問1【解説】
(1) 投映法 (projective technique)
核となる概念を定義する:
まず「投映法とは何か」を簡潔に定義します。これは、被験者の無意識的な側面を探るための人格検査法である、という点が核になります。
方法論の鍵を挙げる:
どのようにして無意識を探るのか、その方法を説明します。「あいまいな刺激(絵やインクのしみなど)」を提示し、被験者が「自由に反応・解釈する」という点が重要です。
具体的な検査例を挙げる:
理解を深めるため、代表的な検査名(ロールシャッハ・テスト、TATなど)を例示します。
特徴・対比を述べる:
質問紙法との違い(回答を意識的に操作しにくい点)に触れると、より専門的な解答になります。
(2) ソーシャルサポート (social support)
基本的な定義を述べる:
ソーシャルサポートが「他者から得られる支援」であることを明確にします。支援の提供元(家族、友人など)にも触れます。
サポートの種類を分類する:
サポートが多岐にわたることを示すため、代表的な分類(情緒的、道具的、評価的、情報的など)を列挙します。
心理的な効果を述べる:
このサポートがもたらす最も重要な効果、特に「ストレス緩衝効果(ストレスを和らげる働き)」について言及し、解答を締めくくります。
(3) 対象喪失 (object loss)
用語の背景を説明する:
この言葉が主に「精神分析」の文脈で使われる用語であることを示します。
「対象」の意味を定義する:
日常的な意味とは少し異なる、精神分析における「対象(愛情や愛着を注ぐ相手・モノ)」について説明します。
喪失がもたらす影響を述べる:
対象を失うことが、どのような心理的プロセス(悲嘆)や状態(抑うつ)を引き起こす可能性があるかを記述します。関連する重要人物(フロイトなど)を挙げると、より深みが出ます。
(4) 共同注意 (joint attention)
現象を具体的に定義する:
「二人(以上)が同じ対象に注意を向けている」というだけでなく、「そのことをお互いが認識・共有している」状態であることが重要だと説明します。
発達上の時期と行動例を挙げる:
いつ頃見られる現象か(生後9ヶ月頃〜)と、具体的な行動(指さし、視線追従)を例示します。
発達における意義を説明する:
この能力がなぜ重要なのか、その後の発達(言語獲得、社会性の発達など)との関連性について述べて締めくくります。
(5) オペラント条件づけ (operant conditioning)
提唱者と基本的な枠組みを述べる:
スキナーが提唱した学習理論であることを示し、その基本構造「自発的な行動とその結果の結びつきによる学習」を定義します。
中心的な概念を説明する:
学習を促進する「強化(報酬)」と、行動を抑制する「罰(弱化)」の概念を対比させて説明します。
古典的な実験例に言及する:
この理論を象徴する「スキナー箱」の実験に触れることで、具体的なイメージを補強します。
(6) 有意水準 (significance level)
使用される文脈を特定する:
まず「統計的仮説検定」で用いられる基準値であることを明記します。
役割を定義する:
その基準値が何のためにあるのか、つまり「帰無仮説を棄却(=意味のある差だと判断)するかどうかの判断基準」であることを説明します。
具体的な数値を挙げる:
記号(α)と、慣習的に用いられる具体的な数値(5%や1%)を挙げます。p値との関係に触れると、より正確な説明になります。
(7) 間隔尺度 (interval scale)
尺度水準の中での位置づけを述べる:
4つの尺度水準(名義、順序、間隔、比例)の一つであることを示します。
持つ性質と持たない性質を明確にする:
「順序関係がある」「目盛りの間隔が等しい」という性質を持つ一方で、「絶対的なゼロ点を持たない」という決定的な特徴を説明します。
性質から導かれる制約と具体例を挙げる:
絶対的なゼロ点がないため、「乗除算(倍数表現)は無意味」であることを指摘し、最も分かりやすい例として「摂氏温度」を挙げて説明を補強します。
(8) 暗順応 (dark adaptation)
現象を定義する:
「明るい所から暗い所へ移った際に、目が慣れて見えるようになるプロセス」という基本的な定義から始めます。
生理学的なメカニズムを説明する:
この現象の鍵となる網膜の視細胞「錐体細胞」と「桿体細胞」の役割分担に触れます。
順応のプロセスを時系列で説明する:
順応が二段階で進むこと、つまり、まず錐体細胞が素早く順応し、次に桿体細胞が時間をかけてより高度に順応していく、という流れを説明します。
(9) 手続き的記憶 (procedural memory)
記憶の分類における位置づけを示す:
「長期記憶」の中の「非陳述記憶(潜在記憶)」に分類されることを明確にします。
記憶の内容を定義する:
