排した客観的な指標を提供し、合理的で信頼性の高い意思決定を可能にすることにある。

【理由・批判】

 本文は、数値化が人間に不安を与え、社会規範に従順にさせるといった弊害を強調しているが、その視点は偏っている。本来、数値化は「教員の勘」のような主観的・感覚的な判断を排し、信頼できる共通の尺度で物事を把握するために不可欠な手段だからだ。

【具体例】

 本文でも、偏差値が元々は進路指導に「信頼できる指標」を導入する目的であったことや、エビデンスに基づく医療が「有効な診断方法や治療法」を整備し、筆者自身もそれを選ぶことが示されている。

【結論の再提示】

 このように、数値化は個人の主観的な判断から脱却し、より公平で合理的な意思決定を行うための社会的な基盤を提供するという重要な意義を持つ。

問2-3【解答】(376字)

 数値化の意義は、主観性を排した客観的な指標を提供し、合理的で信頼性の高い意思決定を可能にする点にある。本文では、数値化が人間に不安を与え、社会規範への従順さを強めるといった弊害が強調されているが、この見方は一面的である。
 本来、数値化は「教員の勘」や経験則といった主観的・感覚的な判断に頼ることを避け、誰もが共通の尺度を用いて状況を把握するために欠かせない手段である。実際、本文中でも偏差値が「進路指導に信頼できる指標を導入する」という目的で導入されたことが示されている。また、エビデンスに基づく医療では、有効性の検証された診断方法や治療法が整備され、筆者自身もその利点を認めて選択している。
 このように、数値化は個人の思い込みや経験の差によって判断がぶれることを防ぎ、より公平で合理的な意思決定を社会全体で行うための基盤として機能しているのである。

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