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上智大学 文学部 新聞学科 帰国生入試 2019年 過去問解説

問1【解説】

■ 議論の整理

 ここでは、相撲を「伝統文化」という側面と、「現代的価値観と衝突する旧習」という二つの側面から捉え、その間の緊張関係を提示することが着眼点です。これにより、相撲が直面する問題が、単なる不祥事ではなく、「伝統と現代のジレンマ」という構造的な課題であることを明確にします。

(共通の前提)

 相撲は、日本の伝統的な国技であり、単なるスポーツ競技としてだけでなく、神事としての側面や、長い歴史の中で培われた独特の文化・慣習を持つ存在である。

(議論の論点)

 相撲は守るべき「伝統文化」であるという見方がある一方で、近年、暴力問題や女人禁制といった慣習が、現代社会の価値観(人権尊重、ジェンダー平等など)と相容れないとする批判に晒されている。国技として「伝統」をどこまで維持し、時代の変化にどう「適応」していくべきか、そのバランスが大きな論点となっている。

■ 問題発見

 「伝統を守れば時代遅れと批判され、現代化すれば独自性が失われる」というジレンマを提示し、「この状況で、どうやって文化的価値を継承していくか?」という問いを立てます。これにより、二者択一ではない、より高次の解決策を探求するという小論文の方向性を示します。

(問題の発見)

 日本の「国技」とされる相撲は、その伝統性を維持しようとすれば現代的価値観との乖離が指摘され、逆に現代化を推し進めればその独自性が失われるというジレンマに直面している。この状況下で、相撲は今後どのような形でその文化的価値を次世代に継承していくことができるのか。

■ 論証1: 帰納法

 女人禁制、暴力問題、無形の規範といった具体的な問題を列挙することで、相撲界が抱える問題が単発のものではなく、「伝統と現代的価値観の摩擦」という共通の法則性を持つことを示すために採用しました。

例の列挙

 たとえば、土俵上での女人禁制の伝統は、ジェンダー平等の観点から国内外で批判を浴びた。また、相撲部屋における弟子への暴力や厳しい上下関係は、現代のコンプライアンス意識や人権感覚とは相容れないものとして問題視されている。さらに、外国出身力士の活躍がグローバル化を象徴する一方で、横綱には「品格」が求められるなど、排他的ともとれる無形の規範が存在する。

法則性を導く

 このことから、相撲界が「伝統」や「しきたり」として固守してきた多くの慣習が、現代社会の普遍的な価値観との間で深刻な摩擦を引き起こしている、といえる。

例外を検討する

 ただし、相撲の持つ様式美や力士の立ち居振る舞い、神事としての荘厳さなど、時代を超えて多くの人々を魅了する文化的価値もまた厳然として存在するという例外も考慮に入れる必要がある。

■ 論証2: 言い分方式

 伝統を重んじる「相撲協会」と、現代的価値観を代表する「新規ファン」という対立する二者の主張を立て、さらに「文化人類学者」という専門的・客観的な視点から仲裁案を提示することで、問題の複雑さと、目指すべき解決の方向性を立体的に示すことができると考えました。

利害関係者A(相撲協会)の主張

 「たしかに、時代に合わせるべき点はあるだろう。しかし、相撲は千数百年続く日本の伝統文化であり、神事である。土俵の女人禁制なども含め、安易にその伝統を変えることは、相撲の本質的な価値を損なうことに繋がりかねない」

根拠:

 「長い歴史の中で受け継がれてきた様式やしきたり全体が、相撲という文化を形成しており、一部分だけを現代の価値観で切り取ることはできないからだ。」

利害関係者B(新規のファン・海外メディア)の主張

 「しかし、女性差別や暴力といった、現代社会で許容されない前近代的な慣習を『伝統』の名の下に維持し続けるのであれば、相撲は国際的な理解を得られず、新しいファンを獲得することもできないだろう。それは文化の継承ではなく、衰退への道だ」

根拠:

 「文化とは、時代と共に変化し、より普遍的な価値観を取り入れていくことで豊かになるものであり、閉鎖的なままでは存続できないからだ。」

仲裁者C(文化人類学者)の主張

 「よって、相撲界は、守るべき『本質的な伝統』と、時代に合わせて変えるべき『表層的な慣習』を、自ら主体的に区別し、社会に対してその判断基準を明確に説明する責任がある」

根拠:

 「伝統とは、単に古いものを墨守することではない。その時代の人々が、その価値を再解釈し、未来へと継承していく創造的なプロセスそのものだからである。」

■ 結論

 論証で提示した「伝統と現代のジレンマ」という課題に対し、「伝統の本質と慣習を区別し、社会との対話を通じて見直す」という解決策を提示します。「文化の継承は動的なプロセスである」という視点を示し、コンプライアンス委員会の設置など具体的な提案を盛り込むことで、実現可能性のある提言として結論をまとめています。

(Cから導かれる結論)

 相撲が伝統と現代性のジレンマを乗り越え、未来へと継承されていくためには、相撲界自身が「伝統」を聖域化するのではなく、その中核となる価値は何かを問い直し、社会との対話を通じて、時代に合わせて変化すべき慣習を柔軟に見直していく姿勢が不可欠である。

(その根拠)

