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上智大学 文学部 新聞学科 カトリック推薦入試 2020年 過去問解説

問1【解説】

■ 議論の整理

 ここでは、ユーチューバーを「新しい時代の表現者」というポジティブな側面と、「社会的責任の欠如」というネガティブな側面の両方から捉え、その二面性を提示することが着眼点です。これにより、単純なユーチューバー批判に陥らず、現代的なメディア論として議論を深める土台を作ります。

(共通の前提)

 ユーチューバー(YouTuber)とは、動画共有プラットフォームYouTube上で、自ら制作した動画を継続的に公開し、広告収入などを得る人々を指す。その活動は、エンターテインメントから時事解説、教育まで多岐にわたり、特に若年層に対して大きな影響力を持つ新しいメディアとして定着している。

(議論の論点)

 ユーチューバーは、個人が自由に情報を発信できる新しい時代の象徴であり、既存メディアが取り上げない多様な価値観を提供する存在として肯定的に評価される。しかしその一方で、過激な内容による社会問題の誘発、誤った情報の拡散、ステルスマーケティングなど、その影響力の大きさに比して社会的責任や倫理観が欠如しているという批判も根強い。個人の「表現の自由」と、社会に影響を与える「メディアとしての責任」の間の緊張関係が、主要な論点となる。

■ 問題発見

 「ユーチューバーは個人か、メディアか」という本質的な問いを立て、その上で「社会は彼らとどう向き合うべきか」という、より実践的な課題を設定します。この二段構えの問いにより、現象の分析から社会的な提言へと、小論文を論理的に展開する道筋を示します。

(問題の発見)

 誰もが発信者となれる時代において、絶大な影響力を持つに至ったユーチューバーは、単なる個人なのか、それともジャーナリストと同様の社会的責任を負うべきメディアなのか。その両義的な存在に対し、社会はどのように向き合い、その健全な発展を促していくべきか。

■ 論証1: 言い分方式

 ユーチューバー本人、視聴者(社会)、そしてプラットフォームという、この問題を構成する三者の立場と主張を明確に対比させることで、それぞれの責任と課題を浮き彫りにし、問題の全体像を立体的に把握するために選択しました。

利害関係者A(ユーチューバー)の主張

「たしかに影響力は自覚しているが、我々はテレビ局のような巨大組織ではなく、あくまで一個人クリエイターだ。面白いと思うことを自由に表現することが我々の原点であり、既存メディアのような厳格な規制や倫理観を画一的に押し付けられるべきではない」

根拠: 

 「表現の自由は誰もが持つ基本的な権利であり、過度な規制は、個人の創造性を奪い、多様なコンテンツが生まれる土壌を破壊してしまうからだ。」

利害関係者B(視聴者・社会)の主張

「しかし、あなた方の動画一本が、青少年の行動や社会の世論に計り知れない影響を与えている。誤った情報や危険な行為が、子どもの間で模倣される事件も起きている。影響力を行使する以上、そこには公共性への配慮と、メディアとしての最低限の社会的責任が伴うべきだ」

根拠:

 「特に未成年者が主な視聴者である場合、彼らは情報を批判的に吟味する能力が未熟であり、発信される情報を無防備に受け入れてしまう危険性が高いからだ。」

仲裁者C(プラットフォーム事業者・YouTube)の主張

「よって、我々は表現の自由を最大限尊重しつつも、コミュニティガイドラインを設け、明らかに社会規範を逸脱するような危険なコンテンツやヘイトスピーチに対しては、収益の停止やアカウントの削除といった措置を講じる。また、公的機関や専門家と連携し、メディアリテラシー教育の推進にも協力する」

根拠:

 「プラットフォームの健全性を維持し、ユーザーとクリエイター双方にとって安全な環境を提供することが、長期的なサービスの成長に不可欠だからである。」

■ 論証2: 帰納法

 職業としての憧れ、迷惑行為、ジャーナリズムの萌芽といった具体的な現象を列挙することで、ユーチューバーという存在が、もはや一枚岩ではなく、極めて多様化・多層化しているという現代的な実態を示すのに有効だと考えました。

例の列挙

たとえば、小学生が将来なりたい職業ランキングの上位にユーチューバーが入るなど、子どもたちにとって憧れの存在となっている。その一方で、商品の過剰な宣伝や、再生数稼ぎのための迷惑行為、差別的な発言などが度々社会問題化している。また、政治や社会問題について、既存メディアとは異なる視点を提供するジャーナリスト系のユーチューバーも登場し、一定の支持を集めている。

法則性を導く

このことから、ユーチューバーは、単なるエンターテイナーから、新たな時代のジャーナリストまで、その役割や社会的影響力が極めて多様化・多層化しており、一括りには論じられない存在になっているといえる。

■ 結論

 論証で示した三者の関係性を踏まえ、「ユーチューバー」「プラットフォーム」「視聴者(教育)」という三つの主体がそれぞれ責任を分担し、連携するという、複合的な解決策を提示することが着眼点です。法規制のような単一の対策に頼るのではなく、健全な「エコシステム」を構築するという視点を示すことで、より現実的で説得力のある提言として結論をまとめています。

(Cから導かれる結論)

ユーチューバーを巡る問題は、法規制やプラットフォームの自主規制といったトップダウンのアプローチだけで解決することはできない。ユーチューバー自身の倫理観の向上、プラットフォームの責任ある運営、そして視聴者側のメディアリテラシー教育という、三者の連携による多角的なアプローチが不可欠である。