これが「~とは何か(意味記憶)」や「~があった(エピソード記憶)」という事実の記憶ではなく、「~のやり方(技能・手続き)」に関する記憶であることを対比させて説明します。
特徴と具体例を挙げる:
「身体で覚える」「言語化が困難」「反復によって自動化される」といった特徴を挙げ、自転車の乗り方や楽器演奏など、誰にでも分かりやすい例を示します。
問1【解答】
(1) 投映法 (projective technique)
曖昧で多義的な解釈が可能な刺激を提示し、それに対する被験者の反応を分析することで、その人の内面に潜む欲求や葛藤、思考様式といった無意識の側面を捉えようとする人格検査法。代表例にインクのシミを用いるロールシャッハ・テストや、絵画の物語を作成させる主題統覚検査(TAT)がある。質問紙法と異なり、回答の意図的な歪みが少ないとされる。
(2) ソーシャルサポート (social support)
家族、友人、同僚といった周囲の社会関係から得られる有形・無形の支援全般を指す。主なものに、共感や愛情を示す「情緒的サポート」、金銭や物品、労力を提供する「道具的サポート」、肯定的な評価を与える「評価的サポート」、問題解決のための助言や情報を提供する「情報的サポート」などがある。ストレスによる心身への悪影響を緩和する効果が知られている。
(3) 対象喪失 (object loss)
精神分析の用語で、愛情や依存の対象となっていた人物や物、あるいは身体機能や地位などを永続的に失う体験のこと。この喪失は、強い悲しみや怒り、罪責感などを伴う「悲嘆(グリーフ)」のプロセスを引き起こす。この悲嘆が正常に乗り越えられない場合、抑うつをはじめとする精神的な不調の原因となりうると考えられている。フロイトによってその重要性が指摘された。
(4) 共同注意 (joint attention)
他者と同じ対象に注意を向け、さらにその注意を共有していることを互いに認識している状態。生後9ヶ月頃から観察され、大人が指さした方向を見たり(指さし追従)、視線を追ったりする行動として現れる。他者の意図や関心を理解し、円滑なコミュニケーションや言語獲得を進める上で基盤となる、社会性の発達における重要なマイルストーンである。
(5) オペラント条件づけ (operant conditioning)
B.F.スキナーが提唱した学習理論の一つ。ある行動(オペラント行動)に対して、報酬(強化子)や罰といった結果が伴うことで、将来その行動が自発される頻度が変化する学習過程を指す。行動の頻度が増加することを「強化」、減少することを「罰(弱化)」と呼ぶ。レバーを押すと餌が出るスキナー箱の実験が有名で、行動分析学の基礎となっている。
(6) 有意水準 (significance level)
統計的仮説検定において、得られた結果が偶然によるものではなく意味のあるもの(統計的に有意)だと判断するために、あらかじめ設定する基準となる確率のこと。記号α(アルファ)で表され、慣習的に5%(0.05)や1%(0.01)が用いられる。算出した確率(p値)がこの水準を下回った場合に、帰無仮説を棄却し、「有意差あり」と結論づける。
(7) 間隔尺度 (interval scale)
量的変数の測定に用いられる尺度水準の一つ。データ間の順序関係が意味を持ち、かつ目盛りの間隔が等しいという特徴を持つ。しかし、絶対的な原点(ゼロが「無」を意味する点)を持たないため、加減算は可能だが、比率の計算(乗除算)は意味をなさない。西暦や摂氏温度が典型例で、例えば「20℃は10℃の2倍暖かい」とは言えない。
(8) 暗順応 (dark adaptation)
明るい場所から暗い場所へ移動した際、時間の経過とともに目の感度が高まり、暗闇の中でものが徐々に見えるようになる視覚の調整機能。この過程は、主に色覚を担い順応が速い「錐体細胞」と、主に暗所視を担い感度は高いが順応が遅い「桿体細胞」という二種類の視細胞の働きによって生じる。順応のカーブが二相性を示すのはこのためである。
(9) 手続き的記憶 (procedural memory)
長期記憶の一種で、技能や習慣、手続きといった「やり方(how to)」に関する記憶。意味記憶やエピソード記憶などの陳述記憶とは異なり、言語による意識的な想起が困難な非陳述記憶(潜在記憶)に分類される。自転車の乗り方、楽器の演奏、タイピングなどが典型例であり、主に反復練習を通して獲得され、無意識的に自動化された形で遂行される。
問2【解説】
(1) H.セリエのストレス学説について説明しなさい。
提唱者と中心概念を定義する:
まず、ハンス・セリエが提唱した学説であることを明記します。彼の功績は、ストレスを「ストレッサー(ストレスの原因)によって引き起こされる、生体の非特異的な生体防御反応」と定義した点にあります。この「非特異性(原因の種類によらない共通の反応)」がキーワードです。
汎適応症候群(GAS)を説明する:
