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上智大学 文学部 新聞学科 公募制推薦入試 2020年 過去問解説

問1【解説】

■ 議論の整理

 ここでは、「愛国心」を、共同体を維持するための「健全な誇り」という側面と、他者を排斥する「排外主義」に転化する危険性という、光と影の両面から捉えることが着眼点です。この両義性を提示することで、愛国心を単純な善悪で判断しない、深い洞察力があることを示します。

(共通の前提)

 愛国心とは、自らが帰属する国家に対し、誇りや愛着を抱き、その繁栄や独立に貢献しようとする感情や精神である。多くの国で、国民的な一体感を醸成する上で重要な価値を持つとされる。

(議論の論点)

 愛国心は、自国の文化や歴史を尊重し、共同体を維持するための健全な基盤となりうる。しかしその一方で、他国への排他的・攻撃的な感情(ナショナリズム)へと容易に転化し、国際的な対立や紛争の原因ともなりうる危険性を孕んでいる。自国を愛する自然な感情である「愛国心」と、他者を排斥する「排外主義」との境界線はどこにあるのか、その両義性が論点となる。

■ 問題発見

 「グローバル化が進む現代で、排外主義に陥らずに、どうやって健全な愛国心を維持できるか?」という、現代的かつ具体的な問いを立てます。これにより、抽象的な概念論ではなく、現代社会が直面するリアルな課題として議論を展開する姿勢を明確にします。

(問題の発見)

グローバル化が進行し、多様な価値観が共存する現代社会において、共同体への帰属意識の源泉となる「愛国心」は、いかにして他者を排斥する危険なナショナリズムへと堕することなく、健全な形で維持・発展させることができるのか。

■ 論証1: 言い分方式

 愛国心を重視する「国家主義者」と、それを危険視する「コスモポリタン」という対立する二つの立場を提示し、さらに「歴史学者」の視点から両者を止揚する「開かれた愛国心」という概念を導き出すことで、多角的で弁証法的な思考プロセスを示すために選択しました。

利害関係者A(国家主義者)の主張

「たしかに、行き過ぎた愛国心は危険だ。しかし、グローバル化によって国家の輪郭が曖昧になる現代だからこそ、自国の歴史や文化に誇りを持ち、国のために尽くすという確固たる愛国心を持つことが、国民の一体感を維持し、国家の存続を図る上で不可欠である」

根拠:

 「国民が国家への帰属意識を失えば、社会はバラバラになり、国際社会の中で自国の利益を守り、発言力を維持することができなくなるからだ。」

利害関係者B(コスモポリタン)の主張

「しかし、特定の国家への過度な帰属意識を強調する『愛国心』は、必然的に『国民』と『非国民』という線引きを生み、外国人や国内のマイノリティに対する差別や偏見の温床となる。私たちは国家という枠組みを超え、一人の地球市民として連帯すべきだ」

根拠:

 「環境問題やパンデミックなど、現代社会が直面する多くの課題は、一国単位では解決できず、国境を越えた協力が不可欠だからだ。」

仲裁者C(歴史学者)の主張

「よって、我々が目指すべきは、自国の歴史や文化を、他者との比較の中で優劣をつけるのではなく、人類が共有する多様な文化の一つとして客観的かつ批判的に学ぶ『開かれた愛国心』である」

根拠:

 「自国の歴史の光と影の両面を直視し、他国の文化にも敬意を払う知的な態度こそが、愛国心を排外主義から切り離し、普遍的な価値へと高める唯一の道だからである。」

■ 論証2: 背理法

 「無批判な愛国心」をあえて「真の愛国心」と仮定し、それがもたらす破滅的な結末(全体主義への道)を示すことで、逆説的に「批判的精神を伴うことこそが真の愛国心である」という結論を鮮やかに導き出すのに有効だと考えました。

まず間違った仮説を出す

 仮に「真の愛国心とは、自国の利益を最優先し、いかなる場合も自国の決定を無批判に支持することである」と仮定する。

間違った仮説がなぜ間違っているかを証明する

 しかし、もし国民がこの仮説に従うならば、かつての全体主義国家のように、政府が他国への侵略や人権侵害といった非人道的な政策を推し進めたとしても、国民はそれを「国益」の名の下に支持することになる。これは、自国の過ちを正す機会を永久に失わせ、結果として国家を破滅へと導き、国際社会から孤立させることに繋がる。

そのことからその逆が正しいということを導く

 したがって、「自国を無批判に支持すること」が真の愛国心であるという仮説は誤りである。このことから、真の愛国心とは、自国への愛着を持ちつつも、そのあり方を常に批判的に問い直し、より良い方向へと導こうとする理知的な態度であることが導かれる。

■ 結論

 論証で示した「開かれた愛国心」「批判的愛国心」という概念を、具体的な社会のあり方に落とし込むことが着眼点です。「歴史教育」と「スポーツ観戦」という、マクロとミクロの具体例を挙げることで、主張が単なる理想論ではなく、教育や日常生活のレベルで実践可能なものであることを示し、説得力を持たせています。

(Cから導かれる結論)

 現代社会における健全な愛国心とは、自国を盲目的に賛美することではなく、自国の歴史や文化を客観的・批判的に学び、その光と影の両面を受け入れた上で、より良い未来を築こうとする「批判的愛国心」である。

(その根拠)