(その根拠)

なぜなら、ユーチューバーという存在は、個人の表現活動であると同時に、社会に影響を与えるメディアとしての側面を併せ持つ、極めて現代的な現象だからだ。その両義性を踏まえ、一方的な規制ではなく、各主体がそれぞれの立場で責任を分担し、健全なエコシステムを構築していく視点が求められる。

(その具体例)

例えば、影響力の大きいユーチューバーが所属するプロダクションは、所属クリエイターに対してコンプライアンス研修を義務化する。プラットフォームは、AI技術を用いて不適切なコンテンツを検知する精度を高めると同時に、教育機関と連携して、フェイクニュースや情報操作を見抜くための教材を開発・提供する。そして、学校教育の現場では、情報の発信者の意図を読み解き、多角的に情報を評価する実践的なメディアリテラシー教育をカリキュラムに組み込むことが考えられる。

問1【解答】(922字)

 小学生が将来なりたい職業の上位にその名を連ねるように、現代において「ユーチューバー」は若年層に絶大な影響力を持つ存在となった。彼らは、個人が自由に情報を発信する新しい時代の象徴である一方、その言動が社会問題を引き起こすことも少なくない。本稿では、この新たなメディアの担い手の功罪を分析し、社会が彼らとどう向き合うべきかを考察する。
 まず、ユーチューバーという存在が持つ両義性を理解する必要がある。一方で、彼らは既存のテレビや新聞が扱わないニッチな情報や多様な価値観を提供し、個人が組織に縛られず創造性を発揮できる点で、表現の自由の体現者として評価される。しかし、影響力が拡大するにつれ負の側面も顕在化した。再生回数を稼ぐための過激な企画、根拠の乏しい情報の拡散、青少年の健やかな成長を阻害しかねないコンテンツなど、社会的責任が追いついていないのが現状である。
 次に、この問題はユーチューバー、視聴者、プラットフォームという三者の関係の中で捉える必要がある。ユーチューバーは自らを「一個人」にすぎないと主張し規制に反発するかもしれない。しかし、数十万、数百万の視聴者を抱えた時点で、その発信は個人の感想を超え、社会的影響を伴う「メディア」になる。一方で視聴者、特に未成年は情報を批判的に吟味する能力が未熟で、憧れの発信者の言葉を無批判に受け入れやすい。そしてプラットフォームは、表現の自由を口実に責任を回避するのではなく、健全な言論空間の維持という公共的役割を担っている。
 以上から、課題の解決には三者が連携した多角的アプローチが不可欠である。第一に、ユーチューバー自身や所属事務所が、影響力に見合った倫理観とコンプライアンスを徹底すること。第二に、プラットフォームがガイドラインを厳格に運用し、有害コンテンツの拡散を防ぐと同時に、健全なクリエイターへの支援策を整備すること。そして第三に、視聴者側のメディアリテラシーの向上が欠かせない。学校教育の段階から、情報発信者の意図を読み取り、真偽を多角的に検証する能力を育む必要がある。ユーチューバーとは、良くも悪くも現代社会を映す鏡であり、その鏡像をより良くしていくには社会全体の成熟が求められる。

問2 【解説】

ステップ1.

 提示された8つの語句から、説明する4つを選択する。現代社会の課題や新しい概念を示すキーワードを選ぶことが望ましい。

ステップ2.

 選択した各語句について、その核心的な意味を60字以内で簡潔に説明する文章を作成する。

ステップ3.

 文字数が制限内に収まっているかを確認し、表現を調整する。

問2【解答】

#KuToo (52字)

「靴」と「苦痛」をかけた造語で、職場で女性のみ存在するハイヒールやパンプスの着用義務に抗議する社会運動。

シンギュラリティ (58字)

人工知能が人間の知能を超え、人間には予測できない変化を社会にもたらすとする仮説上の時点。「技術的特異点」と訳される。

8050問題 (57字)

80代の親が、ひきこもり状態にある50代の子どもの生活を支え、社会的に孤立し、困窮する世帯が急増している社会問題。

ダークツーリズム (52字)

歴史的教訓を学ぶために、戦争や災害の跡地、人権侵害の現場など、人類の悲劇の歴史を伝える場所を訪れる観光。

問3 【解説】

ステップ1.

 問題文の下線が引かれた20の語句を順番に確認する。

ステップ2.

 語句が漢字の場合、その正しい読みをひらがなで記述する。

ステップ3.

 語句がカタカナの場合、文脈に合った適切な漢字表記を記述する。

ステップ4.

 解答欄に、それぞれ対応する解答を記入する。

問3【解答】

  1. 紆余曲折→うよきょくせつ
  2. 披露目→ひろめ
  3. 蔓延→まんえん
  4. 脆弱性→ぜいじゃくせい
  5. 直訴→じきそ
  6. 苦悶→くもん
  7. 黎明期→れいめいき
  8. 怯え→おびえ
  9. 汚す→けがす
  10. 馴染んだ→なじんだ
  11. シュウゼン→修繕
  12. ゲンミツ→厳密
  13. モレ→漏れ
  14. ケイイ→経緯
  15. サイチュウセン→再抽選
  16. トウスイカン→陶酔感
  17. ダンシャリ→断捨離
  18. ジョバン→序盤
  19. ミツゲツ→蜜月
  20. ドゲザ→土下座

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