セリエの学説の核である「汎適応症候群」について説明します。これが、ストレス反応が長期化した場合に身体がたどる3つの段階(警告反応期、抵抗期、疲弊期)からなることを示します。
各段階を簡潔に解説する:
警告反応期:
ストレッサーに直面し、一時的に抵抗力が低下するショック期と、それに対抗しようとする反ショック期からなる段階。
抵抗期:
ストレッサーへの適応が完成し、抵抗力が最も高まる段階。
疲弊期:
ストレスがさらに続くと、適応エネルギーが枯渇し、抵抗力が低下。心身の疾患に至る可能性のある段階。
全体をまとめる:
これらの要素を論理的に繋げ、200字程度の文章にまとめます。
(2) 心理学における縦断的研究と横断的研究について、それぞれの方法およびメリット、デメリットについて、説明しなさい。
二つの研究法を対比的に定義する:
まずは、この定義を明確に記述することが出発点です。
縦断的研究:
「同一の対象者(集団)」を「長期間」にわたって追跡調査する方法。
横断的研究:
「ある一時点」で、「異なる年齢や集団」を比較調査する方法。
縦断的研究のメリット・デメリットを挙げる:
メリット:
個人の発達や変化の「過程」や「因果関係」を詳細に追うことができる。
デメリット:
時間、費用、労力がかかる。調査期間中に対象者が脱落する可能性がある。繰り返し調査することによる練習効果が生じる場合がある。
横断的研究のメリット・デメリットを挙げる:
メリット:
短期間でデータを収集でき、時間や費用の負担が少ない。
デメリット:
個人の変化の過程は追えない。比較する集団が育った時代や社会環境の違いが結果に影響する「コホート効果」の問題がある。
両者を整理してまとめる:
上記の要素を、縦断的研究と横断的研究それぞれについて明確に区別しながら、200字程度の文章に構成します。
(3) 視覚による奥行き知覚を生じさせる手がかりについて説明しなさい。
手がかりを大きく分類する:
奥行き知覚の手がかりが、単一のものではなく複数の種類からなることを示します。代表的な分類である「両眼性の手がかり」と「単眼性の手がかり」を軸に説明を組み立てます。必要に応じて「動眼性の手がかり」も加えます。
両眼性の手がかりを説明する:
両目を使うことで得られる手がかりの代表例を挙げます。
両眼視差:
左右の網膜に映る像のわずかなズレ。
輻輳(ふくそう):
対象を注視するときの両目の寄り具合。
単眼性の手がかりを説明する:
片目でも得られる手がかりで、「絵画的奥行き手がかり」とも呼ばれることを示し、具体例を複数挙げます。
重なり:
手前にあるものが奥のものを隠す。
線遠近法:
平行な線が遠くに行くほど収束して見える。
きめの勾配:
遠くのものほど、表面のきめが細かく見える。
運動視差:
観察者が移動すると、近くのものは速く、遠くのものは遅く動いて見える。
統合して結論づける:
これらの多様な手がかりが脳で統合され、豊かな奥行き知覚が成立することを述べて締めくくります。
問2【解答】
(1) H.セリエのストレス学説について説明しなさい。
H.セリエは、外部からの刺激(ストレッサー)によって引き起こされる、心身の非特異的な防御反応をストレスと定義した。彼によれば、ストレッサーに長時間さらされた生体は、汎適応症候群(GAS)と呼ばれる共通の三段階の反応を経る。第一段階は、一時的に抵抗力が低下する「警告反応期」。第二段階は、ストレッサーに適応し抵抗力が安定する「抵抗期」。しかし、ストレッサーが解消されないと、適応エネルギーが枯渇し、心身の疾患に至る最終段階の「疲弊期」に陥るとした。
(2) 心理学における縦断的研究と横断的研究について、それぞれの方法およびメリット、デメリットについて、説明しなさい。
縦断的研究は、同一の個人や集団を長期間にわたり追跡調査し、発達的変化を捉える手法である。個人の変化の過程を詳細に分析できる利点があるが、時間と費用がかかり、対象者の脱落が問題となる。対照的に、横断的研究は、ある一時点で異なる年齢の複数の集団を比較する手法である。調査が短期間で済む利点があるが、個人内の変化は捉えられず、各集団の時代背景の差(コホート効果)が結果を歪める可能性がある。
(3) 視覚による奥行き知覚を生じさせる手がかりについて説明しなさい。
奥行き知覚の手がかりは、両眼性と単眼性に大別される。両眼性の手がかりには、左右の網膜像のズレから奥行きを得る「両眼視差」や、対象を注視する際の眼球の寄り具合である「輻輳」がある。一方、単眼性の手がかりは片目でも利用可能で、絵画的要因とも呼ばれる。具体的には、手前の物が奥の物を隠す「重なり」、平行線が遠方で収束する「線遠近法」、遠景ほど霞んで見える「空気遠近法」など多様である。これらの情報が脳で統合され、立体的な世界が知覚される。



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