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上智大学 法学部 国際関係法学科 カトリック推薦入試 2021年 過去問解説

問1【解説】

1. 問題の核心理解:

 問1は、課題文で提示された「2つの恐怖の対立」、すなわち「イスラム過激派やイスラム教徒全体への欧米社会の恐怖」と、「欧米諸国による排除や尊厳の剥奪へのイスラム諸国の恐怖」が螺旋状に高まっている状況(これをどう考えればよいか)について、自分の考えを問うものである。

2. 根本原因の分析:

 この「恐怖の螺旋」の根本原因を分析する。それは、相互の無理解とコミュニケーション不足、そして一部の過激な言動や行動をその他大勢の全体に当てはめてしまう「一般化の誤り」に起因すると考えられる。また、歴史的な対立や社会経済的な格差が、その不信感を増幅させている構造を把握する。

3. PREP法の構成:

P (Point/結論):

 この状況を乗り越えるには、恐怖の感情に流されず、対立の構造を冷静に分析し、相互理解を促進する対話の努力が不可欠である、という結論を立てる。

R (Reason/理由):

 なぜなら、恐怖はさらなる不寛容と暴力を生む悪循環に陥らせるだけで、何ら建設的な解決をもたらさないからだ。対立の背景にある歴史的、社会経済的な要因を無視して、相手を一方的に非難するだけでは問題は解決しない。

E (Example/具体例):

 具体例として、メディアリテラシーの重要性を挙げる。SNS等で拡散される扇動的な情報やフェイクニュースに惑わされず、多角的な情報源から事実を把握し、相手の文化や価値観を学ぶ姿勢が個人レベルで求められる。また、政府や市民社会レベルでは、異なる文化を持つ人々が交流する機会(留学生交換、文化交流イベント、共同のボランティア活動など)を積極的に創出することが有効である。

P (Point/結論の再提示):

 したがって、恐怖の連鎖を断ち切るためには、感情的な反発を抑え、知性的な対話と相互理解の努力を地道に続けることが唯一の道である。

4. 文章化と推敲:

 上記の構成案に基づき、370〜400字の小論文を作成する。PREP法の各要素が明確に分かるように記述し、論理的なつながりを意識する。最後に文字数を確認し、調整する。

【結論】

 欧米とイスラム世界の間に生じている「恐怖の螺旋」を断ち切るためには、感情的な反発を乗り越え、対話を通じて相互理解を深める努力が不可欠である。

【理由】

 なぜなら、恐怖は相手に対する不寛容と排除の論理を正当化し、さらなる憎しみと暴力を生む悪循環に陥るだけで、何ら建設的な解決をもたらさないからだ。課題文が示すように、一方の社会では安全が脅かされるという恐怖が、もう一方の社会では尊厳が奪われるという恐怖が広がっている。この相互不信の構造を放置すれば、双方の社会で過激派が支持を広げ、対立は決定的になるだろう。

【具体例】

 この悪循環を断ち切る具体策として、個人レベルでは、まずメディアリテラシーを高めることが挙げられる。SNS等で流布される扇動的な言説に惑わされず、対立の背景にある歴史的・社会的な要因を多角的に学ぶ姿勢が求められる。さらに、市民社会や政府レベルでは、異なる文化を持つ人々が直接交流する機会を創出し、互いの生活や価値観への理解を促進する草の根の交流を粘り強く支援していくべきだ。

【結論の再提示】

 したがって、私たちは恐怖に支配されることなく、知性的な対話と地道な相互理解の努力を続けることで、この根深い対立を乗り越えていかなければならない。

問1【解答】(400字)

 欧米とイスラム世界に生じている「恐怖の螺旋」を断ち切るには、感情的反発を超え、対話を通じた相互理解を深める努力が不可欠である。恐怖は相手への不寛容や排除を正当化し、憎しみと暴力を連鎖させるだけで建設的な解決を生まない。実際、欧米では「安全が脅かされる恐怖」が、イスラム世界では「尊厳が奪われる恐怖」が広がっており、この不信を放置すれば双方で過激派が支持を伸ばし、対立は一層深刻化する。
 悪循環を断つためには、まず個人レベルでメディアリテラシーを高め、SNSにあふれる扇動的言説に左右されず、対立の背景を多面的に理解する姿勢が必要だ。さらに、市民社会や政府は異文化間の直接交流の場を増やし、互いの生活や価値観への理解を促す草の根の取り組みを継続的に支援すべきである。
 したがって、恐怖に支配されるのではなく、知性的な対話と相互理解の努力を積み重ねることで、この深い対立を克服していかなければならない。

問2【解説】

1. 筆者の考えの整理:

 まず、課題文から「不寛容に対して不寛容になるべきか」という問い(下線部②)に対する筆者の考えを正確に読み取る。筆者は、「不寛容を前にしても可能な限り寛容を保たなければ他者との共存は実現できない」「排除する側は文化と価値の多元性を受け入れ、維持する必要がある」と述べ、「原則として寛容を貫くべき(不寛容に対して不寛容になるべきではない)」という立場を取っている。

2. 自分の考えの構築(対比):

 筆者の考えと「対比」させながら、自分の考えを構築する。対比の方法は、①全面的に同意する、②全面的に反対する、③一定の条件下で同意する(部分的に反対する)、のいずれかを選択する。ここでは、最も議論を深めやすい③の立場を取る。

3. PREP法の構成:

P (Point/結論):

 筆者の言うように原則として寛容を貫くべきだが、民主主義や基本的人権といった、寛容が成り立つための「土台」そのものを暴力によって破壊しようとする不寛容に対しては、例外的に、それを許さないという断固たる姿勢で臨むべきだ、という結論を立てる。

R (Reason/理由):

 なぜなら、あらゆる不寛容に対して無限に寛容であることは、結果として寛容な社会そのものを破壊する「寛容のパラドックス」を招きかねないからだ。社会の存続を脅かす暴力的な不寛容を容認することは、寛容ではなく無責任な放任に過ぎない。

E (Example/具体例):

 例えば、特定の民族や宗教を標的にしたヘイトスピーチや、テロリズムを扇動・実行する行為が挙げられる。これらは、他者の存在を否定し、対話の可能性を閉ざす暴力的な不寛容である。こうした行為に対しては、思想・良心の自由は保障しつつも、法の下で明確に禁止し、社会のルールとして許容しないという「不寛容な」態度を示すことが、結果的に多くの人々の自由や安全、そして寛容な社会全体を守ることにつながる。

P (Point/結論の再確認):

 したがって、筆者の言う「多元性の受容」は重要だが、その多元性が共存するための最低限のルールを破壊する不寛容に対しては、社会を守るために「不寛容」でなければならない。

4. 文章化と推敲:

 構成案に基づき、370〜400字の小論文を作成する。筆者の考えとの対比を明確にしつつ、PREP法に沿って自分の主張を論理的に展開する。最後に文字数を確認し、調整する。

【結論】

 私は、不寛容に対して寛容を貫くべきだとする筆者の考えに基本的には賛成だが、寛容な社会の存立基盤そのものを暴力によって破壊しようとする不寛容に対しては、例外的に「不寛容」であるべきだと考える。

【理由】

 たしかに筆者の言う通り、安易に不寛容に陥ることは他者との共存を不可能にする。しかし、あらゆる不寛容に寛容であることは、社会のルールを破壊する者たちの自由を無限に認め、結果として寛容な社会自体を崩壊させる「寛容のパラドックス」を招く危険があるからだ。他者の存在や尊厳を否定する暴力的な言動までをも「価値の多元性」の名の下に容認することは、寛容ではなく単なる無責任な放任である。

【具体例】

 例えば、特定の民族や宗教への憎悪を煽り、暴力を扇動するヘイトスピーチや、テロリズムを正当化し実行する行為は、対話の可能性を自ら閉ざす絶対的な悪である。こうした行為に対しては、個人の思想の自由は保障しつつも、社会の秩序と安全を守るため、法の下でこれを明確に禁止し、許容しないという断固たる姿勢を示す必要がある。

【結論の再提示】

 したがって、筆者の説く寛容の精神を最大限尊重しつつも、その寛容が機能するための最低限の土台を守るために、私たちは暴力的な不寛容に対しては「不寛容」になる覚悟を持たねばならない。

問2【解答】(370字)

 私は、不寛容に対して寛容を貫くべきだとする筆者の考えに賛成だが、寛容な社会の基盤そのものを暴力によって破壊しようとする不寛容に対しては、例外的に「不寛容」であるべきだと考える。確かに、安易な不寛容は共存を不可能にする。しかし、あらゆる不寛容を無制限に受け入れることは、寛容な社会自体を崩壊させる「寛容のパラドックス」を招く。暴力的な言動まで「価値の多元性」として容認することは、寛容ではなく無責任な放任である。
 例えば、特定の民族や宗教への憎悪を煽るヘイトスピーチや、テロ行為を正当化し実行する行為は対話の余地を自ら断つ絶対的な悪である。これらに対しては思想の自由を尊重しつつも、社会の秩序を守るため法の下で明確に禁止し、許容しない姿勢が必要だ。
 したがって寛容を守るためには、暴力的な不寛容に対してこそ「不寛容」である覚悟が求められる。

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