 なぜなら、文化の継承とは、過去の形式をそのまま保存することではなく、その本質的な精神を、現代の価値観と両立する形で表現し続ける動的なプロセスだからだ。女人禁制や暴力といった人権に関わる問題を放置したままでは、次世代の共感を得ることはできず、文化としての生命力を失ってしまう。

(その具体例)

 例えば、相撲の神事としての性格や、力士の様式美といった本質的な価値は維持しつつ、女性が土俵に上がれないといった慣習については、その歴史的経緯を説明した上で、現代における新たな解釈を示すことが考えられる。また、部屋の運営に第三者の視点を入れたコンプライアンス委員会を設置し、指導の透明性を確保することで、暴力問題を根絶し、開かれた組織へと変革していくことが具体的な一歩となるだろう。

問1【解答】(948字)

 国技として日本文化に深く根ざしてきた相撲が、今、大きな岐路に立たされている。土俵の女人禁制や相次ぐ暴力問題など、「伝統」と現代社会の普遍的価値観が衝突する場面が目立つからである。相撲は守るべき伝統文化なのか、それとも改めるべき前近代的慣習なのか。本稿ではこのジレンマの構造を分析し、相撲が未来へ価値を継承するための道を探る。
 まず、相撲が直面する問題の根源には、長年「伝統」として守られてきた慣習が現代の常識と乖離したという現実がある。例えば、土俵を神聖な場として女性を上げないしきたりは、ジェンダー平等を重視する今日の価値観からは女性差別と見なされる。また、師弟関係の中で行われる「かわいがり」は、指導の名を借りた暴力であり、人権侵害との批判を免れない。これらの事例は、相撲界が「伝統」を盾に守ってきた慣習の多くが、社会的正当性を失いつつあることを示している。
 次に、この問題を異なる立場から見ると、根の深さがより明らかになる。相撲協会のような伝統の担い手からすれば、相撲は単なるスポーツではなく千年以上続く神事であり、様式やしきたりは不可分の要素である。安易な改変は相撲の本質を損なうと考える。一方、新たなファンや国際社会の視点からは、旧来の慣習に固執する姿は閉鎖的で排他的に映り、文化としての魅力を失わせる要因となる。文化とは時代に合わせて変化し、普遍的価値を取り込みながら発展するものであり、このままでは衰退は避けられないと指摘される。
 以上の考察から、相撲がこのジレンマを乗り越えるには、「伝統」を不可侵の聖域とみなす姿勢を改め、守るべき本質と変えるべき慣習を主体的に峻別することが不可欠である。文化の継承とは、過去の形式を保存するだけでなく、その精神を現代に活かす創造的営みだからだ。具体的には、相撲が持つ様式美や精神性といった本質は尊重しつつ、人権や平等といった普遍的価値観と矛盾する慣習は勇気を持って改める必要がある。例えば、部屋の運営に第三者の目を導入して指導の透明性を高めることや、女人禁制の歴史的背景を丁寧に説明したうえで新たな形を模索することは、開かれた国技への第一歩となるだろう。伝統とは守りながら創るものであり、その創造的プロセスこそが相撲の未来を切り開くのである。

問2【解説】

ステップ1.

 提示された8つの語句から、説明する4つを選択する。国内外の政治・社会情勢や、新しい文化・社会現象を示す語句を選ぶことが望ましい。

ステップ2.

 選択した各語句について、その核心的な意味を60字以内で簡潔に説明する文章を作成する。

ステップ3.

 文字数が制限内に収まっているかを確認し、表現を調整する。

問2【解答】

党首討論 (60字)

英国の議会をモデルとした首相と野党党首によるの討論会。国の基本政策について、国民に分かりやすく議論を深めることを目指す。

アメリカ大使館エルサレム移転問題 (53字)

トランプ米政権がイスラエルの首都と主張するエルサレムに大使館を移転した問題。パレスチナ側が激しく反発した。

感動ポルノ (60字)

障害を持つ人が困難を乗り越える姿を健常者が感動や満足感を得るために消費する事への揶揄。障害者の客体化であると批判される。

ミレニアル世代 (59字)

80年代から90年代半ばに生まれ、IT技術の発展と共に成長し、多様な価値観やワークライフバランスを重視する傾向がある。

問3【解説】

ステップ1.

 問題文の下線が引かれた20の語句を順番に確認する。

ステップ2.

 語句がカタカナの場合、文脈に合った適切な漢字表記を記述する。

ステップ3.

 語句が漢字の場合、その正しい読みをひらがなで記述する。

ステップ4.

 解答欄に、それぞれ対応する解答を記入する。

問3【解答】

  1. ケンジュウ→拳銃
  2. キョギ→虚偽
  3. ヘイ→塀
  4. フウボウ→風貌
  5. ニジ→虹
  6. カイコウ→海溝
  7. セゾクシュギ→世俗主義
  8. キキュウ→希求
  9. イシソツウ→意思疎通
  10. ハッショウ→発祥
  11. 呵責→かしゃく
  12. 千載一遇→せんざいいちぐう
  13. 管轄→かんかつ
  14. 痕跡→こんせき
  15. 恫喝→どうかつ
  16. 躊躇→ちゅうちょ
  17. 腹心→ふくしん
  18. 喜怒哀楽→きどあいらく
  19. 鋳造→ちゅうぞう
  20. 悪罵→あくば

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