 なぜなら、グローバル化が進む現代において、排他的な愛国心は国際的な孤立を招くだけであり、持続可能ではないからだ。自国を愛するからこそ、その過ちを直視し、他国との対話を通じて普遍的な価値を共有しようと努める姿勢が、結果的に自国の国際的な信頼を高め、真の国益に繋がる。

(その具体例)

 例えば、学校教育において、自国の成功の歴史だけでなく、過去に犯した過ち(戦争や公害、人権侵害など)についても、複数の視点から学ぶ機会を設けることが重要である。また、スポーツの国際試合において、自国チームを応援しつつも、相手チームの健闘を称え、フェアプレーの精神を尊重する態度は、日常生活における「開かれた愛国心」の実践と言えるだろう。

問1【解答】(951字)

 「愛国心」という言葉は、私たちの心に複雑で多面的な響きをもたらす。それは、自らが生まれ育った国への自然な愛着や誇りを意味する一方で、他者を排斥する狂信的ナショナリズムの影を常に伴うからである。グローバル化が加速する現代において、私たちはこの両義性をどのように理解し、どのような態度で向き合うべきなのだろうか。本稿では、愛国心の二面性を分析し、これからの時代にふさわしい健全なあり方を探る。
 まず、愛国心が排外主義へと転化する危険な仕組みを見ておきたい。愛国心は「我々」という共同体意識を強めるために、しばしば仮想の「敵」を必要とする。為政者は国内の不満を外に向けるため、特定の国や民族への敵意を煽り、愛国心を自らの権力維持に利用することがある。こうして形成される愛国心は、自国の歴史や文化を客観視する力を失わせ、「自国は常に正しく、他国は劣っている」という単純化された思考へと人々を導く。それは誇りではなく、他者への不寛容に支えられた危険な選民意識にほかならない。
 しかし、このような危険があるからといって、愛国心そのものを否定するのは妥当ではない。「真の愛国心とは、自国の利益に沿う限り政府の決定を無批判に支持することだ」という仮説を置けば、その誤りは明白である。もし国民がこの考えに従うならば、政府が誤った政策や非人道的な行為を行っても、「国益」の名の下に容認することになりかねない。ここから導かれるのは、真の愛国心とは、自国への愛着ゆえにその過ちを直視し、より良い方向へと導こうとする批判的精神を伴うという点である。それは盲信ではなく、自国を憂う「憂国」の態度に近い。
 以上の考察から、現代社会に求められるのは、他者を排除する「閉じた愛国心」ではなく、自国の歴史と文化を世界の多様な遺産の一つとして捉える「開かれた愛国心」である。そのためには教育が重要な鍵となる。輝かしい歴史だけでなく、過去の過ちや犠牲者の声にも向き合う歴史教育を通して、多角的な視野を養わなければならない。さらに、国際試合で自国を応援しつつ相手チームの健闘を称える姿勢こそ、日常で実践できる「開かれた愛国心」の具体例と言える。互いの違いを尊重しながら自国を大切に思う態度こそ、これからの時代にふさわしい愛国心の形なのである。

問2【解説】

ステップ1.

 提示された8つの語句から、説明する4つを選択する。近年の社会情勢や新しい社会現象をよく反映したキーワードを選ぶことが望ましい。

ステップ2.

 選択した各語句について、その核心的な意味を60字以内で簡潔に説明する文章を作成する。

ステップ3.

 文字数が制限内に収まっているかを確認し、表現を調整する。

問2【解答】

グレタ・トゥーンベリ (58字)

スウェーデンの環境活動家。気候変動対策の遅れに抗議する「未来のための金曜日」運動を始め、世界中の若者に影響を与えた。

キャッシュレス決済 (60字)

現金を使わずに、クレジットカードや電子マネー、QRコード等を用いて代金を支払うこと。利便性やポイント還元等の利点がある。

実名報道 (60字)

事件や事故の報道において、被疑者や被害者の実名を公表する事。国民の知る権利と、個人のプライバシー保護との間で議論がある。

表現の不自由展 (60字)

「あいちトリエンナーレ2019」の企画展。慰安婦問題を象徴する少女像等を巡り、政治的圧力や脅迫で一時中止に追い込まれた。

問3【解説】

ステップ1.

 問題文の下線が引かれた20の語句を順番に確認する。

ステップ2.

 語句が漢字の場合、その正しい読みをひらがなで記述する。

ステップ3.

 語句がカタカナの場合、文脈に合った適切な漢字表記を記述する。

ステップ4.

 解答欄に、それぞれ対応する解答を記入する。

問3【解答】

  1. 矜持→きょうじ
  2. 籠った→こもった
  3. 鼎談→ていだん
  4. 紆余曲折→うよきょくせつ
  5. 五臓六腑→ごぞうろっぷ
  6. 凄絶→せいぜつ
  7. 芳醇→ほうじゅん
  8. 衣→ころも
  9. 無垢→むく
  10. 貪欲→どんよく
  11. アマガサ→雨傘
  12. ガマン→我慢
  13. ブジョク→侮辱
  14. カケコミ→駆け込み
  15. ダンガイ→弾劾
  16. ケッサク→傑作
  17. カンコンソウサイ→冠婚葬祭
  18. カンキ→喚起
  19. キンチャクブクロ→巾着袋
  20. ムネ→旨

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