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上智大学 法学部 国際関係法学科 公募制推薦入試 2020年 過去問解説

問1【解説】

1. 課題文の読解と核心の特定:

 課題文全体を精読し、「平和」と「リアリズム」に関する筆者の中心的な主張を特定する。筆者が「平和」をどのように定義し直し、従来の平和観とどう対比させているかを把握する。

2. キーポイントの抽出:

 以下のキーポイントを文章中から抽出する。

ポイントA:平和の定義

 理想化された「永遠平和」ではなく、単に「戦争が行われていない状態」という散文的な現実であること。

ポイントB:平和の価値

 絶対的な価値ではなく、市民的自由や豊かな生活を保障するための「出発点」に過ぎないこと。

ポイントC:平和をめぐる議論の本質

 「平和」そのものではなく、それを実現する「方法」(例:武装か非武装か)をめぐる争いの歴史であったこと。

ポイントD:現代の平和論の起源

 戦争の被害が極度に拡大した二つの大戦の経験と、それによる終末観が「将来の戦争の阻止」を大きな政治課題としたこと。

3. 要約の構成:

 抽出したキーポイントを論理的な順序で再構成する。文字数制限(200字程度)を意識し、各ポイントを簡潔な表現にまとめる。

4. 文章化と推敲:

 構成案に基づき、指定された文字数内に収まるように要約文を作成する。
 具体的には、「筆者は平和を戦争がない状態と現実的に定義し、絶対的な価値ではないとする。平和をめぐる議論は、その実現方法をめぐる争いの歴史であり、現代の戦争阻止という課題は、二つの大戦の経験から生まれたと指摘している。」といった骨子を元に、より自然で分かりやすい日本語の文章に仕上げる。最後に文字数を確認し、過不足があれば調整する。

問1【解答】(202字)

筆者は、平和を不必要に美化せず、単に戦争が行われていない「散文的な現実」と捉えるべきだと主張する。平和は絶対的な価値ではなく、政治社会の出発点に過ぎない。歴史的に見れば、「平和」をめぐる議論は、それを実現する方法(武装か非武装か)をめぐる対立の歴史であった。そして、将来の戦争を阻止するという現代の大きな政治課題は、二つの世界大戦がもたらした破滅的な被害の経験から生まれたものであると筆者は指摘している。

問2【解説】

■ 議論の整理

課題文の要約:

 筆者は、平和を「戦争がない状態」という現実的なものとして捉え、その実現方法をめぐる対立こそが問題の本質だと指摘する。そして、戦争阻止という課題意識が、二つの大戦の悲惨な経験から生まれたと論じている。

共通の前提:

 二つの世界大戦がもたらした被害は甚大であり、その反省から「将来の戦争の阻止」が国際的な課題となった。

議論の論点:

 「平和の実現方法」をめぐる対立。具体的には、理想論的なアプローチ(例:完全な軍縮)と、現実主義的なアプローチ(例:武力による抑止)が対立している。

■ 問題発見

問題の設定:

 なぜ、大戦の反省にもかかわらず、現実には戦争が繰り返されるのか。その根源的な原因を突き止め、課題文の趣旨を踏まえた上で、いかにして「散文的な現実としての平和」を維持・構築していくべきか。

■ 論証→演繹法

 問2の「なぜ戦争は繰り返されるのか」という問いに対し、まず課題文から「平和の実現方法をめぐる理想と現実の対立」という根本的なルール(法則)を抽出した。その上で、冷戦構造という具体的な歴史的事例にそのルールを当てはめて原因を分析し、そこから「どう対処すべきか」という解決策を導き出している。この論理展開により、単なる思いつきではない、課題文に根ざした説得力のある主張を構築することを狙った。
 設問が「原因の分析」と「対処法の提言」という二つの要素を求めているため、まず普遍的な法則を提示し、それを具体例に適用して原因を説明し、さらにその法則から対処法を導き出す、という一連の流れをスムーズに構築できる演繹法が最適だと判断した。これにより、原因分析と解決策の提言に一貫性を持たせることができる。

ルールの定立:

 ここでは、課題文の趣旨に基づき、「平和の実現をめぐる議論は、理想論(ユートピア)と現実論(リアリズム)の対立であり、両者の緊張関係の中で具体的な方法が模索される」というルールを定立する。

具体例の紹介:

 第二次大戦後の冷戦構造を考える。一方では、国連を中心とした集団安全保障体制という理想が追求された。しかしその実態は、米ソ両陣営による核兵器を用いた「恐怖の均衡」という、極めて現実主義的な武力抑止によって平和が維持されていた。

具体例への当てはめ:

 戦争が繰り返される理由は、この「平和の実現方法」をめぐる対立が決着しないからだと言える。各国は自国の安全を最優先し、現実主義的な武力依存から抜け出せない。理想を追求するあまり、無防備になることは「愚行」だと考えられているからだ。このため、軍拡競争や勢力争いがなくならず、紛争の火種が燻り続ける。この状況に対処するには、理想論に偏りすぎず、かといって現実主義を肯定するだけでもない、第三の道を探る必要がある。

■ 結論

 結論部分では、論証で示した「信頼醸成措置」と「経済的相互依存」という二つの具体的な対処法を再度提示し、それらがなぜ有効なのかを「理想論でも現実主義の追認でもない第三の道」として位置づけている。これにより、小論文全体の主張を明確に要約し、読後感を強めることを意図した。また、課題文中の「散文的な平和」というキーワードを繰り返し用いることで、文章全体を通して課題文の趣旨を踏まえていることをアピールしている。

導かれる結論:

 戦争が繰り返されるのは、平和の実現方法をめぐる理想と現実の対立が解消されず、各国が武力に依存する現実主義から脱却できないためだ。この状況に対処するには、理想を掲げつつも、武力に頼らない具体的な信頼醸成措置(CBMs)や経済的な相互依存関係の深化といった、現実的な手段を粘り強く積み重ねていく必要がある。

その根拠:

 課題文が示すように、「平和」とは「戦争がない状態」という控えめな目標である。ならばその実現方法も、ユートピア的な完全軍縮ではなく、紛争のリスクを少しずつ低減させていく現実的なアプローチこそが有効である。

その具体例:

 具体的には、軍備管理交渉、偶発的な衝突を避けるためのホットラインの設置、国境地帯の非武装化、経済協力開発機構(OECD)や世界貿易機関(WTO)のような国際経済協力の枠組みを通じた相互依存の強化などが挙げられる。

■ 結論の吟味

他の結論との比較:

 「世界連邦政府を樹立し、武力を一元管理すべき」という理想論的な解決策と比較して、本結論は各国の主権が併存する現在の国際社会の現実に即しており、実現可能性が高い。

最終的な結論の確認:

 したがって、戦争の繰り返しという現実を直視し、理想を諦めずに、しかしあくまで現実的な手段を一つ一つ積み重ねていくことこそが、「散文的な平和」を実現するための着実な道筋である。

問2【解答】(553字)

 二度の世界大戦を経て「戦争の阻止」が国際的課題となったにもかかわらず、戦争が繰り返されるのは、平和の定義ではなく、その実現方法をめぐり理想と現実が乖離しているためである。根本原因は、各国が武力に依存する現実主義から脱却できない点にある。課題文が指摘するように、武器放棄が侵略を誘発するという認識が支配的な国際社会では、相互信頼に基づく理想的な安全保障は受け入れられにくい。その結果、軍拡競争や同盟対立が構造的に維持され、新たな紛争の火種が絶えない。冷戦期の核抑止による「恐怖の均衡」はその象徴である。
 では、この状況にどう向き合うべきか。私は、理想を掲げつつも現実的な手段を着実に積み重ねるべきだと考える。課題文が平和を「戦争のない状態」という散文的なものとして捉える以上、その実現も武器の全面廃絶ではなく、紛争リスクを徐々に下げる方策が適している。
 具体的には、軍備の透明性向上や国境付近での軍事演習の制限・通知など、偶発的衝突を防ぐ信頼醸成措置(CBMs)が有効である。また、貿易や投資を通じて経済的相互依存を深めれば、戦争による損失が大きくなり、強い抑止力となる。
 これらの方策は即効性こそないが、理想論でも軍拡でもない現実的な「第三の道」として、散文的な平和を維持するための堅実な対処法と言える。

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